死神

 ☆命売ります
 春とは言え梅が咲き乱れても未だ小雪の舞う寒い日、路傍に命売りますと看板を掲げた一人いた。
「そなた程の麗人でも買う男が居らぬのか」
「子を産む迄は死ねる事も出来ぬ女人の運命のむごさ」
「身重の身で地べたに座るは辛かろう」
「私の主人は皆短命で死に太りと噂する者も」
 女は老医に買われて嫁に成り、花子を産んで亡く成った。花子は金太郎の様に元気で野山を駆け回って負った。




 ☆                                               「こんな山の中では見る人も居ないのに何花は咲くの」
「種を作る為に決まっておるがな」
「私催して来てしもうた」「遠慮は要らぬ、草葉の陰で足せば良い、蝮には気を付けて」
「熊にでくわしたら死んだ真似したら良いと人は言うが、食べられて仕舞っては後悔も出来んがのう」
「槍先も付いて居ないただの棒で本真に熊を倒せると思って居るのか」
「犬も歩けば棒に当たると言う諺を知らんのか、犬も棒で倒せる」
 二人は本当に熊に遭遇して仕舞い、逃げ惑うたが熊はひつこく追って来た。二人は小川を渡る時に流されて仕舞い滝つぼの中に、死の恐怖に怯える花子は「私うを助けてくれたら嫁に成ってあげる」と言って仕舞った。

 ☆許嫁




 ☆                                               冬美は向かいの婆様が病に倒れ看病に来てくれと言われて泊り込んで四郎と一緒に暮らす羽目に。
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