にぎやかな森




 かつて漁船に乗っていたヘラルドは片足を失ってからは陸に上がり、村で井戸掘り職人として働いている。ヘラルドの助手マルビスは人はよいけれど怠け者。盗賊に憧れ、ある日、井戸掘りに訪れた家で、ピストルを盗み出し、本物の(?)盗賊となり、森に住み着いてしまう。ちょっと間抜けでおちゃめなマルビスはフエンデテスタスと名乗り、行き交う村の人々から金品を強奪・・・するはずが、人々は彼にまともにとりあわない。そんなマルビスのところに一人の幽霊が現れる。一方、ヘラルドはエルメリンダという女性に夢中になっている。しかし、エルメリンダはヘラルドには目もくれず、両親亡き後、身を寄せていた叔母の家で使用人のようにこき使われる生活に嫌気がさし、村を出て行ってしまう。不器用なヘラルドの想いは届かぬまま・・・。

 都会の人にとっては憧れる田舎暮らし。この物語の中でも、2人の御婦人が静養にこの村を訪れる。しかし、神経質で恐がりの彼女たちは、森には盗賊と幽霊が住んでいるという話を聞いて心休まらない。不思議がいっぱいの田舎暮らし。村人にとってはたいした問題ではないことも、御婦人たちにとっては一大事。怯える姿は滑稽そのもので笑いを誘う。個性豊かな村の人々たちの様子を、ヘラルドの恋の行方と共にユーモアたっぷりに描いている。愉快だけれども、ちょっと哀しい物語。




 スペイン、ガルシア地方のセセブレの森。井戸堀り職人のジェラルド(フェルナンド・バルベルデ)はド・アボンド氏(フェルナンド・レイ)の家に仕事に行くが、仲間のマルビス(アルフレード・ランダ)はそこでピストルを盗んだことをきっかけに盗賊になってしまう。一方、ジェラルドが密かに思いを寄せる美しい娘エルメリンダ(アレハンドラ・グレピ)は自分をこき使う叔母ファニータにたまりかねて町へ去ってしまう。ジェラルドは霊媒師に頼んでエルメリンダが戻ってくるように祈るが効き目なし。代わりに12才の娘ピラーラが、ファニータのところで働き出す。その頃森に幽霊フィスが現れるようになり、人通りもめっきり減ってしまった。怖がるマドリードから来た姉妹に死者の行列の話をした翌日、ピラーラは自分が列車から落ちて死んでしまう。マルビスは強盗に入った司祭の家で思いがけず牛の出産の手助けをして逆に感謝される。夜明けの森。死んだピラーラの弟のフーコと歩いていたジェラルドはマルビスと出会い、正業に戻るよう勧めるが応じず、逆にフーコまでマルビスの手となってしまった。 【キネマ旬報データベースより】




    スタッフ

 監督  ホセ・ルイス・クエルダ

 脚本  ラファエル・アスコナ
 原作  ウェンセスラオ・フェルナンデス・フロレース
 製作  エドゥアルド・ドゥカイ
 撮影  ハビエル・アギーレサロベ




     キャスト

 アルフレード・ランダ Malvis
 フェルナンド・バルベルデ Geraldo
 アレハンドラ・グレピ Hermelinda
 フェルナンド・レイ Sr. d'Abondo
 Miguel Rellan  Fiz

 作品データ

 原題   El Bosque Animado
 製作年  1987年
 製作国  スペイン
 配給   松竹富士