ベルサイユのばら




 『ベルサイユのばら』は、池田理代子による漫画作品。通称「ベルばら」。フランス革命前から革命前期を舞台に、男装の麗人オスカルとフランス王妃マリー・アントワネットらの人生を描く、史実を基にしたフィクション作品。ベルサイユとはヴェルサイユ宮殿のこと。
この項目では、集英社のマーガレットコミックス第1巻から第10巻までを「本編」、第10巻の『外伝』を「黒衣」、第11巻以降の『新エピソード』を「新」、中央公論社の『外伝』を「外伝」、『ベルばらKids』を「Kids」と記述する。




       あらすじ

 1755年、ヨーロッパの3つの違った国々に、やがてフランスのベルサイユで宿命的な出会いを待つことになる3人が生まれた。
1770年春。オーストリア帝国・ハプスブルグ家の皇女マリー・アントワネットは14歳でフランスのブルボン家に嫁いできた。王太子妃を護衛する近衛士官オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは由緒ある将軍家の末娘でありながら、後継ぎとして剣も学問も修め、軍人として育てられた男装の麗人だった。異国の宮廷で孤独を深めるアントワネットはパリ・オペラ座の仮面舞踏会でスウェーデンの貴公子フェルゼン伯爵と知り合い、アントワネットだけでなくオスカルも恋に落ちる。3人は共に18歳。運命の出会いの夜だった。
 国王ルイ15世が死去して孫のルイ16世が即位した。アントワネットは遂にフランスの王妃となった。自己の栄達ばかりを願う人々に囲まれ、おしゃれで遊び好きな王妃の浪費ぶりは国家の財政難に拍車をかけてしまう。重税と貧困に喘ぐフランス民衆の非難の目はオーストリア生まれの王妃に向けられ、折からのフェルゼンとの不倫の噂は一層その憎悪を煽りたてた。そこには幾分かの憶測と国王の力を弱めようとする貴族の悪意を真に受けた誤解も含まれていたが、憎悪を膨らませる民衆の眼には王妃が元凶だとしか映らなかった。道ならぬ恋に苦しむ2人を見守るオスカルもまた秘めたる愛に耐えていたが、オスカルはそんな自身に身分ゆえに想いを口にすることすら出来ずに恋い焦がれるアンドレの想いに微塵も気づいていなかった。
宮廷中の貴婦人の憧れの的であるオスカルの初めての恋、王妃の恋人フェルゼンに対する片恋は叶うことはなかった。彼女の悲しみをそっと見守るオスカルの乳母の孫アンドレ・グランディエ。オスカルとは幼い時から兄弟以上に魂を寄せ合い、青春のすべてを分かち合って生きてきた。そして、いつしかアンドレはオスカルを深く愛するようになっていた。しかし、自身の普通の貴族令嬢としての幸福を諦めて男性として生きることと王妃だけを想うフェルゼンに対する片恋の苦悩しか見えないオスカルは、近すぎるアンドレの想いに気づくことが出来なかった。その頃、貴族の屋敷を襲う「黒い騎士」と名乗る盗賊を捕えたオスカルは、その男から民衆の不満の高まりを思い知らされる。それと相前後してコンティ大公妃の舞踏会で外国の伯爵夫人と称して自身と踊った貴婦人がオスカルだと気づいたフェルゼンと決別し、また、近すぎて視界にも入れずにいた不覚ゆえにアンドレの気も狂わんばかりの自身に対する恋心を知るのだった。
 黒い騎士ベルナールの訴えでパリ民衆の悲惨な状態を知ったこともあり、オスカルは王宮守護の近衛隊を辞めて衛兵隊を志願した。貧困と貴族の間にすら存在する格差ゆえに荒んだ部下と格闘の末に心を開かせて部隊を掌握した頃、ジャルジェ将軍は結婚話を持ちかける。求婚者は財産目当ての堕落した貴族と思いきや、元部下のジェローデルだった。彼は最初からオスカルを女性として見つめていたのだと告げる。当初は父に反発しジェローデルを突っぱねるオスカル、恐れていた身分の壁の向こうでオスカルが誰かのものになってしまうと動揺するアンドレ。実は娘に男性としての人生を強いたことを悔いる父の親心だと母に諭され、自身のものにならないのならと無理心中を図ったアンドレも自身の過失から死刑にされかけてオスカルに救われ、彼女を守るという誓いを思い出してオスカルの毒殺を思い留まる。それを察したオスカルはジェローデルの想いに応えられないと「アンドレが不幸になれば、私も不幸になる。」とアンドレを愛しているかは自身でも理解できないながらも求婚を断る理由を真摯に告げ、それに納得したジェローデルは愛する人の不幸は我が身の不幸と潔く身を引くのだった。1789年5月5日。僧侶・貴族・平民からなる三部会が開かれた。国王・貴族と平民議員の対立は激化し、革命の色を帯びるのだった。7月13日、衛兵隊にパリ出動命令が下った。オスカルは暴徒に襲われた際に思わず「私のアンドレ」と口走って初めて長年影のように添い愛し続けてくれたアンドレを自身も愛していることを悟り、漸く彼の想いを受け入れる。出動前夜、永遠の愛を誓い2人は結ばれた。
 フランス人民は自由・平等・友愛を旗印に雄々しく立ち上がり、革命の焔は燎原の火のように全土に燃え広がる。オスカルと衛兵隊は民衆側につき、国王軍と闘う決心をする。激しい戦闘のさなか、アンドレが倒れた。そして1789年7月14日、バスティーユ陥落。民衆の勝利の歓声のなかでオスカルは静かに息絶えた。革命軍は、ベルサイユから国王一家をパリに移し監禁した。幽閉された王妃アントワネットの元に駆けつけ、アントワネットを愛するがゆえに国王一家の救出に奔走するフェルゼンだったが、運命の歯車を止めることは叶わず、ルイ16世に続きアントワネットもまた処刑された。失意の内にフェルゼンは祖国スウェーデンに帰り着くも愛する女性を奪った民衆を憎んで弾圧するようになり、1810年、自身の罪の日と呪うヴァレンヌ失敗の日に民衆により惨殺されたのだった。
 革命の嵐の中で一瞬の生を悔いなく生きた恋人たちの物語。




   メインキャラクター

 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ
 本編のヒロインにして、3人の主人公の1人。後継の男児を求める父親の期待に反して女児ばかり5人の後に生を受けるが、あまりの元気の良い泣き声に父レニエにより後継として育てられた男装の麗人。女性ゆえに王太子妃付きの近衛士官に選ばれ、フランスとオーストリアの同盟が結ばれて輿入れしたアントワネットを護衛することになった。冷静沈着に見えて父親譲りの沸騰しやすい性格であり、黒い騎士事件の際はアンドレの髪を切って黒い騎士の偽者を演じることを彼に強制して好き勝手に飛び跳ねている髪とは違うと拒絶されて「これでも毎朝苦労してセットしている。」と激怒しており、自身の髪は密かな悩みの種である。最初からアントワネットに忠誠を誓い尽くしているように見えるが、アントワネットにサロンに誘われるも「女とはいえ武人としてフランスと王室を守ることが務め」と断った直後にデュ・バリー夫人との諍いを面白がって見物したりしていたため、心の底からフランスと王室のために命を賭けていたとは言いがたい。価値観が少々普通と異なっており、出世のために取り入ったり賄賂の授受をする貴族を堕落だと蔑む一方で、アントワネットが(ルイ15世の娘達であるアデライードら)3人の(義理の)叔母に唆され、フランスとオーストリアの同盟の決裂を招きかねない争いを繰り広げる様を見物するだけだった。だが、彼女が嫁いで2年後、新春の挨拶でようやくデュ・バリー夫人へ声をかけた件では「王太子妃が娼婦に敗れた」と屈辱に震え泣き崩れる彼女の姿に誠心誠意仕えてゆくことを決意する。しかし、民衆の苦しみを目の当たりにして近衛隊を辞し、フランス衛兵隊に移った。その際、大貴族で苦労知らずの生い立ちゆえに見えなかった現実をアランらに突きつけられる。しばらくして、自身が労咳を患っていることに気づく。革命勃発を機に一市民として衛兵隊を率いて民衆側につき、参戦したバスティーユ襲撃で銃撃により、要塞の陥落を見届けて戦死した。アニメ版では陥落の1時間前に絶命。
 原作・アニメ版双方においてフェルゼンに心奪われ、失恋後に強姦されかけるまでアンドレは完全に恋愛対象としては視界になかった。フェルゼンの存在と、幼い頃から友人として対等な関係を求めたアンドレがあまりに近すぎたことで自身の心に宿るアンドレに対する感情を見誤っていた。原作では幼い頃の姿がよく描かれるが、当時は自身より背が低かったジェローデルをチビだと言ったり性格はお世辞にも良いとは言えなかった。好き嫌いが激しすぎて嫌いな相手の話をする際、唾を吐き捨てるという名門貴族の令嬢に相応しからぬ下品な行為が多々ある。激しやすい性情ゆえに「首飾り事件」の裁判では、ジャンヌのレズ発言で攻撃されカッとなってぶった斬ってやると剣を抜きかけ、傍聴席からジャンヌに反論しようとして裁判官に厳しく叱責される一幕を演じた。

 アンドレ・グランディエ
 ジャルジェ家の馬丁。オスカルの従卒かつ幼馴染。ジャルジェ家の領地の村で育つが、父親はだいぶ前に死んだらしく母子家庭だった模様。母親が死んで唯一の肉親の祖母に引き取られたとのことである。身分の別なく育ったことでオスカルとはタメ口だが、分不相応の特別扱いを気にする祖母にたしなめられることが多い。身分違いの恋に苦しみ、ジェローデルの求婚によりオスカルが奪われると戦々恐々とする日々にのた打ち回り、大貴族であるジャルジェ家では単に貴族の身分を得ただけでは結婚は不可能[6]だという現実が見えなくなる程に貴族の身分を欲した。しかし、貴族との結婚自体が許されない第三身分の平民ではあるが、歴代の王室守護を自負する大貴族の邸宅で何不自由なく育ったこともあり、貧困とは無縁で身分だけしか頭にないことで貴族でも平民より貧しい生活を余儀なくされるアランの怒りを買う。
黒い騎士との戦いで左眼を鞭で打たれ、医師から「指示があるまで包帯を外してはいけない」と言われていたにも関わらず、病身の身でありながらパレ・ロワイヤルへと向かいオスカルを救出するも左眼を完全に失明し、残った右眼にその分の負担がかかったことで[7]徐々にかすみがちになりオスカルを守るべく衛兵隊に入隊し、アランら隊員に「めっかち!」と罵声を浴びる。三部会あたりで完全に盲目になってしまい、失明の事実を祖母や恋敵アランに覚られる。三部会を巡る騒動でレニエに殺されかけたオスカルを救った際、愛していると告げられ相思相愛の仲になる。オスカルとともに革命で民衆側につき戦うが、オスカルを庇って戦死した。
当初はオスカルの伴侶を誰にするかは定まっておらず、候補としても設定されていなかったため、その他大勢の1人として描かれて地味だった。心はオスカル一筋だが、18歳の時にパレ・ロワイヤル界隈の娼婦と経験済み。
アニメ版では、序盤はルイ15世の死を前に居ても立っても居られないオスカルの心情が理解できないのかと声に出してジェローデルを蔑んでおり、従僕としての身分や立場を少々顧みなくなっている。しかし、徐々に従僕としてわきまえた言動に変化する。原作とは異なり、オスカルと相思相愛になったのと夫婦の契りを交わしたのは衛兵隊B中隊に出動命令が下った直後であり、民衆の時間稼ぎの搖動として死闘を繰り広げた帰路、敵兵に見つかりオスカルが射殺するもその敵兵の撃った流れ弾に心臓を貫かれて死亡した。

 マリー・アントワネット
 ルイ16世の王妃。3人の主人公の1人。美しく誇り高く、人を惹き付ける天性の魅力を持つ。オスカルを親友のように思い何でも打ち明け頼りにしている。王妃の公務や世継ぎ誕生を望む周囲の重圧から逃れようと自由で贅沢な生活を送り、フェルゼンとの仲をオスカルに諫められても彼女が女心を理解できていなかったこともあり、愛する以前に恋すらも知らずに嫁いだ政略結婚の苦しさを訴えた。その一方で、ポリニャック夫人だけでなく自身が好意を抱く相手を妄信する癖があり、デュ・バリー夫人との対立の件がオーストリアの母マリア・テレジアの耳に入ったことには全然気づかずにカウニッツの訓令文を聞き流した際、メルシー伯がテレジアに報告したことに気づかずに不思議に思っていた。周囲を心配させるも王女誕生後は落ち着き、漸く本来の気高さに目覚めるも自身が民衆の言葉に最後まで目を向けずにいたため、また王家の人間は神より統治する使命を授かったという考え(王権神授説)に固執し、守るべき国民を神聖なる使命を汚す暴徒と看做して武力で潰そうとしたことも彼らの怒りの火に油を注ぎ牙を向けられてしまう。しかも兄ルイ・ジョゼフのお見舞いに連れて行って欲しいとねだるルイ・シャルルやマリー・テレーズと共に2人の王弟プロヴァンス伯とアルトア伯の話を偶然立ち聞きしてしまい、ルイ・ジョゼフの死を待ち望み彼が死んでもシャルルがいるとしてもフェルゼンとの不義の子だとの陰口にその場を後にし「なぜ…わたくしにはただ一つの恋もゆるされないの…?」と部屋で泣き崩れていた。既に守るべき国民を敵だと考えていたが、平民だけでなく王侯貴族の中にも敵が潜んでいたこと[8]にショックを受けつつ我が子の正統性を守るべく戦うことを決意した。革命勃発後、ベルサイユから脱出しようとヴァレンヌ逃亡を企てるも革命軍に捕まってしまい、パリへ強制送還された直後、逃亡生活の恐怖で美しかったブロンドの髪が「老婆のような白髪」[9]に変わってしまう。後に一家でテュイルリー宮殿からタンプル塔へ移され、コンシェルジュリー牢獄に投獄されたのち、断頭台で処刑された。
史実では2男2女の4子を授かるが、本作では1歳に満たずに夭逝した第2王女マリー・ソフィー・ベアトリスのことは描かれなかった。王侯貴族の中で長年敵対関係にあったオーストリア皇女がルイ16世の妃になったことに反発して憎悪を抱く者により悪評をビラという形でばら撒かれて民衆には浪費家の悪妻だと誤解されていたが、実際には王家が使える宮廷費は国家予算の約6%であり、自身が使える金額はその一部だった。プチ・トリアノンでの生活も外部の想像とは異なっていた。また有名な「パンがなければ」発言も別人の言葉だったが、彼女が発言したことだと思い込んだ民衆の思い違いで憎悪が深まった。
 オーストリア皇女時代のドイツ語名は「マリア・アントーニア」だが、本作では読者の混乱を避けるために最初から「マリー・アントワネット」に統一されている[10]。ジャルジェ夫妻のなれそめの話で名前の1つが父フランツ1世の故国の名であることが語られた。
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン
スウェーデン貴族。3人の主人公の1人。容姿端麗で思慮深く知性的な青年。オスカルを親友として慕う。アントワネットを庇ってオスカルが負傷するまで彼女が女性だと知らなかった[11]。長年彼女の自身に対する恋心に気づかなかったが、オスカルがフェルゼンへの恋慕を思い切るために素性を伏せて出席した夜会で踊ったことをきっかけに彼女の心情を知り、決別することになる。自身との醜聞に曝されるアントワネットのことを思い悩み、アメリカ独立戦争に身を投じて彼女のもとを去るが、帰国後は一層彼女の支えとなるべく努める。フランス革命が勃発すると家族の猛反対も同行したじいやの異国の実権を失った国王一家に尽くす必要はないとの反対も振り切って、約束された母国での将来を捨てて革命の嵐が吹き荒れるフランスに向かった。ヴァレンヌ逃亡の際に全力で準備等をして国王一家を救おうとするが、結局はアントワネットを失う[12]。その後、故郷のスウェーデンに帰国するも心冷たい支配者に成り果ててしまい、1810年、自身を憎悪する暴徒らに虐殺される。
史実では、グスタフ4世アドルフ失脚後に摂政を経て王位に就いたカール13世に世継ぎが無かったためスウェーデン王太子に指名されたノルウェー副王でデンマーク王家オルデンブルク家の分家アウグステンブルク家のカール・アウグストが1810年に事故死した直後から、王位を狙ったフェルゼンによる暗殺だというデマが広がり、カール13世すら疑念を捨てきれずにいたため、同年6月20日に近衛連隊にすら見殺しにされた挙げ句に虐殺された。死後も衣服を剥ぎ取られるという辱めを受け、遺体は側溝に投げ捨てられて放置された。

 ロザリー・ラ・モリエール
 オスカルがパリの下町で出会った娘であり、彼女を強く慕っている。後にオスカルにとっても実の妹以上の存在となった。母の敵を討つためベルサイユにやってきた彼女をオスカルが引き取り、ジャルジェ家で貴婦人としての教育を受けた。実はポリニャック夫人の生き別れの娘であり、育ての母を馬車で轢き殺したのが実の母であったことを知り懊悩する。「首飾り事件」の際、ポリニャック夫人の脅しにオスカルの身を案じてポリニャック家に去るも、ポリニャック夫人にとっては亡き妹シャルロットの身代わりでしかないことを悟り、下町に戻り暮らしていたところ、黒い騎士を追って負傷したオスカルと再会し、ジャルジェ家へ戻る。黒い騎士ことベルナールの看病をするうちに心通わせるようになり、回復したベルナールと共にジャルジェ家を去った。アントワネットが裁判のためにコンシェルジュリー牢獄に収監された際、彼女が処刑される当日まで身の回りの世話をしていた。原作ではアントワネット処刑の日にリボンを、アニメでは化粧紙で作ったバラを贈られ「このバラにオスカルの好きな色をつけて下さいな。」と頼まれた。
『栄光のナポレオン-エロイカ』でもオスカルに対する慕情は強く、一生分の片恋をオスカルに対して抱いたことで結婚はしないだろうアランを心配する夫ベルナールの目の前で「オスカル様はあたしのよー!」と叫んで呆れられた。お人好しは変わらず、生活は楽とは言えないのに同居人を置いたりした。しかし、その同居人は王党派を隠してフーシェに情報を流すスパイだったため、知らずに夫の仕事に深刻な妨害を与える原因になり、ナポレオン暗殺を実行するも失敗してベルナールと友人のアランを失い、亡命したスウェーデンでしばらくは寝込む程に衝撃を受けるが、ナポレオンに対する憎悪に囚われた息子フランソワに個人的憎悪を抱いてはいけないと諭し民主共和制の尊さを説くのだった。
モデルは、平民の靴職人の娘でコンシェルジュリーでアントワネットに仕えた文盲[13]の女中「マリー・ロザリー・ドゥラモルリエール(Marie-Rosalie Delamorliere)」である。革命当時に教会や聖職者が弾圧された宗教事情ゆえに聖母マリアを想起させるファーストネーム「マリー」と貴族の姓の前に付く「ド」と同じ響きの「ドゥラモルリエール」の「ドゥ」を隠して「ロザリー・ラモルリエール(Rosalie Lamorliere)」」と名乗っていた。生涯独身だったが、一人娘がいた。後年、当時を振り返り手記を残した。アントワネットが処刑される日、彼女の髪を切り白いリボンを渡された。


 ジャルジェ家

 レニエ・ド・ジャルジェ(fr)
 オスカルの父。ジャルジェ伯爵家当主で、フランス王家に忠誠を捧げる将軍。後継となる男児を欲していたが、女児が最期まで続いて男の子のように元気の良い泣き声に末娘オスカルを後継として厳しく育てる。しかし、後年はその選択を父親として後悔していた。革命の激化によりオスカルの身を案じて結婚させようと考えていた矢先、ジェローデルの求婚を喜び広く花婿を募集した。しかし、結局は断念。オスカルが革命側に付いたのに対し、娘と共に革命側について戦ったアランに国内に留まるのは危険だと忠告されても最後まで王室に忠誠を尽くした。オスカルが民衆と共に歩むことを選んだように、王室に対する忠誠を貫くことが自身の選んだ道だと告げた。議場からの平民議員の排除を命じられたジェローデルら近衛連隊を阻止という反逆行為を犯したオスカルを成敗しようとした際、他の貴族が全員平民に与してもジャルジェ家は王室に不滅の忠誠を尽くすのだと告げた筋金入りの王党派である。物語終盤、フェルゼンと共にアントワネットをコンシェルジュリー牢獄から脱出・逃亡させようとするもマリー・テレーズとルイ・シャルルを置いて自分自身だけが逃げれば母親として地獄の苦しみを味わい幸福にはなれないと拒否され、逆に国外に脱出するよう命じられた。青年時代、ルイ15世の密使として訪れたロレーヌ公国で灼熱の恋を経て妻ジョルジェットを娶った。意外にも激情家であり、当初は貧乏貴族の娘なぞをと許さなかった主君ルイ15世に背いてもジョルジェットを求めたほどだった。その激しさは末娘に受け継がれてしまう。
 身分ゆえにアンドレがオスカルを愛していることを知った時は貴族の婚姻は国王の許可が必要だと激怒するが、内心、アンドレを息子のように大切に思っている。オスカルを士官学校に入れた時も、近衛隊に入隊させた時も、オスカルが勝手にフランス衛兵隊に移った時も断じて末娘を単独で行動させることはなくアンドレに護衛を命じていた。オスカルを深く愛しているが、アンドレのことも息子のように慈しんでおり、ばあやの存在が重いがゆえにアンドレが死ねば生きてはいないばあやのことを計算に入れてのオスカルの命を救おうとしたアンドレの知能犯ぶりに呆れていた。
モデルは、王党派の軍人「フランソワ・オーギュスタン・オーギュスト・レーニエ・シュバリエ・ド・ジャルジェ(フランス語では正確に発音すると「ジャルジャイュ」)[14]」である。マリー=アンヌ・ルイーズ・ブルセ・ド・ラ・セーニュ(Marie-Anne Louise Bourcet de la Saigne)と結婚して2人の子を儲けるが、妻は1786年に病死。その翌年、カンパン夫人と同じくアントワネットの部屋付き第一侍女を務める未亡人ルイーズ・ド・ラボルド(Louise Marguerite Émilie Henriette Quetpee de Laborde)と再婚した。史実では、コンシェルジュリー牢獄に救出作戦を告げにアントワネットに面会したのは別人だった。オスカルの父と同様に、王室に忠誠を誓い尽くした。

 ジャルジェ伯夫人
 オスカルの母。物静かで心優しい貴婦人。ファーストネームは「ジョルジェット」であり、ロレーヌ公国の貧乏ながらルイ13世の宮廷画家を務めたジョルジュ・ド・ラ・トゥールの曾孫であることが明かされるも旧姓は不明。
 アントワネットの首席侍女になったことでデュ・バリー夫人の怒りを買い罠に嵌められるが、オスカルが現れたことで難を逃れた。フランス衛兵隊の部下と共に革命側に走った末娘オスカルが戦死したため、その悲しみから立ち直ることが出来ずに亡くなった。女性だと自覚しても父の意思に従って男性・軍人として生きるオスカルの心の拠り所であり、男性として生きろと命じながら結婚をと言い出した父親に反発するオスカルに嵐に飛び込もうとする愛娘を温かな家庭を持たせて女性としての幸福を与えたいとの親心を説き、後継の男児に恵まれずにオスカルに男性としての人生を強いたことを夫が後悔していることを告げた。

 ばあや
 オスカルの乳母。アンドレの母方の祖母で本名は「マロン・グラッセ・モンブラン」だが、オスカルの肖像画を描いた画家がプロポーズしようとした際に呼んだ以外は呼ばれることの無かった。口やかましく心配性だが、心からオスカルを愛している。主人であるジャルジェ将軍が、オスカルを男として育てる方針に真っ先に反対した。そのため、ポリニャック伯夫人の刺客に襲われてオスカルが重傷を負った際、ジャルジェ将軍を睨みつけて非難するも泣き出し、慌てたジャルジェ将軍に酒でも飲もうと宥められ台所に連れて行かれた。
 ジェローデルがオスカルにプロポーズしてジャルジェ将軍が乗り気だった結婚騒動の際、原作とアニメ版では反応が異なっており、原作では今更とオスカルに齎された縁談を嫌がり、アニメ版では大切なお嬢様に女性としての幸福が訪れたと喜んでいた。また、ジェローデルを迎えての晩餐会の準備中、オスカルを殺して自殺しようとして仕事をさぼったアンドレに文句を並べつつ「可哀想に、馬鹿な子だよ。」と呟き孫がお嬢様に恋心を抱いていることを察しており、その直後、アンドレの失明にも気づく。フランス革命直前、病に倒れた。オスカルとアンドレの造反と戦死の報に沈むジャルジェ家に画家の先生(後述)がプロポーズしようと訪れるが、既に息を引き取っていた。画家を愛していたか否かは特に描写は無かった。
オスカルに何かあれば本人の自業自得でもアンドレにヤキを入れるが、唯一残された肉親である孫息子を深く愛しており、アンドレが死ねば生きてはいない。オスカルが謀反人としてジャルジェ将軍に成敗されかけた際にアンドレが彼女の代わりに自分自身を殺して欲しいとオスカルの命乞いをするが、アンドレを殺せば祖母が生きてはいない程に愛していることを熟知してこその捨て身の作戦だと察していたジャルジェ将軍は苦笑した。事実、アンドレとオスカルが相次いで戦死した直後、画家がプロポーズに訪れた際、既に息絶えて眠るように横たわっていた。アニメでは、画家との喧嘩も恋愛模様も無いことに変更された。
 コミックス第11巻に収録されたエピソード1ではオスカルとアンドレの戦死後、アンドレが貰ったリボンを元の持ち主の幼馴染クリスティーヌに返しに行った。本編でオスカル戦死直後に亡くなったとしか映らない描写だったが、実は病死するまでに数日の間があったという設定だった。しかし、非常にわかりにくかったため、読者の混乱を招いた。

 ラソンヌ先生
 ジャルジェ家の主治医。アニメ版のオリジナル・キャラ。代々医師してジャルジェ家の世話になっている世襲医。「医師」という役名で第8話では落馬したオスカルの、第18話ではポリニャック一味に襲撃されたオスカルの診療にあたっている。個人名初出ではアンドレの眼の治療やオスカルの胸の病の診療にあたる。オスカルが3歳の時に熱を出した時検診に与ったとオスカルの診察時に回顧しており、それが真実(余命)を彼女に宣告するきっかけとなった。失明するのは時間の問題だということをアンドレは隠していたが、口止めはしていなかったのでオスカルに知られてしまう。


   王家の人々[編集]

 ルイ16世
 フランス国王。アントワネットの夫。祖父ルイ15世の崩御により即位。趣味は読書と鍛冶と狩猟。小太りでおとなしく優柔不断だが、真面目で家庭的な優しい性格で、国民からも慕われていた。しかし、ヴァレンヌ事件をきっかけに国民の信頼を失って処刑される。タンプル塔へ移される直前、フェルゼンから再び逃亡計画を持ちかけられるものの、国民はおろか国外へ逃亡した貴族達からも見放された事から、「もはや私は 世界中から見捨てられてしまった…」とつぶやいていた。
あまりにも美しくて魅力的な妻に愛していると告げることは出来ず、王妃としての義務を果たした彼女がフェルゼンと恋仲になっても[15]責めることなど出来ないと痛む心を隠し、アントワネットが「フェルゼンに帰国命令を出しましょう」と告げるも彼の人柄を知っていたので思い留まらせた。
本作の参考となったツヴァイクの小説『マリー・アントワネット』では背が低く小太りとなっているが、史実では長身で背はオスカルと同じ高さであり筋肉質だった。更には、アントワネットとの間に王子・王女が誕生するまで7年の歳月が経ったのは結婚当時は未成熟の子供であり、不能で包茎手術を受けたという事実は無かった。

 ルイ15世
 フランス国王。ルイ16世の祖父。国民のことは省みず、宮殿で贅沢な毎日を送っている。愛らしいアントワネットが孫嫁となり満足するが、彼女と愛妾デュ・バリー夫人の対立に頭を痛める。後に天然痘を患い崩御する。深夜、埋葬のためにサン・ドニ教会に棺が運ばれたが、その棺を守るのはオスカルを含めた近衛兵40名と小姓36名だけだった。度重なる戦争につぎ込んだ軍事費が原因で財政は逼迫しており、アントワネットに憎悪の矛先が向く原因の1人である。

 アデライード内親王、ヴィクトワール内親王、ソフィー内親王
 ルイ15世の4女、5女、6女。ルイ16世の叔母でもある。娼婦で父ルイ15世の愛妾デュ・バリー伯夫人を毛嫌いし、アントワネットにデュ・バリー伯夫人を無視するよう唆す。オスカル曰く「オールドミスの叔母君たち」。舞踏会でアントワネットがデュ・バリー伯夫人に声をかけようとするのを阻止するため、アデライードが寸前でアントワネットを連れ出した。ルイ15世の死去により、王女としての栄光は終わった。フランスとオーストリアの同盟の破綻による戦争の危機より、自分達のデュ・バリー伯夫人に対する憎悪を優先させた。

 オルレアン公フィリップ
 フランスの王族。居城のパレ・ロワイヤルを平民の文化人たちに解放しており、黒い騎士の根城にもなっていた。
史実では、王妃マリー・アントワネットを盛んに中傷し、その政敵であったことでも知られており、王位を狙ってイメージ戦略でアントワネットの評判を悪くし、「首飾り事件」を攻撃材料として利用した。王政復古を狙うデュムーリエ将軍によるオルレアン公擁立の陰謀が破綻し、嫡男ルイ・フィリップが革命政府に叛旗を翻したデュムーリエと共にオーストリア軍に投降したため、ジロンド派によって共和制転覆の嫌疑をかけられ、財産没収の上に逮捕された。無実を訴えるも有罪とされ、ルイ16世が処刑された同じ年の1793年11月6日の夕刻、断頭台の露と消えた。自身が王位に就くことはなかったが、ルイ14世の庶系のパンティエーヴル公爵ルイ・ジャン・マリーの娘ルイーズ・マリーとの間に生を受けた嫡男ルイ=フィリップが国民の怒りを買って英国に追放されるまで七月王政のルイ・フィリップ1世として王位に就く。続編『栄光のナポレオン-エロイカ』の中盤で甥のアンギアン公が登場するが、冤罪事件で処刑されてしまう。
 1回きりしか出番のなかった原作とは異なり、アニメ版ではアントワネットのフランス入り阻止を企むなど、王位を狙って様々な策謀を巡らす。初期は露骨に野心剥き出しで高圧的な命令口調だったが、黒い騎士事件の折は物静かな紳士的な丁寧口調で巨悪らしさを醸し出していた。

 アルトア伯[16]
 ルイ16世の次弟。原作ではルイ・ジョゼフがまだムードン城で静養して存命中の頃から、早く死ねばいいと言い放っており、甥に対する情愛の欠片も見当たらない。

 プロヴァンス伯[17]
 ルイ16世の直弟。原作のみ。作中で「ロシアに亡命した王弟殿下」と言われる人。第2王子ルイ・シャルルはフェルゼンとの間の不義の子に違いないとアルトア伯と陰口を叩き合った。

 エリザベス内親王
 ルイ16世の妹。原作のみ登場。アントワネットの輿入れ直後、ノアイユ伯夫人がフランス宮廷のしきたりを説明した際に名前と姿が出ただけであり、兄夫婦のそばにいても作中で殆ど描かれることはなかった。革命の嵐が吹き荒れる中、ヴァレンヌ逃亡で突如登場してルイ16世処刑まで描かれた。王弟でありながら敬愛する長兄を見捨てて亡命したばかりか各国にフランスへの攻撃を唆した次兄のプロヴァンス伯と三兄のアルトア伯を憎悪[18]し絶叫してアントワネットに王家の誇りを忘れないでと諭された。
 史実上の名は「エリザベート・フィリッピーヌ・ド・フランス」。長兄と次兄の夭逝により長子となった3番目の兄ルイ・オーギュスト(ルイ16世)に常に忠実であり、「天上のプリンセス」と呼ばれた人格者の誉れも高い女性。縁談を断り、国王である兄のそばに留まった。革命勃発後も兄国王一家と行動を共にする。処刑直前のアントワネットが手紙を送ろうとした相手である。アントワネットの死を知らないまま、自身もまたギロチンの露と消えた。コミックス第11巻に収録されたエピソード3で、姪であるマリー・テレーズが捕虜交換によりオーストリアに引き取られる前年、兄夫婦の刑死の翌年に処刑されたことが語られた。その回想の中でマリー・テレーズは「エリザベート叔母さま」と呼んでおり、史実通りの名前に変更されている。

 マリー・テレーズ
 フランス王女。アントワネットの長女。長年、子に恵まれなかったルイ16世とアントワネットの待望の第1子。
史実では2男2女の4人のうち、夭折した妹マリー・ソフィー・ベアトリスを除く3人の中で唯一革命後まで生き残るが、革命の悲劇により女性としての魅力を欠如した大柄で赤ら顔の厳格な女性に成長し、流転の人生を送った。1775年、アルトア伯シャルル(復古王政のブルボン朝最後のフランス国王シャルル10世)の長男アングレーム公ルイ・アントワーヌと結婚し、相思相愛の夫婦だったが子供は出来なかったため、彼女の死によりルイ16世とアントワネットの血統は絶えてしまう。

 ルイ・ジョゼフ
 王太子(モンセニュール)(ドーファン)。アントワネットの長男。病弱だが聡明な少年で、オスカルに憧れている。脊椎カリエスのため僅か7歳で死去。亡くなる直前、オスカルと遠駆けに行った先でオスカルに愛を告白し、キスしていた[19]。葬儀の際、財務大臣が「国庫は空っぽで葬儀費用が無い」と打ち明け、ルイ16世は銀の食器を売り払って葬儀費用を捻出したが、もはや王室には一国の王太子である彼の葬式を出す費用すらなく「これまでの贅沢の報いだというの!?」とアントワネットは愕然とする。
 史実では数名の乳母の1人であるジュヌヴィエーヴ・ポワトリンヌから「結核」を移されてしまう。その後、結核菌が血管に入り込んで血流により運ばれて脊椎に転移したため、三部会会期中に「脊椎カリエス」により8歳の誕生日を迎えることなく7歳の半ばで死亡した。

 ルイ・シャルル
 アントワネットの次男。ノルマンディー公。兄の死後、王太子となる。父王の処刑後、アントワネットと引き離される。作中では市民と陽気に歌ったり楽しそうに笑いながら母や姉のことを忘れていってしまうが、史実では劣悪な環境に置かれて矯激派のエベールにより後見人兼教育係として指名された文盲の靴屋アントワーヌ・シモンに「再教育」という名目で虐待され、わずか10歳で不幸な死を遂げた。

 マリア・テレジア
 アントワネットの母。オーストリア女帝。フランスとの戦争終結のために末娘のアントワネットをフランス王太子妃として送り出すが、彼女の性情を熟知していたので取り返しのつかない過ちを犯したのではと別れ際まで内心迷いを捨てきれなかった。アントワネットの未来を案じており、彼女が次第に贅沢三昧の日々を送るようになった挙げ句、小トリアノン宮に取り巻きだけを連れて閉じこもったことを知ったショックで病に倒れ、長男のヨーゼフ皇帝や臣下の見守る中で亡くなった。
 作中では子供全員にとって愛情深き母親だったかのように描かれているが、外交に貢献できないと判断した病弱な次女マリア・アンナには愛情を抱けず酷薄だった。その一方で、4女マリア・クリスティーナを偏愛して恋愛結婚を反対していた夫フランツの死後、彼女にだけは恋愛結婚を許した。作中にある通りに死の間際までアントワネットを案じていた。原作では寝込んだ末に、アニメ版ではいつもの女帝としての装いで玉座に坐して亡くなった。
貴族[編集]

 ポリニャック伯夫人
 ジュール・ド・ポリニャック伯爵の妻。アントワネットから寵愛されている貴婦人。ファーストーム「マルティーヌ・ガブリエル」を長らく明かされなかったが、アンドレが調べていてロザリーの実母だと判明した。婚家は宮廷への出入りは認められていたが、多額の借金を抱えて貧しかった為、王妃に言葉巧みに親族の昇進をねだったり、賭博を勧めて大金を巻き上げたりと優しげに見えて強欲で野心家。邪魔者であるオスカルの殺害も何度か図っている。舞踏会で再会した時はロザリーが少女時代にサン・レミー男爵に孕まされて産んだ我が子だとは気づかなかったが、後に娘だと知り自身が馬車で轢き殺した女性こそ、ロザリーを引き取り育ててくれた恩人ニコールであったことを悟る。
 シャルロットの死後、ジャンヌが起こした「首飾り事件」でロザリーを脅してポリニャック家へ引き取るが、徐々にアントワネットの寵愛を失って危機感を抱きロザリーをド・ギーシュ公の元へ嫁がせようとし、当のロザリーに出て行かれてしまう。フランス革命が本格化してきた頃、一族でフランスから亡命した。
 アニメ版では、ロザリーを出産した15歳当時は「マルティーヌ・ガブリエル」だったが、結婚後にファーストネームを「シャロン」に変更。ロザリーの父、そしてニコールとの繋がりも明言されていない。
シャルロット・ド・ポリニャック
 ポリニャック伯夫人の娘。11歳。ロザリーの異父妹。貧しかった時には母の用意したドレスに目を輝かせていたが、母の権力を背景に、舞踏会などで高飛車な態度で振舞った事もある。オスカルに想いを寄せており、母の決めたド・ギーシュ公爵との結婚を嫌悪して「今度産まれてくる時は貴族じゃない家の子になるわ」と思いつつ投身自殺[20]する。アニメ版ではド・ギーシュ公爵に言い寄られ、手にキスをされたことで発狂。無意識の内に塔に登り、飛び降りてしまう。
 原作では、当初ロザリーを見下していたが、後に結婚の事で落ち込む自分を慰めてくれたことで「姉のようだ」と親しみを感じるも最期まで実の姉妹だと知ることはなかった。アニメ版では数回言葉を交わしただけで、和解することはなかった。
原作では登場はしないが弟妹がいる。物語前半で、「ポリニャック伯夫人が出産のため宮廷を下がっている」(オスカル談)と言う場面がある。

 ド・ギーシュ公爵
 フルネームは「ローラン・ド・ギーシュ」。会計検査庁長官で、国王の信頼も厚い。ボナージュ地方のほぼ全域を領有している大貴族。43歳。若い娘が好みでポリニャック伯夫人から提示されたシャルロットとの結婚に乗り気でいた。シャルロットの自殺後は彼女の姉、ロザリーとの結婚を心待ちにしていたが逃げられる。
 本人が登場するのはアニメ版のみで、原作では名前のみの登場。

 ド・ゲネメ公爵
 フルネームは「アンリ・サルバドール・ド・ゲメネ」。フランスの大貴族。オルレアン公の派閥で、王族限定の晩餐会にも列席する。尊大で高慢、身分の低い者を虫けら呼ばわりし、笑いながら騙し討ちをする残忍な卑劣漢。
ピエール坊やを銃殺した件を国王夫妻との晩餐会でオスカルから暴露され、あわや決闘寸前になるが、アントワネットに止められ、内心ホッとしていた。アニメ版では暴露されたことに激昂したために決闘が決まり、オルレアン公と結託して不利な条件に持ち込んでオスカルを射殺しようとしたが、寸前でオスカルに悟られて銃弾を防がれた揚句、右手を撃ち抜かれた。また、ピストルの腕前は非常に高く、フランスの射撃大会で二位の成績を持つほどでもあった。
 ド・ゲメネ公という人物は実在するが、人物造形は『二都物語』のエブレモンド侯爵がモデル。

 ド・ローネー侯爵
 7月14日当時、バスティーユ牢獄の指揮・警備をしていた。
牢獄内の大砲をパリ中心部へと向け、市民との対決姿勢を表した。オスカル率いる衛兵隊と戦闘を続けるも、衛兵隊と市民の圧倒的な戦力に押され、降伏の白旗を掲げる。その後パリ市長フレッセルと共に処刑され、首は落とされてパリ市中で晒される。

 ノアイユ伯夫人(en)
 フランス王室に嫁いだアントワネットの教育係。アントワネットからは「エチケット夫人」と呼ばれたこともある。やや口やかましい面があるが、アントワネットを心から心配している。ほぼ全ての貴婦人達を網羅しているため、オスカルやアンドレからも頼られる時がある。詳細は不明だが、途中から登場しなくなる。

 メルシー伯(en)
 アントワネットを心配したマリア・テレジアが派遣した駐仏オーストリア大使。アントワネットの教育係でもある。耳の痛い小言ばかり言うが、アントワネットを心配してのことであり、真の忠誠心をもって仕えている。アントワネットに対し、母マリア・テレジアの死に対してお悔やみの手紙を書く様に話す場面を最後に姿が見えなくなるが、首飾り事件直後、フェルゼンがアントワネットに「メルシー伯の元へお戻り下さい」と忠告したり、革命勃発直前にマリー・テレーズが「メルシー伯が怖い顔をしている」と訴えていることから、実は周囲にいる様子が窺えた。革命発生後にベルギーに亡命する。

 カウニッツ
 オーストリアの総理大臣。ヨーロッパの平和のためにアントワネットのフランスへの輿入れを提案した。女帝の意を挺し、フランス宮廷の公式寵姫であるデュバリー夫人に対する態度を改めるようアントワネットに訓令を出した。アントワネットが呼んだ渾名は「カウニッツのがりがりじじぃ」。

 ソフィア・フォン・フェルゼン(en)
 フェルゼンの妹。原作のみ登場。オスカルに魅了されるが、兄に「あの方は長生きできないタイプだ」と印象を漏らす。新エピソードでは、ジェローデルと同志的な感情を共有し、オスカルが生涯に1度だけ女性としてドレスを纏ってフェルゼンと踊った際、その貴婦人がオスカルだと見破った。

 カロンヌ
 ネッケルの後任の大蔵大臣。財政が危うくなったので貴族からも税金をと提案するが、貴族議会全員一致で罷免された。腹いせに王室の財政赤字を書類に認め、彼が街頭演説する形で市井に暴露した。これがバスティーユ襲撃のきっかけとなる。

 ロメニー・ド・ブリエンヌ
 大蔵大臣。財政困難と破産を回避すべく倹約政策により宮廷に勤めていた小姓・給仕係・僕童・衛兵・軽騎兵を免職・解雇させたが、歴代の国王と貴族の浪費と贅沢により積み重ねた赤字は小手先の政策では埋めることの不可能なものになっていた。

 リアンクール公(en)
 ルイ16世の側近。公爵。原作のみ登場。深夜にベルサイユ宮へと現れ、兵士の制止を振り切りルイ16世の寝所へ行きバスティーユ襲撃を報告する時、暴動かと訝る国王に「いいえ陛下、革命にございます…!」と言上した。
 フルネームは「フランソワ・アレクサンドル・フレデリク・ド・ラ・ロシュフーコー=リアンクール」。フランス有数の名門貴族リアンクール家の当主デスティザック公フランソワ・アルマン・ド・ラ・ロシュフコーの嫡男として生を受けた。1783年、亡くなった父の官職を継承して国王ルイ16世に取り立てられて側近の1人になり、「王室衣裳寮長官」に就任したがゆえに国王の寝室に入る資格を与えられ、就寝中のルイ16世の元に馳せ参じてバスティーユ襲撃を報告した。

 フェルゼンの父
 フェルゼン家の当主。スウェーデンの陸軍元帥にして王室顧問官を務める。長男であるハンス・アクセルを修業に出した当時[21]とは異なり、革命の嵐のただ中に飛び込むも同然の長男のフランス行きに猛反対するが、それがハンスに届くことはなかった。
ロングショットながら姿が1コマだけ描かれた。

 ファビアン・フォン・フェルゼン
 フェルゼンの弟。フェルゼンが家族の反対を押し切って革命の動乱に揺れるフランスを赴いた際、死を覚悟していた兄からフェルゼン家を託された。アニメ版ではソフィアばかりではなく、スウェーデンから革命の動乱に揺れるフランスを目指そうとするフェルゼンを止めた家族の姿は描かれなかった。

 トゥルゼル夫人
 兄の死後に王太子になったアントワネットの次男ルイ・シャルルの教育係の女官。ポリニャック夫人がアントワネットら王家を見捨てて亡命したため、新たに王太子の教育係に任命された。ヴァレンヌ逃亡にも同行した。原作のみの登場。

 ラ・ファイエット侯
 物語後半、三部会で平民議員が議場から排除されそうになる場面で登場。ロベスピエールたちを庇い、議場(fr、球戯場の誓いも参照)に向かって来る近衛兵を立ち退かせようと、他の青年貴族達と共に近衛兵の前に立ちはだかった。
フランス革命が本格化した頃、バスティーユ牢獄陥落で武装した平民達を正式に兵隊として採用。その後、国民衛兵司令官として革命派に付くが、その後の政争などを経て将軍職を辞任。

 ドルーブレゼ侯(fr)
 三部会の進行役である儀典長(fr)を務める。議場入口で点呼をとりながら議員たちを入場させる中、故意に平民議員を正面から入場させず、彼らに裏口から入場するよう示唆、治安を与るオスカルやロベスピエールたち平民議員と対峙する。

 オノレ・ガブリエル・ド・ミラボー伯爵
 第1巻から登場。オスカル曰く「酒や女に溺れていた、放蕩児」だったが、後に革命派となり三部会ではプロバンス州の平民議員として当選しロベスピエールを支持した。フランス革命が本格化した1791年4月、密かに革命を裏切りフランス王室側についていたが、急死した。

 ディアンヌ・ド・ソワソン
 アランの妹。愛らしく清楚で、衛兵隊のアイドル。元は「ディオンヌ」だった。以前、オスカルが着任する前の隊長に司令官室へ無理矢理引っ張り込まれ乱暴されそうになったが、兄アランが顎を砕いて返り討ちにした。そのため、アランは少尉→兵卒に降格処分[22]になった。
名ばかりの貴族ということと貧しさ、平民の裕福な娘に心変わりした婚約者に捨てられ、首を吊る。原作では肉体は腐敗して白骨化しつつある姿が描かれたが、アニメでは血の気が失せた状態で姿は可愛らしいままだった。エピソード4「アラン編」でアランは元婚約者を射殺しようとしたのを断念した際、兄の心の中で助けてくれたことに感謝していた。

 ジョゼフィーヌ
 ジャルジェ将軍の開催したオスカルの夫候補を募る舞踏会で、反発するオスカルが誘惑して踊った黒髪の女性。彼女の5人の姉の1人と同名。
軍関係者[編集]

 アラン・ド・ソワソン
 フランス第一連隊ことフランス衛兵隊所属ベルサイユ常駐B中隊の班長。男尊女卑の塊で、妹を守るためとはいえ先代の隊長を殴って降格されて規則[23]により元の階級には戻れず、自暴自棄となって反抗を繰り返す。紆余曲折の末に、オスカルに一生分の片想いと上官としての敬愛を抱く。アニメ版ではアンドレの飲み友達として登場し、同年代の友人としてアンドレを支えた。バスティーユ襲撃の後、海辺の郷里に戻り農夫になって畑を耕しながら母と妹の墓を守っている。劇的な描写が好きな作者はこの農夫アランが不服だったことから、『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場し、ベルナールと共にナポレオンを暗殺に失敗して射殺された。

 ヴィクトール・クレマン・ド・ジェローデル
 近衛隊でのオスカルの副官。ジェローデル伯爵家の次男。アニメ版では第1話から登場していた。階級は大尉→少佐[24]→大佐[25]。
オスカルがフランス衛兵隊に去った後、彼女の推挙により近衛連隊長を拝命。後日、オスカルが去ったことで初めて彼女を女性として見ることしか出来ず、愛していることに気づいてジャルジェ将軍にオスカルとの結婚を願い出た。しかし、アンドレが不幸になれば自身もまた不幸になると語ったオスカルの心情を聞かされて納得し「貴方が不幸になるなら自身もまた不幸になる。」と告げて潔く身を引く。自身の容姿や家柄に自信を持ち気障な男性だが、オスカルの女性としての密かな葛藤をも見抜いている。洗練された貴公子であり、身分・家柄も良くオスカルの夫候補に相応しいものだった。アニメ版ではそれらは一切削除され、ジャルジェ将軍に舞踏会でのことを告げて縁談は終わっている。生きているオスカルを見たのは原作・アニメ共に平民議員排除を彼女に従って背き、撤退したのが最後でこれが今生の別れとなった。
 新エピソードが収録された『ベルサイユのばら』第11巻では第3巻の初登場時のジェローデルが再び掲載されているが、その他大勢の一隊長として登場しているので編集者から「新エピソードでここまで出世するとは作者や誰もが予想できなかっただろう」と述べている[26]。
元々は名前が無く、「ヴィクトール・クレマン」とはアニメで命名されたものであり、新エピソードでは「フローリアン・F」という名が設定された。

 ブイエ将軍
 王党派軍人。陸軍参謀総長→陸軍総司令官。貴族としての階級は侯爵。フランス衛兵隊異動後のオスカルの上司。原作ではジャルジェ将軍とは仲が悪い。アニメ版では古い友人であり第一話から同僚として登場しており、オスカルの結婚話の時には彼女のために盛大に舞踏会を開く程の仲だった。三部会議場でのオスカルの大逆によりジャルジェ将軍を庇いきれなくなる。オスカルに平民議員や市民への発砲を命じる。
原作と史実ではヴァレンヌ事件にあっては国王一家救出に失敗した。フェルゼンの危惧を一笑に付すも的中してしまい、最初の場所で民家に近い場所に兵士を配置して不審がられて撤退を余儀なくされ、次では待ちくたびれた兵士が酔っぱらって騒ぎを起こした上で国王一家は来ないと勝手に決めつけて去ってしまう。更には、連絡将校として2人の息子が国王一行の元に赴いたが、権限が無いにも関わらず警鐘を鳴らしたジャコバン派のドルーエの起こした騒ぎに仰天して計画が発覚したと勘違いして逃げ去ってしまう。辿り着いた頃には既に国王一家がドルーエらの手に落ちており、「まごまごしていては こちらが危ない」と退却ラッパを鳴らし、ベルギーの国境都市でフェルゼンに事の次第を打ち明けた。

 ショワズィエ・ラ・ボーム大佐
 ブイエ将軍の腹心。陸軍大佐。アニメ版のみ登場。ブイエ将軍の命により、三部会議場オテル・デ・ムニュ入場の指揮案内(原作ではドルーブレゼ侯爵)を務める。

 ダグー大佐
 フランス衛兵隊でのオスカルの副官。
 貴族であり、革命時には「もはや、貴族以外の何者にもなれません…」と告げ、苦悩しつつオスカルらとは袂を分かつことになる。アニメ版では作中の1年前に妻を胸の病で亡くしており、オスカルが同じ症状を患っていることにただ一人気づき、自邸での休養を涙ながらに勧める。オスカルとB中隊が離反する際には「無断で休暇を取るので上層部への報告は翌日以降になる」と理解を示し、ただの堅物だと思い込んでいたアランらB中隊の心境に変化を与えた。

 ラサール・ドレッセル
 フランス衛兵隊B中隊隊員。軍から支給された剣(アニメ版では制式銃)を売ったことが発覚して憲兵隊に逮捕されるが、それを機にオスカルは平民兵士や民衆がいかに困窮しているかを知る。アニメではその後、隊長オスカルがスペイン王室より来賓したアルデロス公御一家を護衛した功績を持ち出してブイエ将軍に直談判、ラサールは憲兵隊から釈放される。革命派と合流後は、仲間を殺された怒りと悲しみから逆上して敵部隊に突進し、蜂の巣にされた。

 ランベスク公
 王妃の信厚き王党派軍人。他の連隊同様、市民の暴動を鎮圧すべく地方駐屯よりパリに上る。ドイツ人騎兵連隊を率いて、チュイルリー広場を占拠する。民衆の挑発に乗った兵の発砲から暴動に発展する。陸軍を除隊したオスカルたち元B中隊と応戦した。

 ナポレオン・ボナパルト
 『栄光のナポレオン-エロイカ』の主人公。原作のみ。本作品登場時はラ・フェール砲兵連隊付き少尉。当時、砲兵連隊はオーソンに駐屯中のため、その場にいることを不自然に思ったオスカルが呼び止める。
その風貌から、オスカルは「あれは帝王の目だ…鷲の目だ…!」と激しく戦慄した。アントワネットやロベスピエールたちの処刑を経て、フランス皇帝に上り詰めている。


    革命派[編集]

 ベルナール・シャトレ
 ル・ヴュー・コルドリエ紙の新聞記者。カミーユ・デムーランがモデル。1760年生まれ。生い立ち[27]から貴族を憎み、オスカルを「王妃の犬」と罵声を浴びせた。その後、義賊「黒い騎士」として貴族から盗みを働く。オスカルに捕えられるが、平民の実態を知ったオスカルは窃盗を止めることを条件にロザリーを託し街へと帰される。アニメ版ではロザリーはジャルジェ邸には戻らなかったため、静養先として彼女の家に向かい、ロザリーが養母を亡くした時のこともあって次第に惹かれ合うという設定に変更された。
アランと同じく『栄光のナポレオン-エロイカ』にも登場し、そこではロザリーとの夫婦円満ぶりが描かれている。アランと共にナポレオン暗殺を実行しようとして失敗、壮絶な最期を遂げた。
「首飾り事件」でも裁かれるべきは真相や物事の善悪よりもアントワネットの悪事だと信じる人間の1人であり、生い立ちによる王侯貴族に対する闇雲な憎悪と「王侯貴族は悪」という価値観を持ち続けたため、ナポレオンが皇帝に就く直前にフーシェとタレイランによって濡れ衣を着せられ裁判を受けられずに処刑されたアンギアン公の冤罪事件による暗殺を気の毒がるロザリーを不思議がり、ただ共和国にとって危険度の低い貴族が死んだという認識だった。

 マクシミリアン・ド・ロベスピエール
 オスカルが領地のアラスで出会った弁護士。平民だが、代々、姓の前に「ド」を付けている。ルイ16世即位の時には総代としてルイ・ル・グラン学院で祝辞を述べる。後にアルトア州選出議員となり三部会で再会する。ある大雨の日に開催された三部会で、平民議員は正面玄関を通らせてもらえず、ドルー・ブレゼ候から「裏口へまわってもらう」と言われ、「彼らはれっきとした国民の代表なんだぞ!!」と抗議するオスカルを窘め、自分達で今の体制を変えるという情熱をオスカルに語った。
原作では貧しい平民の味方で、情熱的な革命家という造形だが、アニメ版では革命の気運が高まるに連れて過激化し、手段を選ばなくなるなど、後の恐怖政治を暗示させている。
6歳の時に母を失い、父親から3人の弟妹と共に捨てられてしまった過去をベルナールが熱く語った。
ルイ・アントワーヌ・レオン・フロレル・ド・サン・ジュスト
ベルナールの遠縁に当たる青年。雨の中で見かけたオスカルは「男装の麗人」だと見間違えるが、れっきとした男性。エロ小説(本人曰く芸術)「オルガン」を出版したことがきっかけで警察に追われる身だったが、アランら救出のための演説をベルナールに依頼すべく訪れたオスカルを自身を逮捕に来たと勘違いし、射殺しようとして返り討ちに遭った。ピカルディー州選出議員を経てロベスピエールの側近となる。物語終盤、議場でルイ16世の刑を巡り討論になった際、彼の死刑を決定付けるスピーチをした。
原作ではユーモラスな性格だったが、アニメ版では急進的で冷酷なテロリストとして描かれ、ベルナールの縁戚という設定は削除された。

 エベール[28]
 パリの市議会議員。原作のみ登場。ジャコバン派の中でも矯激派と呼ばれる急進左派で極左勢力「エベール派」の主要メンバー。アントワネット裁判の際、ルイ・シャルルとの近親相姦があったという虚偽の事件を仕立て上げてアントワネットを陥れようとしたが、聴衆の女性達から反感をくらい、サン・ジュストにその後の運命を暗示するような発言をされている。
ジャン=バプティスト・ドルーエ(en)
ジャコバンクラブに加入する革命家。原作のみ登場。1763年生まれ。元近衛兵にして共和主義者。宿駅長を務めるサン・ムヌー(en)で国王一家の正体を見破り、先回りをしたヴァレンヌで捕らえ、パリへ帰還させる。
史実では、サン・ムヌーで武装して集まった国民衛兵隊300名との衝突を恐れて解散を命じた竜騎兵部隊の指揮官ダンドワン大尉や竜騎兵が馬車の中の従僕や侍女に恭しく挨拶するのを、夕涼みに出ていたドルーエは目撃し怪訝に思った。

 バイイ
 三部会開催から登場。のちのパリ市長。ジュー・ド・ポームでは、自分達を議場から締め出した王家に対し決して諦めず憲法制定まで闘い抜くことを平民議員たちと誓い合う。アニメ版ではその役割をロベスピエールに変更された。
首飾り事件関係者[編集]

 ジャンヌ・バロア
 ロザリーの異母姉。(ロザリーと母親が異なることは知らぬまま亡くなる)旧王朝バロア王朝の庶末裔、サン・レミー男爵[29]の落胤。自身の美貌と血筋に相応しい生活を手に入れるためには手段を選ばず、貴族の養女となり、巷に「アントワネットの親友」という噂を流して真に受けたローアン大司教を利用して様々な犯罪行為に手を染めた末に「首飾り事件」を起こす。高等法院で有罪となり、「V」(泥棒の意)の焼き鏝を両肩に捺された上(fr)、終身禁錮刑の判決を受け、サルペトリエール監獄(en)に投獄されたが、何者かの幇助で脱獄し、サベルヌ修道院に身を隠しながら「ジャンヌ・バロア回想録」なる暴露本数巻を捏造して出版、王室を強烈に批判する。
最後はニコラスと共にサベルヌの屋敷に篭城。ベルトレー火薬を仕掛けて抵抗するが、アンドレに倒されはずみでニコラスを刺殺してしまい、バルコニーへ逃げるも転落死した。史実の死に方になぞらえた最期だった。
 アニメ版では素性を隠したオルレアン公の助けで脱獄し、その指示で暴露本の出版活動を行ったが、出版が一段落すると始末のため居場所を密告された。オルレアン公のことは当初から信用しておらず、隠れ家を包囲されてもう逃げられないと察しており、オスカルを絞殺しようとしたニコラスをナイフで刺して予め仕掛けておいた火薬に繋がる導火線に火をつけ、お互いに納得の上で心中した。史実では誰が脱獄させたかは謎である。

 ニコラス・ド・ラ・モット大尉(en)
 もともとはブーレンビリエ家に出入りする平民の軍人だったが、ジャンヌの手引きで貴族を名乗る様になる[30]で、ジャンヌに惚れ結婚。ローアンの推薦で近衛士官となる。ジャンヌが悪事を計画する度に彼女の大胆さに驚くが、半ば楽しんで加担する。ジャンヌの命令でロザリーを殺そうとするが、のちに舞踏会で再会した時に彼女だと気づかないなど頭はあまり良い方ではなく、他にも近衛隊でも出来の悪さにオスカルに呆れられる事もあった。オスカルに対して反感を抱いている。
 「首飾り事件」で、宝石商のべメールから騙し取ったダイヤモンドの首飾りを売りさばきにすぐにイギリスへ渡り、事件発覚後は逃亡中につき不在のまま指名手配され、終身漕役刑[31]の判決を受けた。
最後はジャンヌと共に、サベルヌの屋敷に篭城。抵抗するが、アンドレの反撃で倒されたジャンヌの持っていた剣が刺さる事故により死亡した。アニメ版では納得づくの心中にされた。

 ルイ・ド・ローアン大司教
 教会の高位職にある僧侶。オーストリア大使の経歴があり、放蕩癖と女遊びの激しさ[32]から女帝マリア・テレジアと王妃アントワネットに嫌われていた。アントワネットの高貴な美しさに恋心を抱いているが、相変わらずの放蕩癖で嫌われている。ブーレンビリエ侯爵夫人の知人であった縁から、王妃の親友を名乗るジャンヌに付け込まれ、虚言に惑わされて首飾り購入の保証人となり、「首飾り事件」に巻き込まれる。事件発覚後、首飾りの代金全額支払いを申し出るも、ローアンを嫌悪するアントワネットに拒絶され逮捕される。裁判開始までバスティーユ牢獄で留置された。法廷でジャンヌに濡れ衣を着せられるが、判決で無罪を言い渡された。行状を知らない民衆より熱狂的に支持された。
裁判では無実でもルイ16世により国外追放処分となった。因みに、姪シャルロットの夫で『栄光のナポレオン−エロイカ』にて冤罪事件の犠牲になったアンギアン公ルイ・アントワーヌは、ルイ16世の従兄オルレアン公の妹ルイーズ・マリー・テレーズ・バティルドを母とするオルレアン公の甥。

 ブーレンビリエ侯爵夫人
 馬車で下町を通りかかった際にやって来たジャンヌの「バロア王朝の末裔の孤児」という言葉を鵜呑みにし、彼女を屋敷に引き取り貴婦人としての教育を受けさせる。宮廷への出入りは認められていなかった[33]。
実在の人物だが、「ジャルジェ夫人の友人、ジャンヌの野望と証拠隠滅のために殺害された」部分はフィクション。

 レトー・ド・ヴィレット(en)
 他人の筆跡を真似るのが得意な詐欺師。ジャンヌと共謀し、ブーレンビリエ侯爵夫人の遺言書や王妃のローアン充てラブレターを作成した(しかし王妃の筆跡に関しては、国王から『全く異なっている』と指摘される)判決で、鞭打ち50回の上で35年間の国外追放を言い渡された。

 ニコル・ド・オリバ
 パリ下町の娼婦。アントワネットに瓜二つの容姿をジャンヌに利用され、「首飾り事件」に関与させられる。アニメ版では盲目で、純粋な性格に変更されており、口封じに殺害しようとしたジャンヌの心を動かす。裁判のため証人として出廷したところ、あまりにも瓜二つなため、パリ高等法院の裁判長(声 - 加藤精三)や傍聴人を驚かせた。判決では、無罪を言い渡された。
モデルは、後に偽名「ニコル・ドリヴァ男爵夫人」を称する娼婦マリー・ニコル・ルゲイ・デシニー。

 ベメール
 王室に出入りする宝石商。ルイ15世の在位中、デュ・バリー夫人に贈るダイヤモンドの首飾りの注文を受けたが、急逝したため引き取り手がなくなり、しかも値段が160万リーブル(約192億円(連載当時))という高額なため、どこの国の王室も相手にしてくれず、「分割払いでもけっこうですから…」とアントワネットに勧めるが、「ダイヤはいっぱいもっていますし」と断られた。
そこで、「王妃と親しい」というジャンヌに、ダイヤの買取りを勧めて欲しいと依頼。ローアン大司教を保証人にするが、ジャンヌに騙し取られてしまう。後日、騙し取られたとは知らずにアントワネットに請求の手紙を送るが、何も知らないアントワネットはその手紙を燃やしてしまう。支払いが滞っていることにたまりかねてベルサイユに行き、カンパン夫人(en)に事の次第を訴えたため、事件が発覚した。ジャンヌの「アントワネットの親友」というデマを真に受けた1人である。


   その他[編集]

 デュ・バリー伯夫人
 ルイ15世の愛妾。下町で娼婦をしていたが、当時の情夫に金を出させて名門のデュ・バリー伯爵と形だけの結婚をして伯爵夫人となった翌日に伯爵を毒殺した。その後、宮廷に出入りするようになり、美貌と肉体を武器に国王の寵姫の座を手に入れた。アントワネットと対立し、一時はアントワネットを屈服させるほどの権勢を誇っていたが、ルイ15世の危篤に伴い、司祭の命により宮廷から追放される。アニメ版では粗末な服に着替えさせられ、兵士に鞭打たれていたところをオスカルに救出される。その後、護衛で同行したオスカルに「自分を守る為についた嘘」を見破って礼を言い、平民としての生い立ちと前向きな心境を話して聞かせ、のちのちのバスティーユでの寝返りへの伏線となる。幼少期に孤児になったことと、宮廷で権力をかさにした横暴な振る舞いはフィクションである。
アントワネットを窮地に陥れる「首飾り事件」の首飾りは、崩御直前のルイ15世が彼女のために発注した品である。

 ニコール・ラ・モリエール
 ジャンヌの母、ロザリーの養母。落ちぶれつつあったバロア家の女中をしていた時、最後の当主サン・レミー男爵と恋仲になり、ジャンヌを未婚で出産。数年後、当時15歳の貴族の娘、マルティーヌ・ガブリエルが当主に弄ばれて妊娠。困惑していると知って、彼女が出産したロザリーを自分の2番目の娘として引き取った。心優しい性格で本来なら恋敵であるはずのマルティーヌのことを思い遣った。
当主の死後は下町へ転居。ジャンヌの性格に悩まされており、盗みをした彼女を叱り飛ばしたこともある。のちに過労とジャンヌの出奔による心労から床に伏す。ポリニャック夫人の馬車に轢かれ、ロザリーに自分の実の娘ではないこと、貴族である彼女の実母の名を言い残して死亡する。原作ではジャンヌと同じ黒髪だったが、アニメ版ではロザリーに実の親子だと信じる要因の1つとしてブロンドに変更された。
なお、ファーストネーム「ニコール」はアニメ版で命名されたものであり、原作ではロザリーもポリニャック伯夫人も「ラ・モリエール」としか呼んでいない。

 ピエール
 パリの下町に住む子供でロザリーとは近所同士。貧しさの余りド・ゲネメ公爵の馬車から金を盗んだことから、許すふりをした公爵に背後から騙し討ちで銃殺された。母親はのちに下町に戻って来たロザリーを居候させている。
じい
 フェルゼンが幼い頃から仕えている。彼がフランス革命直前のパリへ旅立つ時にも随行し、国王一家がオーストリアへ亡命する際の手配を手伝った。
最終回では、既に手遅れのアントワネットを救い出そうとするフェルゼンを必死になって制止した。それを振り払えぬほどに、その存在はフェルゼンにとって重かった。フェルゼンのアントワネットに対する愛に起因するフランス国王一家救出作戦を手伝ってはいたが、スウェーデン人のフェルゼンが実権を失ったフランス国王のためにそこまでしなければならないのかと不満を溜め込んでおり、大切に思っていてもフェルゼンの心情を理解できなかった。

 ビジェ・ルブラン夫人
 アントワネットのお抱え画家。妊娠中もアントワネットの肖像画を描き続け、アントワネットに心配された。原作のみ登場。史実ではマリー・テレーズ王女誕生後に作中の出来事があったため、まだ妊娠・出産を未経験だった頃のアントワネットとのやり取りはフィクション。

 ローズ・ベルタン嬢(en)
パリのサン・トレノ街で洋装店を経営する服飾デザイナー。平民だがアントワネットに気に入られ御用達ドレスメーカーとして宮廷に出入りをする様になり、流行の最先端を作り出していた。自身が持ち込んだ生地の色に対しての感想(原作ではルイ16世。アニメ版ではアンドレ)をも流行へと結びつける程、商才に長けており、アントワネットに対して高価なドレス、装飾品を次々に勧めてゆく。「首飾り事件」後、経費削減のために解雇されたという部分はフィクションで、史実ではコンシュルジュリー牢獄へ移送される直前までアントワネットに仕えていた。メガネを掛けている。

 カンパン夫人
 フルネームは「ジャンヌ・ルイ−ズ・アンリエット・カンパン」。旧姓は「ジュネ」。
アントワネットの部屋付き第一侍女の1人で、朗読係。女官長。また、会計係・宝石の管理係の任務も任された。平民の女性で外交官もしくは高級官僚だったブルジョワの父親に教育を受け、ルイ15世の王女(オスカル曰く「オールドミスの叔母君」アデライード、ヴィクトワール、ソフィー)の朗読係に任命されてオーストリアから輿入れしたアントワネットに仕えるようになった。革命により破産するも教育者として再出発し、帝政下に開いた学校にてナポレオン・ボナパルトの親族を教育して彼に認められるが、王政復古後、帝政下で成功した者を敵視するマリー・テレーズから絶縁される。

 ガマン先生(fr)
 ルイ16世の趣味である錠前作りの師匠。名前は原作のみ登場。
ベルナール・シャトレの母
回想シーンに登場。雰囲気がロザリーに似ている。ベルナール曰く「平民の貧しい商家の娘」だったが、妻子ある貴族に見初められ権力ずくで囲われた。パリに屋敷を与えられてベルナールを産むが、ベルナールが5歳の頃、自身を囲っていた貴族に新たな愛人が出来たことからベルナール共々に屋敷を追われて路頭に迷い、涙ながらにベルナールを抱きかかえてセーヌ川に身を投げて入水心中を図り息子を残して亡くなった。

 画家の先生
 小太りの肖像画画家。白馬にまたがるオスカルを描く。ばあや(マロン・グラッセ)に恋をしていた。ばあや曰く「ド近眼のやまあらし」である。アニメ版では痩身でアルマンという名でばあやに対する恋情は無かったことに変更された。

 ジャック・ネッケル
 大蔵大臣。スイスの銀行家で平民出身。財政危機に及び、三部会を開催することによる王政改革を提案する。しかし、特権階級に課税する案が仇となり、アントワネットに罷免された。アニメ版では彼の失脚がロベスピエールたちの扇動に利用される。娘のスタール夫人は、『栄光のナポレオン』に登場する。

 ソース
 ヴァレンヌの市長。粗野で攻撃的なドルーエとは正反対に恭しく接し、何とか穏便にと心を砕いた。もはや、国王一行の安全が定かではないと察し、すぐに戻るしかないと申し訳なさそうにルイ16世に促した。
 史実では、ドルーエにより「ひきとめないと反逆罪だ。」と脅迫されたヴァレンヌの町長の勧めで食料品店「ソース」の2階に部屋に、24時間の逃避行で疲れていた国王一行が一休みしたことに基づく。