ローマ帝国の滅亡

 『ローマ帝国の滅亡』(ローマていこくのめつぼう、原題:The Fall of the Roman Empire)は、1964年のアメリカ映画。

 大作歴史劇『エル・シド』(1961)に続き、製作者のサミュエル・ブロンストンと監督のアンソニー・マンが組んだ、古代ローマ帝国を舞台にしたスペクタクル歴史超大作映画。同じ題材で『グラディエーター』があるが、この映画はその先駆けとも言える作品。
ディミトリ・ティオムキンが作曲を手がけ、総勢 130人という空前絶後のオーケストラ編成で演奏された、壮大な劇伴音楽が評価を得た。ゴールデングローブ音楽賞を受賞。



          あらすじ

 領土を拡大するローマ帝国も五賢帝時代には拡張の限界を迎えざるを得なくなった。蛮族ババリアと東ペルシャはいまだローマに屈してはいなかった。
病床のアウレリウス帝は後継者の選定に悩んでいた。息子のコンモドゥスはあまりに暗愚であり、有能な軍団指揮官リヴィウスに禅譲する以外ないと考えるようになった。しかしながら、後継者を指名する以前にアウレリウス帝は盲目の侍従クレアンデルによって暗殺され、慣習によってコンモドゥスが帝位を継承することになった。
 先帝の愛娘ルシラはアルメニアがローマ帝国とペルシャの架け橋とする政略のために同国に嫁ぐことを強いられた。苛斂誅求を強いるローマに対し蛮族のババリアはローマに侵攻を開始しようとしたが、哲学者ティモニデスの説得で一度は何とか思いとどまったが、ついに耐えかね反乱が起こった。
リヴィウス率いるローマ軍はユーフラテス川を挟んでこれを撃滅した。新帝は捕虜を虐待し、蛮行の限りを尽くした。怒ったルシラは弟を暗殺しようとしたが失敗し、その際にヴェルルスは新帝が自分の子であることを告白したために新帝に殺害された。
 新帝はルシラとリヴィウスの処刑を決意したが、寛大にもリヴィウスに自分との決闘の機会を与えた。これが裏目に出てリヴィウスが勝ち、リヴィウスはルシラの手を取り物語は終焉を迎える。

      スタッフ

 監督:アンソニー・マン
 脚本:ベン・バーズマン、バジリオ・フランキーナ、フィリップ・ヨーダン
 撮影:ロバート・クラスカー
 音楽:ディミトリ・ティオムキン

      史実との違い

 ルシラ(ルキッラ、 Lucilla)は、史実ではコンモドゥス帝の10歳以上離れた既婚の姉(父アウレリウス帝と共同皇帝だったルキウス・ウェルスの未亡人、クラウディス・ポンペイウスの妻)であるが、映画ではそこまでの年齢差のない未婚女性として描かれ、アルメニア国王との政略結婚のエピソードが加えられている。また史実では弟コンモドゥスの暗殺未遂後にカプリ島に流されて亡くなっているが、映画では流されることなく、コンモドゥスの死後も生き続けている(史実では、コンモドゥスが死んだのは姉の死から10年後)。
 史実では病死となっているアウレリウス帝がクリアンダー(クレアンデル)によって暗殺されたことになっている。
コンモドゥス帝の暗殺未遂事件は、史実では姉ルキッラが当時の夫ポンペイウスを帝位に付かせるために計画し、愛人に実行を命じた事件であるが、映画では義憤にかられたルキッラが自らの手で弟を殺そうとしている。
 映画では、コンモドゥスが父帝アウレリウスの実子ではなく、母ファウスティナが愛人の元剣闘士との間に生んだ子であるとの脚色が加えられている。またコンモドゥスは、史実では10年以上帝位にいた後に重臣らによって暗殺されているが、映画ではそこまで在位しておらず、姉ルキッラによる暗殺未遂事件の直後に元親友の軍指揮官との決闘に負けて死んでいる。  (Wikipediaより)