地上5センチの恋心




 仏で大ヒットを記録したラブ・コメディ。突然、憧れの作家と共同生活を送ることになった未亡人の姿を、ポップかつファンシーなタッチでつづる。
 原題はOdette Toulemondeで、2006年制作、上映時間100分。フランスとベルギーの合作映画。
         



 オデット(カトリーヌ・フロ)は、明るくて少し夢見がちな主婦。先に逝ってしまった夫に代わって、昼はデパートで働き、夜は内職をしながら二人の子供たちと生活していた。そんな彼女の日課は、寝る前に大好きな作家バルタザール(アルベール・デュポンテル)の小説を読むこと。彼の本は、彼女をたちまち夢の世界に誘ってくれるのだった。ある日、バルタザールのサイン会が行われ、オデットはこの憧れの人物にファンレターを渡すことに成功した。しかし一方のバルタザールは、実は満たされない生活を送っていた。自分の小説は所詮女ばかりを喜ばせるだけの型にはまったロマンス小説にすぎないと思っていたのだった。そんなある時、最新刊がテレビで酷評され、挙句には妻が評論家と浮気しているという事実を知らされるバルタザール。思い余って自殺を試みるバルタザールだが、何とか一命を取り留める。そんな時、オデットから貰ったファンレターが目に入った。そこには彼への尊敬と感謝の言葉が並んでいたのだった。すっかり感激したバルタザールは、傷ついた心を癒してもらおうと、オデットの元を訪れる。「少しの間、ここに置いてくれないか?」というバルタザール。思わぬ訪問者に呆然としつつも、申し出を快諾するオデット。こうしてオデットにとって夢にまで見た憧れの人との生活が始まるが……。