自由の幻想


 原題Le Fantome De La Liberteで1974年制作、フランス語、上映時間104分。
 非日常的なブラック・ユーモアの世界をオムニバス形式で描く。製作はセルジュ・シルベルマン、監督は「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」のルイス・ブニュエル、脚本はL・ブニュエルとジャン・クロード・カリエール、撮影はエドモン・リシャールが各々担当。出演はジャン・クロード・ブリアリ、モニカ・ヴィッティ、アドルフォ・チェリ、ジャン・ロシュフォール、パスカル・オードレ、ジュリアン・ベルトー、ミシェル・ピッコリ、ポール・フランクール、アドリアーナ・アスティ、エレーヌ・ペルドリエール、フランソワ・メーストル、ミレナ・ヴコティッチなど。



         あらすじ
 
 1808年、スペインの卜レド。ナポレオン占領下のここでは、抵抗するスペイン人が処刑される。「自由くたばれ!」という彼らの叫び−−。現代のパリ。少女がある紳士より、絵葉書をもらい、母のフーコー夫人(モニカ・ヴィッティ)にそれを見せる。「いやらしい!」という夫人と夫のフーコー(ジャン・クロード・ブリアリ)は、やがて興奮していく。絵葉書は風景物だ。翌朝、フーコーは医者(アドルフォ・チェリ)の所へ、するとそこの看護婦(ミレナ・ヴコティッチ)が休暇を願っている。1泊2日の休みに彼女は父の家へ向かうが、途中、宿屋に1泊。主人(ポール・フランクール)の案内でチェック・インしたが、伯母(エレーヌ・ペルドリエール)と甥の恋人達や、マゾの男などの泊まる所だった。早朝、彼女は車で出発。同乗した教授(フランソワ・メーストル)は街で降りて、憲兵隊本部で講義する。訓練、事故発生等で生徒は減って2人だけ。「習俗の変化」と題し、教授は友人の家での出来事を話す。食事はトイレで、トイレはテーブルの前の椅子=便器で、というお話。講義を終え街へ出た2人の生徒=警官は、ルジャンドル(ジャン・ロシュフォール)をスピード違反で捕まえた。ルジャンドルはガンで、1人娘が行方不明。早速彼は娘をつれて警察へ行き、この娘が誘拐されたと訴える。すぐに捜査は開始され、ライフル乱射魔が捕まり、死刑を宣告されて釈放されてヒーローになった。ルジャンドルは警視総監(ジュリアン・ベルトー)に娘が発見されたと聞かされ、妻(パスカル・オードレ)のつれてきた娘と再会。総監はそれから墓地へ行き、死んだ妹(アドリアーナ・アスティ)の棺桶を開けようとして逮捕される。そして警察でもう1人の総監(ミシェル・ピッコリ)と対面、酒を飲む2人は、やがて動物園へ入ってくる。そして動物達にだぶって、あの「自由くたばれ!」の叫びがこだましてくる−−。  (Movie Walkerより)


    スタッフ

 監督 ルイス・ブニュエル
 製作 セルジュ・シルベルマン
 脚本 ルイス・ブニュエル 、 ジャン=クロード・カリエール
 撮影 エドモン・リシャール
 美術 ピエール・ギュフロワ
 字幕監修 山崎剛太郎



    キャスト

 Foucaud ジャン・クロード・ブリアリ
 Mrs. Foucaud モニカ・ヴィッティ
 Doctor アドルフォ・チェリ
 Legendre ジャン・ロシュフォール
 Mrs. Legendre パスカル・オードレ
 Police Commissioner I ジュリアン・ベルトー
 Police Commissioner II ミシェル・ピッコリ
 Landlord ポール・フランクール
 Sister of Police Commissioner I アドリアーナ・アスティ
 Aunt エレーヌ・ペルドリエール
 Professor フランソワ・メーストル
 Nurse ミレナ・ヴコティッチ