巷の恋・女と男 la regazza della salinas



 洋画のデーターベースでは女と男の題名で登録されて居ます。男と女は別の映画の題名に成ってます。

  原題は塩田の恋人。昔、午后3時のテレビ名画座で放映して居た、巷の恋が其の後長年気に成ってました。眩い地中海の夏の塩田を舞台に裸足の女と漁船の船長の仄かな恋を描いた秀作で有った。日曜洋画劇場でも遣ってたし、NHKでも巷の恋の邦名で放映してました。長年探してましたがだいぶ前に、東北新社から街の恋の名でVHSで販売してました。其れは昔観た巷の恋とは違って居ました。最近でもDVD化されて販売されて居ます。
        
 街の恋はイタリア語でL'amore in citta で別の作品で有った。Googleの検索でも巷の恋では此れが出て来ます。六話から成る乗合馬車風の作品でヴィルナ・リージの初演と誰かが言ってましたので、ヴィルナ・リージの主演の別のバージョンでも有るのかとも長年思って居ました。最近ヴィルナ・リージを幾ら検索しても塩田を舞台の動画や画像は出てきませんでした。ですが、最近YouTubeで昔テレビで放映して居た巷の恋をヤット見つけました。

 La ragazza della salina. (1957) イタリア語、英語ではSand, Love and Salt.原題では塩田の恋人と成る。映画監督はFrantišek Čapフランチス・カップで有る。主演はIsabelle Coreyイサベレ・コーレイでヴィルナ・リージでは有りませんでした。現代では食塩は岩塩や科学的に合成した物も多いが昔は塩田物も多かった。日本も瀬戸内海の明石の塩田物が有名で有る。夏期限定の季節労働で出稼ぎで有る。実際の作業場で実際の労働をし乍撮影をしたみたいです。同様に稲作を描いた映画に苦い米等も有った。娯楽の少なかった昔の話、唯一の憂さ晴らしの酒場が舞台と成る。喧嘩好きな男達や、淫らな酒場の女将、嫉妬深い身重の女、狡賢い悪童達です。両親を亡し、二人の弟を母親代わりに厳しく躾ける娘マリーナ、其の為に結婚出来ずに居た。聖母マリアを信仰する娘の複雑な迷い。こんな娘が息子の嫁に来てくれたら良いのにと嘆く老母。元に戻れぬ文明開化の性を人生と言う船に置き換えて描いて居る秀作で有る。出向のエンジンの音が娘を駆り立てる。昔、主人との別れを悲しんで港の岸壁から海に飛び込んだ馬が居た事件を描いた映画も有った。



            巷の恋 la_ragazza_della_salines

 題名         イタリア語で La ragazza della salines 英語では Sand, Love and Salt 日本語では巷の恋です。
 初公開        1957年2月27日(西ドイツ)
 映画監督       フランチシェク・カップ
 音楽         Bert Grund
 衣装デザイン     Nada Souvan
 原作者        フランチシェク・カップ、Vjekoslav Dobrincic
          
 Marcello Mastroianni as Piero           ピエロ       漁船長、港の漁師達に憎まれてます。
 Isabelle Corey as Marina              マリーナ      孤児、二人の弟の母親代わり
 Jester Naefe as Vida                ビダ        嫉妬深い妊婦、苦汁溜に落とされ死亡
 Trude Hesterberg as Mother of Vida                  ビダの母 アルベルトと娘を結婚させたい。
 Edith Schultze-Westrum as Mother of Piero               ピエロの母、マリーナに嫁に成って欲しがる。
 Kai Fischer as Lola                ロラ          
 Peter Carsten as Alberto              アルベルト     ビダの恋人、塩田の管理者
 Hans Reiser as Nico                ニコ        陽気な漁師
 Mario Adorf as Coco                ココ        陽気な漁師
 Stane Sever as Father of Vida                     ビダの父、無口な飲んだくれ。
 Relja Bašić as Innkeeper
 Stephan Kayser as Stefan
 Eckhard Grill as Beppo
 Andreas Reimer as Baniamino
 Mila Kačič
 Marjan Kralj
 Vlado Bačić
 Riccardo Bertoni as Lucas


              あらすじ

 顔を合わせば口喧嘩の二人、嵐で帆掛け舟が転覆し難し海に投げ出された孤児マリーナは、日頃憎んで居る漁船長ピエロに皮肉にも助けられ、母親に気に入ら、お前みたいな娘が息子の嫁に成ってくれたらなあと嘆く。
 ボートを拝借して港に戻ったら漁船長ペエロが遣って来て港の漁師達と殴り合いの大喧嘩に成る。舟を失ったマリーナは塩田で働く。マリーナには結婚を望む恋人が居るが二人の弟の為に結婚を躊躇って居る。漁船長ペエロと恋人とマリーナの三角関係、アルベルトとビダとマリーナの三角関係、喧嘩好きな陽気な男達、淫らな酒場の女将、傲慢な塩田管理者アルベルト、狡賢い悪童。舟で人生に暗示し、二度も海に突き落とされ酷いめに遭ったのに、最後は自ら海に飛び込みます。日々の生活の中に聖母マリア信仰が有ります。二人の弟の母親代わりが重要です。

 夏期限定の出稼ぎ労働者を取り扱った作品の苦い米とも似て居ます。イタリア映画には良く裸足の女が出てきます。オリーブの下に平和は無いにも裸足の女が登場します。日本の塩田は砂に海水をかける方式ですが、イタリアでは直接海水を掻き混ぜ蒸発させます。中南米でも良く行われて居る方式です。実際の作業者を使って撮影して居るのか慣れた熟練者の感が有ります。ビダの妊娠をそよ風を利用してさり気無く描いて居ます。

 喧嘩ばかりして居る男女が最後に結ばれる典型的な恋愛作品ですが喜劇に分類されて居ます。母親が二人の結婚を望む作品は余りに少ない。文明開化は生活を豊かにしたが、失った心も又多い。後には戻れぬ文明開化の性を暗示した作品でも有る。昔の大らかさを堪能あれ。ビダがアルベルトに殺される大事件が起き、人殺しの疑いをかけられ話は一気に終焉は、諦め切れない心、船のエンジンの音が別れの時を告げる。野生の本能が蘇る。


              余談

 昔、有る学生はテレビで映画を見たら、帳面に題名と評価の点数を100点満点で採点してました。90点を超えるものは古典と呼ばれる名作揃ろいでした。苦い米やオリーブのしたに平和が無いや白夜や禁じられた遊び等も実際に放映したました。その中で100点を付けたのは此の作品でした。何が良かったのかは今と成っては判りませんが観る価値有り。しかし、此の映画は日本語字幕は出ません。

 日本でDVDで発売されて居る東北新社の巷の恋・街の恋(L'amore in citta)「都市ににおける恋愛の意」は1953年公開の別の作品です。

 此の映画は実際にNHKの映画番組やフジテレビの午後3時のテレビ名画座やテレビ朝日の午後9時の日曜洋画劇でも巷の恋の題名で放映してま下ました。淀川長治氏も巷の恋で解説してました。映画解説の書籍やDVDも有るので若しかしたら確かめられるかも。世界映画事典には載って居ると思いますが。