猫の生首巻
昔は各家に竃が在り、藁で御飯を焚いて居た。竃に火の点いた藁をくべると中から灰猫が飛び出す。白猫も灰に塗れて灰猫に成る。西洋の童話にも灰被り姫の話が有る。シンデレラ姫物語で有る。現代は竃の在る家も少なく、雪よの晩は猫は人の寝床に入りたがる。厚かましい猫は顔の上に乗りに来たり、首に巻き付いたりで有る、生きた首巻の如くで有る。人の寝床は余程気持ちが良いのか、指で体を突くと喉をゴロゴロ鳴らせる。突くのを止めると止めて仕舞う。又突くと喉を鳴らせる。初雪や猫の足跡梅の花、二の字二の字の下駄の跡。下駄を履かぬ猫にとって朝の散歩は辛い苦行。御三度で動き廻る押しかけ女房の足の上に迄載りたがる。押しかけ女房猫に足を踏まれて大童。
押し掛け野良飼い猫より情が有り。
一度人に捨てられて野らに成った猫は、人のの惨さも心得て居る。人を利用する術も心得て居る。
此の世には不可解な事が数多有り、裁判の仮処分の判例も不可解有り。有明海の水門訴訟が有る。水門の開閉を求めて開門派と閉門派が其々別の裁判所に訴訟を起し、其々が勝訴して仕舞った。何方かの裁判所が