アフリカの女王




 アフリカの女王』(The African Queen)は、1951年のアメリカ・イギリス合作の映画である。
『ホーンブロワー』で有名な小説家セシル・スコット・フォレスターの同名小説(英語版)を、ジョン・ヒューストンが映画化した。
ハンフリー・ボガートは、この作品で念願のアカデミー主演男優賞を受賞した。




    あらすじ

 イギリス人女性ローズ・セイヤーは宣教師の兄サミュエルとともに、ドイツ領東アフリカの奥地で布教活動をしていた。ある日、二人は老朽化した小型貨物船アフリカの女王号で郵便を届けに来たチャーリーから、第一次世界大戦が勃発したことを伝えられる。チャーリーが立ち去った直後、村にドイツ軍が現れ住民たちは連れ去られ、村は焼き討ちされる。サミュエルはドイツ軍を止めようとするがドイツ兵に殴られ、壊滅した村の惨状を見て精神に異常をきたして死んでしまう。翌日、ローズは村に戻ったチャーリーに助けられアフリカの女王号に乗り込む。途方に暮れるチャーリーに対し、ローズは川下の湖に浮かぶドイツ帝国海軍の砲艦ルイザ号を、酸素ボンベと爆発性ゼラチンで作った手製の魚雷で撃沈することを提案する。チャーリーは、途中にドイツ軍の砦や航行不能の激流や大瀑布があり反対したが、頑固なローズを前に渋々承諾させられる。
 アフリカの女王号は激流を下り窮地を脱する。チャーリーは、これで恐怖を感じたローズが諦めてくれると考えたが、彼女は初めての川下りに興奮し、ルイザ号への攻撃を諦めようとしなかったため、チャーリーは彼女の無鉄砲さに怒り出してしまう。チャーリーは一通り怒りをぶつけた後に酒を飲んで川下りを辞めてしまい、それに激怒したローズは船に積んでいた酒瓶を全て川に捨ててしまう。ローズが怒っていることを知ったチャーリーは彼女に謝り、約束通り川下りを再開する。アフリカの女王号はドイツ軍の砦に辿り着き、船の存在に気付いたドイツ軍は攻撃を始める。船はボイラーが故障するなどのトラブルが起きて窮地に陥るが、チャーリーの機転でボイラーは応急処置が施され、また太陽の逆光でドイツ軍は正確な射撃が出来ず、船は無事に砦から離れる。窮地を脱した二人は無事を喜び、互いに惹かれていく。
 ドイツ軍の砦を抜けた二人だったが、間もなく大瀑布に到達する。何とか難所を切り抜けた二人だったが、大瀑布を抜けた衝撃で舵と軸が破損してしまう。二人は舵と軸を修理して出発するが、途中で沼に迷い込んでしまい、航行不能に陥ってしまう。二人は川に戻ろうと沼を彷徨うが、船は沼の奥地へと入り込んでしまい動けなくなってしまう。二人は脱出を諦めて死を覚悟するが、その日の夜に降り始めた大雨によって船は押し流され無事に川に戻る。湖に到達した二人の前に標的のルイザ号が現れ、二人は魚雷の準備を整える。その日の夜、チャーリーはローズを下して一人で攻撃しようとするが、離れ離れになるのを嫌がるローズと口論になり、二人で攻撃することに決める。
 二人は巡回から戻って来たルイザ号に向けて出発するが、直後に降り始めた大雨で湖が荒れて船は転覆し、ローズは行方不明になってしまう。一人助かったチャーリーだったが、通りかかったルイザ号に捕まってしまい、スパイ容疑で死刑を宣告される。そこにドイツ軍に捕まったローズが連行され、彼女はチャーリーが処刑されることを知り、二人でルイザ号を攻撃するつもりだったことを暴露し、共に処刑されることを選択する。二人は甲板で絞首刑に処されることになるが、チャーリーは艦長に最後の願いとして「ローズと結婚させて欲しい」と頼み込む。艦長は頼みを聞き入れ二人の結婚を宣言して処刑を執行しようとするが、直後にルイザ号は湖に転覆していたアフリカの女王号に衝突し、魚雷が爆発して沈没する。湖に投げ出された二人は無事を喜び、岸に向かって泳ぎ出す。




     キャスト

 チャールズ・オルナット(チャーリー) ハンフリー・ボガート 久米明 西村晃
 ローズ・セイヤー  キャサリン・ヘプバーン 鳳八千代 山岡久乃
 サミュエル・セイヤー  ロバート・モーリー(英語版) 穂積隆信 滝口順平
 艦長  ピーター・ブル 飯塚昭三
 第一士官  セオドア・ビケル 緑川稔
 第二士官  ウォルター・ゴテル 金尾哲夫




     スタッフ

 監督  ジョン・ヒューストン
 脚本  ジェームズ・エイジー
     ジョン・ヒューストン
 原作  セシル・スコット・フォレスター
 製作  サム・スピーゲル
 出演者 ハンフリー・ボガート
     キャサリン・ヘプバーン
 音楽  アラン・グレイ
 撮影  ジャック・カーディフ
 編集  ラルフ・ケンプレン
 製作会社 ホライゾン・ピクチャーズ
 配給  アメリカ合衆国の旗 ユナイテッド・アーティスツ
     日本の旗 BCFC/NCC
 公開  アメリカ合衆国の旗 1951年12月23日
     日本の旗 1952年8月12日
 上映時間 105分
 製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
     イギリスの旗 イギリス
 言語  英語