プリンセス・オブ・ペルシャ エステル記

 如何にも『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』のパクリっぽい邦題を付けられてしまっているが、実は製作費50億というアッと驚く超大作。

 紀元前5世紀のペルシャ、アハシュエロス王は王妃を選ぶべく国中の美女を強制的に王宮へと集めるが、その中にはユダヤ人の出自を隠し、”エステル”と名乗る少女ハダサもいた。やがて王の目に留まった彼女は、王妃となる。
 だが宰相ハマンがユダヤ人を根絶やしにしようとしていることを知った彼女は、掟を破って王に接見、そして遂に真実を告げるのだったが・・・。

 旧約聖書の「エステル記」を元にした歴史ドラマで、出演はルーク・ゴス、ジョン・ノーブル、ジョン・リス・デイヴィス、オマー・シャリフ、ピーター・オトゥールといった顔触れで、ヒロインのエステル役はティファニー・デュポン。ロケーション映像は綺麗だし、セットも衣装も豪華だし、全米興収ランキングは初登場9位!といっても流石に日本ではお呼びが掛らなかった模様。それが4年も経って発掘されたのは、やはり『プリンス・オブ・ペルシャ』あったればこそ。

 このお話は”聖書版「シンデレラ」”などと呼ばれているらしいが、エステルは架空の人物で、これも史実ではないという説もあるそうだが、そのあたりの解釈は学者や研究者に任せて我々は素直に映画を愉しめば良いのだけれども、どうにも馴染みのない世界だし、登場人物たちの背景やその関係が分かりづらく、おまけに言いたいことをハッキリ口にしない台詞回しには段々イライラさせられてくるのが玉に瑕。
 せっかくの豪華な俳優、美しい映像も、上手く活かされているとは言い難い。音楽は壮大で聴かせるだけに、何とも勿体ない話だ。

 また「シンデレラ」を引き合いに出すほど女の子が飛びつく恋愛モノの要素はないし、男の子が期待するアクションも皆無。どちらかというと夫婦間のすれ違いのドラマと、王宮内の権謀術数渦巻く陰謀劇を中心にした絢爛豪華な歴史絵巻といった塩梅なので、そういったものがお好きな方にはたまらないかも。
 間違っても『プリンス・オブ・ペルシャ』の同工異曲の作品だと思って鑑賞はしないように。

 紀元前5世紀。ペルシャ王国に君臨していたアハシュエロス王は、当時支配していた広大な領土から美しい女性を1人残らず後宮に集めさせ、王妃を選ぼうとしていた。その中に、孤児として生まれ、ユダヤ人の義父:モルデカイに育てられた美女:エステルも参加していた。彼女は王が最も信頼を寄せていた後宮の宦官:ヘガイに認められ、身分は隠したまま王妃に輝くのであった。そんなある日、王国の宰相となった男:ハマンに、モルデカイがたてついたことがきっかけとなり、全てのユダヤ人の殺害が計画される。そのことを知ったエステルは、ユダヤ人を救うため、たとえ王妃でも許されなかった王への謁見を敢行する。そこで彼女は、衝撃の真実の告白をするのだが・・・。

 エステルは王妃となる(1-2章)[編集]
クセルクセス1世の時代のペルシアは、インドからエチオピアまで127州を統治していた。彼はかつてのエラム王国の首都でもあり、ペルシアの首都ともなった歴史ある都・スサ(ヘブライ語名シュシャン)で王位に就き、その3年後に180日に及ぶ「酒宴」を開き、家臣、大臣、メディアの軍人・貴族、諸州高官などを招いた。その後王はスサの市民を分け隔てなく王宮に招き、庭園で7日間の酒宴を開くが、王妃ワシュティも宮殿内で女性のためだけの酒宴を開いていた。最終日に王はワシュティの美しさを高官・市民に見せようとしたが、なぜかワシュティは拒み、来ようとはしなかった。王は怒るが、大臣はさらに「噂が広まると、女性たちは王と自分の夫を軽蔑の目で見ることになるだろう」と言い、王妃ワシュティを失脚させたという勅書を送った。
王は大臣の助言により、全国各州の美しい乙女を1人残らずスサの後宮に集めさせる。スサは紀元前500年頃から大きなユダヤ人コミュニティーのある都市だが、そこにベニヤミン族のモルデカイとハダサー(エステル)がいた。エステルは両親がいないため、いとこにあたるモルデカイが義父となっていた。モルデカイはエステルを応募させ、エステルは後宮の宦官ヘガイに目を留められ、誰にもまして王から愛され、王妃となる。王は「エステルの祝宴」を開く。モルデカイが王宮の門に座っていると、2人の宦官がクセルクセス1世を倒そうと共謀していた。モルデカイはエステルを通じてこれを王に知らせ、2人は処刑される。この段階ではまだ、モルデカイとエステルは、自分がユダヤ教徒であることを明かさないようにしていた。
 ユダヤ人絶滅の策略(3-4章)[編集]
クセルクセスは、アガグ人(ギリシア語版ではマケドニア人となっている)ハマンを高い地位につける。王はハマンに跪いて敬礼するようにとの布告を出していたが、モルデカイは従わなかった。ハマンはモルデカイに腹を立て、ユダヤ人全員の殺害を画策する。クセルクセス治世第12年の1月にくじ(プール)を投げると、アダルの月が当たった。ハマンはクセルクセス王に「ユダヤ人」への中傷を述べ、クセルクセス王の名による勅書を作成させる。アダルの13日にすべてのユダヤ人が殺害されることが決定し、着々と準備が進んでいく。

エステルとモルデカイ
これを聞いたユダヤ人の多くは「粗布をまとい、灰の中に座って断食し、悲嘆に暮れた」。「粗布を着て広場に座ったモルデカイ」の存在を知ったエステルは、ここではじめて、なぜこうなったのかを知ろうとした。ただ、王へ近づくことはできない、とモルデカイに返答。
モルデカイ「この時のためこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか?」(4:14)
エステル「スサの全てのユダヤ人を集め、三日三晩断食するように。自分も女官と断食をする、その後王に会いに行く」との返答。
 ハマンの処刑(5-8章)[編集]
エステルはクセルクセスとの謁見に成功し、ハマン同席の酒宴を確約させる。謁見に失敗した場合は死刑であった。ハマンは自宅で宴会を開き、エステル・王との酒宴について喜んで聞かせる。モルデカイをつるす柱を建てる。
眠れない王は、宮廷日誌を持ってこさせ読ませたが、ここでモルデカイが王の暗殺を防いだ記録をはじめて知る。エステルは、自分がユダヤ人であることを王に告げる。ハマンは、モルデカイ殺害用に建てたその柱で処刑される。ハマンの財産がエステルとモルデカイのものになる。
 プリム祭の制定(9-10章)[編集]
文書の取り消しの公約文を書く許可を得ることに成功。シワンの23日にモルデカイの指示によりユダヤ人絶滅の取り消し書が書かれる。ハマンがユダヤ人虐殺の日と定めたアダルの13日が、逆に自分たちを迫害した者への防衛の日となった。モルデカイは宰相となる。