サウンド・オブ・ミュージック

 『サウンド・オブ・ミュージック』(英: The Sound of Music)は、1965年に公開されたロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画。20世紀フォックス配給。

 リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世の名コンビが1959年11月にブロードウェイで初演したミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を原作とするミュージカル映画で1965年に世界的に大ヒットした。
 この映画は第38回アカデミー賞で作品賞、監督賞(ロバート・ワイズ)、編集賞(ウィリアム・H・レイノルズ)、編曲賞(アーウィン・コスタル)、録音賞(ジェームズ・P・コーコランとフレッド・ハインズ)の5部門を獲得し、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世の最後の作品でもあった。



           あらすじ

 オーストリアのザルツブルク。1938年のドイツによるオーストリア併合及び第二次世界大戦の前夜。映画の冒頭にジュリー・アンドリュースが山々に囲まれた緑の大地の上で歌い踊る≪歌:サウンド・オブ・ミュージック≫。出演者などの字幕の最後に「オーストリア 1930年代 最後の黄金の日々」という字幕が出る。
 マリアは修道女見習い。お転婆で周囲の修道女にからかわれていた≪歌:マリア≫。ある日、修道院長に、トラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師をするように勧められ、トラップ邸へ向かう≪歌:自信を持って≫。
 ゲオルク・フォン・トラップ大佐(ゲオルク)はオーストリア=ハンガリー帝国海軍の退役軍人で数年前に妻を亡くして以来、子供たちの家庭教師がどれも長続きせず困っていた。ゲオルクは、子供たちを軍隊のように厳しくしつけているが、子供たちはいたって快活。早速カエルをマリアのポケットに忍ばせて悪戯をする。
 夕食。子供たちの悪戯で席に置かれた松かさの上に知らずに座ったマリアは悲鳴をあげるが、父ゲオルクには「持病のリウマチの発作で」と誤魔化し、子供たちに朗らかに「歓迎の意」のお礼を述べる。
 やがてゲオルクに電報が届き、翌日からウィーンに出かけることになる。長女リーズルは電報配達のロルフと密かな恋仲であり、夕食途中で席を立ちロルフに会いに行く。ふたりは互いの愛を確かめ合い、甘いひとときを過ごす≪歌:もうすぐ17才≫。だが、時間が過ぎて閉門の時刻を忘れてしまい家から締め出されたリーズルは、マリアの部屋の窓からそっと入ってきた。外は雷鳴が音高く轟き、雷を怖がる弟や妹たちも次々にマリアの部屋に集まってきた。雷鳴と雷光におびえる子供たちにマリアは、「哀しい時、つらい時は楽しいことを考えましょう」と教える≪歌:私のお気に入り≫。すっかり打ち解けたマリアと子供達だったが、就寝時間を守らなかったことで父ゲオルクにたしなめられる。
 マリアは海軍の制服のような子供たちの衣服をかわいそうに思い、部屋のカーテンで遊び着を作って山に遠足に出かける。子供たちが悪戯や悪さをするのは父ゲオルクの気を引きたいからだと聞かされたマリアは、歌を歌って気を引いてはどうかと提案するが、母を亡くしてから長く家で音楽を奏でることがなかったため、皆が知っている歌がひとつもないと聞いて驚く。そこでマリアは子供たちに歌を基礎の基礎、ドレミの階名から教える≪歌:ドレミの歌≫。
 数日してマリアと子供たちが川遊びをしているところに、ゲオルクが婚約者のエルザ・シュレーダーと友人マックス・デトワイラーを連れて戻る。奇妙な遊び着を着ていることでゲオルクは激昂するが、マリアは子供達に目を向けて欲しい、寂しさに応えてあげて欲しいと必死で訴える。だが、頑迷なゲオルクは取りつく島もなく、遂にはマリアをトラップ家には不釣り合いな家庭教師であると判断し、解雇を言い渡した。失意に暮れるマリアに対し早急に出て行くよう言い放ったゲオルグは憤慨しながら家に戻るが、子供たちの合唱する声に吸い寄せられ、自らも長い間忘れていた歌を歌う≪歌:サウンド・オブ・ミュージック≫。それによって、自分の教育方針が独りよがりだった事に気が付いたゲオルクは子供達、そしてマリアに謝罪。解雇を撤回し、引き続き家庭教師としてトラップ邸に留まるよう依頼した。
 マリアと子供たちはエルザとマックスを歓迎する会を開く。その歌のすばらしさと人形劇の面白さにゲオルクは大喜びする≪歌:ひとりぼっちの羊飼い≫。マックスは子供たちを合唱団として売り込むことを提案するがゲオルクは一笑に付す。そこでマリアはゲオルクに「次はあなたの番」とギターを差し出す。ゲオルクは照れて拒むが、子供たちに押し切られる形でギターを受け取り、昔を懐かしむかのように情感をこめて≪歌:エーデルワイス≫を歌い上げる。
 エルザの提案でトラップ邸で舞踏会が開かれた。楽団がワルツを演奏して参加した人々がダンスを踊り、テラスでは子どもたちとワルツに興じるマリアであったが、やがてオーストリアの民族舞踊レントラーの曲に変わると、ゲオルクが現われてマリアと踊りだし、二人の目が合うと、マリアは「これ以上はもう忘れた」と言って踊りをやめるが、顔を赤くして立ち尽くしてしまう。二人の間に愛が生まれつつあることに気付くのであった。部屋に戻る子供たちが歌う≪歌:さようなら、ごきげんよう≫。出席者の中に地元の指導者ツェラーがいて、オーストリア国旗を掲げるゲオルクに国旗を降ろしドイツ国旗に変えるように忠告するが、ゲオルクは逆に彼を批難する。一方マックスはマリアがパーティーの食事に出席するよう提案し、ゲオルクも了承する。着替えのために2階に上がったマリアにエルザが、ゲオルクがマリアに気があるのではないかと伝える。エルザはゲオルクとマリアが互いにそれと気付かず惹かれあっていると感じており、二人の仲が進むのを危惧していた。ゲオルクの気持ちを本気にするなと言うエルザの言葉に、これ以上トラップ邸にいられないと思ったマリアは置き手紙をしてそっと修道院に戻る。【第1部 終わり】


 突然のマリアとの別れを寂しがる子供たちは修道院[13]にマリアを訪ねるが、会えずに戻ることとなる。マリアは部屋に閉じこもったままで、そして修道院長に懺悔し、罪を犯した自分は一生神に仕えると訴えるが、逆に院長から神の愛も男女の愛も同じだ、向き合って自分の道を見つけなさいと諭される「全ての山に登れ、全ての道を歩き、全ての虹を渡れ、自分の夢を見つけるまで、生きている限り愛を注げる夢を見つけるまで」≪歌:すべての山に登れ≫。やがてトラップ邸にマリアは戻る。修道院へ行っていたため昼食に遅れた子供たちは父親に叱責され、歌を歌って元気を出そうと歌っていると≪歌:私のお気に入り≫、重なるようにマリアの歌声が聞こえた。
 その晩、バルコニーで結婚を語り合うゲオルクとエルザだが、ゲオルクの目は夜の庭をそぞろ歩くマリアの後姿を追っていた。ゲオルクはすでに自分の心がマリアに向いていることに気づき、エルザに婚約解消を告げる。ゲオルクとマリアは、邸宅の庭で互いの愛を告白する≪歌:何かいいこと≫。
 二人は教会で子供たちや修道女たちに祝福されて結婚式を挙げ≪歌:マリア≫、新婚旅行に出かける。
二人が新婚旅行に行っている間に、オーストリア併合に伴い進駐してきたドイツ軍がザルツブルクにも駐屯していた。コンクールが行われる日、練習を終えて出てきたリーズルがロルフを見かけたが、彼はリーズルにゲオルク宛の電報を託し、リーズルに対しどこか冷たくなっていた。ロルフはオーストリア・ナチス党の親衛隊員になっており、ナチス式敬礼をした上にゲオルクもドイツ軍人としての任務に就くよう忠告する。一方、母国の不穏な雰囲気を察して急いで新婚旅行からこの日戻ったゲオルクの家には今やドイツのみならずオーストリアの国旗となったハーケンクロイツ旗が掲げられており、激昂したゲオルクはその旗を引きずりおろす。また、マックスは子供たちを合唱団として売り込む事を諦めておらず、ゲオルクが居ない間にコンクールへの出場を決めてしまっていたが、ゲオルクはなおも反対した。リーズルから渡された電報は、有能な軍人であったゲオルクに対するドイツ海軍からの出頭命令であった。愛国者でありドイツのオーストリア併合に反対するゲオルクは、ドイツ軍の言うとおりに出頭する気はなく時代の大きな波を感じとり、中立国であるスイスへ一家で亡命することを決意する。
 その晩、トラップ一家が亡命する為に屋敷を出ると、今やドイツ第三帝国の官吏となった(もとのオーストリア人)ツェラーが待っていた。実はトラップ邸の執事でオーストリア・ナチス党員のフランツが亡命の計画を密告していたのである。ツェラーは出頭命令のもとゲオルクを新たな任務先へ護送しようとするが、ゲオルクは自身が反対していたコンクールを口実にし、ツェラーはコンクールが終わり次第護送するという条件を出して、護送の延長を許した。親衛隊の厳重な監視の下、ザルツブルクの祝祭劇場で行われたコンクールで≪歌:ドレミの歌ほか≫と、≪歌:エーデルワイス≫、そして≪歌:さようなら、ごきげんよう≫を歌って2〜3人ずつ舞台から消えていく。審査の結果が3位、2位と発表されて最後に優勝としてトラップ一家が発表されるが舞台に現れず、その表彰式の隙にトラップ一家は劇場から逃げ出していた。
 一家はマリアのいた修道院に逃げ込むが、修道院長から国境が閉じられたことが伝えられ、ゲオルクは山を越えることを決意する。やがて親衛隊が修道院に到着して車を入口において修道院内を捜索する。その中にはロルフもおり、一家が墓場に潜んでいることに気付いたロルフは銃を構えるが、リーズルとゲオルクに声をかけられ一瞬躊躇する。同行するよう説得するゲオルクに反発したロルフは大声をあげ上官に通報するが、一家は裏口から車で逃走する。親衛隊も追跡しようと止めていた車で発車しようとしたがエンジンがかからず、トラップ一家を取り逃がしてしまう。直後に修道院長に対し罪を犯したと告白する修道女たちの手には、そのエンジンから外した部品が握られていた。
 国境線が全て閉鎖されているため、トラップ一家は徒歩で山を越えて逃亡先のスイスへと向かう≪歌:すべての山に登れ≫。【第2部 終わり】
                                             (Wikipediaより)