シンデレラ                                                 



 日本初公開は、1952年3月7日。初公開から1974年再公開時までのタイトルは『シンデレラ姫』。
 21世紀に入り、続編として『シンデレラII』(2002年)、『シンデレラIII 戻された時計の針』(2007年)がOVAで製作されている。





  概要

 原作はシャルル・ペロー童話の『シンデレラ』。ウォルト・ディズニーはこの映画の構想に27年もかけたという。1923年に企画を立案するも第二次世界大戦の影響で中断。1944年に企画を再立案し終戦後の1945年に制作を開始。ウォルトはシンデレラのデザインを創るにあたって色々な資料を集め童話の挿画や少年少女のイメージにあわせる事にし、青い眼、ブロンドの髪、体重120ポンドに決めた。更に独自のシーンや演出を多数盛り込んでミュージカル作品に仕立てている。また馬のメジャーや犬のブルーノ、トレメイン夫人の飼い猫ルシファーなどの動物たちはディズニーオリジナルのキャラクターである。
 5年の歳月をかけて、絵の数は150万枚。




 あらすじ

 遠い昔。ある所にシンデレラという美しく優しい娘が立派な屋敷に住んでいた。母親を早くに亡くした後、父親は妻の分までシンデレラを大切に慈しみながら育てていたが、まだ幼い彼女の身を案じ、二度目の結婚相手として新しい母親のトレメイン夫人と、その連れ子である二人の義姉・アナスタシアとドリゼラを迎える。しかし父親が亡くなると継母は本性を表し、義理の娘には辛くあたり、自分の二人の娘だけを可愛がるようになった。そして継母や義姉たちが財産を浪費したため、屋敷は荒れ果てていった。
 シンデレラはわがままな上に意地っ張りで意地悪な三人にいつもいじめられては罵られ、ついには召使いとして扱われるようになり、毎日灰にまみれて朝から晩まで洗濯や掃除、雑巾がけ、皿洗い、食事の支度などをみんな押しつけられ、屋敷の外れにある塔の部屋に住まわされてしまう。しかし、シンデレラはきっと幸せがやってくる、いつかは夢が叶うと信じ、明るさと希望を失わなかった。そんな彼女の味方は鼠のガスとジャックの仲間や小鳥達、馬のメジャーと犬のブルーノだった。
 そんなある日のこと、お城のプリンス・チャーミング王子が帰国祝いを兼ねた花嫁選びの舞踏会を開くことになり、シンデレラの家にも招待状が届いた。義理の姉達は大はしゃぎし、継母はシンデレラに、もし全ての仕事をきちんと片付け、舞踏会のドレスをちゃんと用意できたら行ってもいいという。
シンデレラは亡くなった実の母のドレスを手直しして着ていこうとしたが、三人が仕事をわざと多く押しつけるので時間がなくなってしまう。そこで小鳥や鼠達が義姉達がいらないといって捨てたサッシュやリボンを使い綺麗なドレスを作るも、舞踏会に行かせまいとする継母の悪巧みによって、シンデレラの姿に嫉妬し、その上自分達が捨てたものを盗んで使ったという身勝手な理由をつけて怒った義姉達にボロボロに破かれてしまう。シンデレラはショックのあまり父との思い出の噴水まで走って泣いていたところ、彼女を励ますように妖精の老婆、フェアリー・ゴッドマザーが現れた。妖精が魔法の呪文「ビビディ・バビディ・ブー」を唱えて杖を振ると、瞬く間にカボチャが馬車に、ブルーノとメジャーは立派な従者と御者に、鼠達が白馬に変わっていった。最後に杖を一振りすると、破かれたドレスは美しく輝くドレスに変わり、気が付くとシンデレラはガラスの靴も履いていた。「12時になったら魔法は解ける」という忠告を聞いた彼女は、美しいドレスとガラスの靴で着飾り、カボチャの馬車に乗って王子のいる城に向かった。
 その頃、城の舞踏会では王子が出席者たちにお目通りを兼ねた挨拶をしていたが、元々結婚するつもりなど毛頭ないためすっかり退屈してしまっていた。そしてドリゼラとアナスタシアの番になった時、偶然現れたシンデレラの美しさに目を奪われダンスを申し込む。そのまま二人は踊りながら会場を抜け出し、城の庭を巡りながら楽しいひと時を過ごすが、シンデレラは相手が王子だと気が付いていなかった。そして時計塔の鐘が12時を打った途端シンデレラは妖精との約束を思い出し、王子の制止を振り切って走り出した。途中階段で靴が片方脱げてしまうが、シンデレラは拾う暇もなく馬車に乗り城を飛び出す。その一連を見ていた大公は慌てて兵士に馬車を追わせるが、魔法が解けてしまったため元の破れた服に戻ったシンデレラに気がつかず走り去る。シ ンデレラは足に残っていた方の靴を抱きしめながら「素敵な夢をありがとう」と妖精に御礼を言った。
翌日、城は突然消えてしまった娘の事で大騒ぎになっていた。そして、ガラスの靴にピッタリ合う足の持ち主を正式に王子の花嫁として迎え入れると大々的に発表し、この話はシンデレラ達の屋敷にも届いていた。継母はこれがチャンスだと言って早々にドリゼラとアナスタシアをたたき起こし、シンデレラにも仕度を手伝うよう命令する。そこでようやくあの時の相手が王子だと知り驚くシンデレラ。そして浮かれながら歌を口ずさみ、部屋へ身なりを整えにいく。だが、継母はその歌声からあの時の娘がシンデレラだと見抜き、自分達の邪魔をさせないためこっそり後をつけ、部屋に鍵を掛けて閉じ込めてしまった。しかし、一部始終を見ていたジャックとガスが義姉達が靴に悪戦苦闘するどさくさにまぎれて鍵を取り返し、途中ルシファーが立ちはだかるも、ブルーノの手助けによってシンデレラは無事脱出。諦めて帰ろうとした大公たちを引き止めさせた。しかし、またもや継母がわざと杖を出して使いを転ばせて邪魔をし、ガラスの靴は大公とシンデレラの目の前で粉々に壊れてしまった。大公はせっかくの手掛かりが消えてしまったと嘆くが、シンデレラが隠し持っていたもう片方を差し出したことで事なきを得た。もちろんガラスの靴はシンデレラの足にピッタリと合い、シンデレラは王子と結婚して幸せに暮らした。



  登場キャラクター

 シンデレラ(Cinderella)

 本作のヒロイン。母を早くに亡くし、彼女の将来を案じて再婚した父も間もなく亡くす。その後、再婚相手であるトレメイン夫人と、その連れ子である2人の姉に自身の美貌を妬まれ、使用人同然の扱いを受け虐げられる辛い日々を送っているが、夢と希望、優しい心を失わずに前向きに毎日を過ごしている。手先が器用で、仲良しのネズミや小鳥たちの服も彼女の手作り。
現在はディズニープリンセスの一人となっている。

 プリンス・チャーミング(Prince Charming)

 シンデレラ達が暮らしている小さな王国の王子。結婚に関心を示さず年老いた父王をやきもきさせていたが、父王の提案で開かれた結婚相手を決めるための舞踏会に途中から現れたシンデレラに惹かれ、名前も告げず、ガラスの靴だけを残して消えた彼女を結婚相手に定め、翌朝から探す。

 ジャック(Jaq)
シンデレラと仲良しのネズミたちのリーダー格。新入りのガスにいろいろと教える。

 ガス(Gus)
 階段の途中にあるネズミ捕りにかかっていた太ったネズミで、食欲旺盛。ルシファーに目をつけられしょっちゅう狙われる羽目になってしまう。

 パーラ&スージー(Perla & Suzy)
 シンデレラの友達で裁縫が得意なネズミの女の子。小鳥たちと共に朝の身支度のお手伝いもしている。シンデレラの母親の形見のドレスを手直しするのに一役買った。

 ブルーノ(Bruno)
 シンデレラの家で飼われている犬。普段はおとなしいがルシファーとは犬猿の仲。

 メジャー(Major)
 シンデレラの家で飼われている馬。元々はシンデレラの父親の愛馬。ラストの結婚式でシンデレラと王子の乗った馬車を先頭で引いている。

 トレメイン夫人(Lady Tremaine)
 シンデレラの継母で、ドリゼラとアナスタシアの実母。シンデレラの美しさを妬み、冷酷なまでに彼女を虐げる。一見優しいように見えて、遠回しにシンデレラが苦難な目に遭うよう手回しするなどかなりの策略家。ディズニーランドでの名前はステップマザー(stepmother=継母、養母の意)。
アナスタシア[2]・トレメイン(Anastasia Tremaine)
ドリゼラ・トレメイン(Drizella Tremaine)
共にシンデレラの義姉。二つ結びの黒髪にリボンをつけ、黄土色のドレスを着ているのが姉のドリゼラで、茶髪を縦ロールにして、紫色のドレスを着ているのが妹のアナスタシア。アナスタシアがフルートを吹き、ドリゼラは母から歌を教わるが、シンデレラと比べると下手。また些細な事ですぐ言い争いを始めるなど、姉妹仲もあまり良くない様子[3]。

 ルシファー(Lucifer)
継母が飼っている猫。お風呂が大嫌い。飼い主に似て意地悪な性格で、何かとシンデレラたちの邪魔をし、特にガスを執拗に追いかけ回している。その一方でブルーノが大の苦手で、シンデレラを助けようとするジャックたちに立ちはだかるも、シンデレラの機転により屋敷に乱入してきたブルーノから逃げ惑い、塔のてっぺんから地面に落下していった。

 フェアリー・ゴッドマザー(Fairy Godmother)
ネズミたちが仕立てたドレスを破られ途方に暮れるシンデレラの前に現れた妖精のおばあさん。魔法の杖を何処へやったか忘れたり肝心のドレスを後回しにしてしまうなど少々おっちょこちょいな場面もある。魔法でシンデレラのドレスを美しい青色のドレスに、庭にあったカボチャを4頭立ての馬車に、馬を御者に、そしてネズミたちを馬に変え、「12時の鐘が鳴り終わったら魔法が解ける」と教えて笑顔で舞踏会へ送り出した。

 郵便屋(The Herald)
招待状を配ったり、王子の恋人探しの時には大公と一緒についてガラスの靴を運ぶ役もしている。

 大臣
 パーティーに出席した女性の名前を読み上げる。

 国王(The King)

 王子の父。かなりの高齢だが未だ矍鑠としている。孫の姿を見たいと渇望しており、結婚に関心を示さない王子を憂いて結婚相手を探す為に舞踏会を提案する。
 豪快な振る舞いが多く、癇癪を起こすと周りの物を投げ飛ばしたり、剣を振り回したりと性格は破天荒で、大公の気苦労の原因にもなっている。
ラストの結婚式では、シンデレラが落としてしまった靴を履かせた事で彼女からキスを送られる。

 大公(The Grand Duke)
 国王を補佐する片眼鏡をかけた男性。大盤振る舞いな国王にはいつも突拍子のない提案に振り回されたり、こき使われたり、八つ当たりされたりと気苦労が多い。  (Wikipediaより)