塔の上のラプンシェル

 『塔の上のラプンツェル』(とうのうえのラプンツェル、原題: Tangled )は、2010年のアメリカ合衆国のアニメ映画。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ長編作品第50作目であり、初の「3Dで描かれるプリンセスストーリー」。原作はグリム童話の『ラプンツェル(髪長姫)』。本作は長年ディズニーのアニメーターとして活躍していたグレン・キーンが初めて企画の立ち上げから製作総指揮まで自ら務めた作品である。




         あらすじ

 ある王国の森の奥深くにそびえる高い塔に、ラプンツェルという少女が暮らしていた。ラプンツェルは18年間、育ての親であるマザー・ゴーテルから、塔の外に出ることを禁じられていた。それでも彼女は、自分の誕生日の夜に遠くの空に現れる無数の灯りを不思議に思い、外の世界への憧れを強くしていった。18歳の誕生日を翌日に控えたラプンツェルは思い切って「今年こそあの灯りを見に行きたい」とゴーテルに伝えるが、例の如くに「外は危ないから」と説き伏せられてしまう。
 その日の朝早くに城からティアラを盗み出した大泥棒フリン・ライダーは、衛兵に追われて森へと逃げ込んでいた。追っ手を振り切った先で塔を見つけたフリンは壁をよじ登って侵入するが、油断したところをラプンツェルに気絶させられてしまう。一人で侵入者を捕まえたことで自信をつけたラプンツェルはティアラを隠し、目を覚ましたフリンに、ラプンツェルは"自分を「灯り」が現れる場所まで案内し、それが済んだら塔まで送り届けること。そうすればティアラを返す"という条件を突きつける。得意の口説き顔も通じない相手に、フリンはしぶしぶ条件を受け入れる。
 ゴーテルの言いつけに背いて塔の外に出たラプンツェルは、母への後ろめたさを感じながらも、初めて見る世界に胸を躍らせる。一方、森の中に衛兵の馬がいるのを見て塔に引き返してきたゴーテルは、ラプンツェルがいなくなったことを知り、部屋でフリンの手配書を見つける。事態を察したゴーテルは、ラプンツェルを捜し始めるのだった。



 ラプンツェル(Rapunzel)

 演 - マンディ・ムーア、デラニー・ローズ・ステイン(幼少時) / 日本語吹替 - 中川翔子、小此木麻里(歌唱シーン)、諸星すみれ(幼少時)
 本作のヒロイン。森の中の塔でゴーテルと2人で暮らす少女。その髪の長さは70フィート(21メートル)にもおよび、中盤で長い髪を引きずらないため広場にいた子供達に頼んで三つ編みと編み込みにしてもらう。彼女の髪には特別な力が秘められており、「外には髪を狙う悪者がいる」とゴーテルに教えられながら育てられて来たため、外の世界を知らずにずっと塔の中で暮らしてきた。しかし不自由な生活とは裏腹に非常に好奇心旺盛であり、唯一の友人であるカメレオンのパスカルとの塔での暮らしを楽しみながらも外に憧れ、「灯り」の正体を確かめたいという夢を抱いている。読書、料理、音楽など多趣味な中、部屋の壁に絵を描くのが一番の趣味であるが、描きすぎたあまりスペースが無くなってしまう。18歳の誕生日の前日、フリンと出会ったのをきっかけに、夢を実現させるべく塔の外へと踏み出す。長い髪をロープや鞭のように自由自在に操って様々なアクションをこなすお転婆なところもある。
実は行方不明となっていた王国の王女で、自分の美貌を保とうと考えたゴーテルに誘拐され、育てられていた。
 髪を切ると髪の力が失われ、ブルネットの髪になる。幼いころに誘拐される前にゴーテルに切られた部分が、一房だけブルネット(栗毛)になっている。また、ゴーテルに塔の中に再び閉じ込められそうになった際、フリン(ユージーン)は自分がゴーテルにナイフで刺されて死にそうになっていたのにも関わらず、これを利用して彼女を助けた。ディズニープリンセスの一人。

 フリン・ライダー(Flynn Rider) / ユージーン・フィッツハーバート(Eugene Fitzherbert)

 演 - ザッカリー・リーヴァイ / 日本語吹替 - 畠中洋
 数々のトラブルを切り抜けてきた、自信家でナルシストの美青年。指名手配もされている王国で一番の泥棒。スタビントン兄弟と組んで王女のティアラを盗んだ罪で衛兵に追われる中、身を隠そうと侵入した塔でラプンツェルと出会う。解放の条件として彼女を灯りが現れる場所まで連れて行くことになる。世間知らずのラプンツェルには振り回されるばかりだが、彼女のひたむきさに触れるうちに自分を見つめ直し、誰にも話したことのない孤独な過去をラプンツェルに打ち明けていく。
 フリンという名前は子供の頃に読んだ物語の主人公に肖ってつけた偽名である。この名前をラプンツェルは気に入り、以後はフリンの呼称としている。
ラプンツェルと共に灯りを見た後、スタビントン兄弟にティアラを渡すために兄弟のもとに向かうが、ゴーテルの策略で衛兵に捕まってしまう。
 酒場で出会った荒くれ者たちに助けられて何とかマキシマスとともに塔へたどり着くが、そこでゴーテルにナイフで刺され、ラプンツェルが自分の自由と引き換えに彼を助けようとして近づいた際、彼女を救うために髪を鏡の破片で切り取り、息絶えてしまう。だが、ラプンツェルが流した涙の中に僅かに残っていた金色の花の力により息を吹き返した。ラプンツェルを本来の家族である王と王妃のもとに送り届けた後は名前を本名に戻し、泥棒稼業から足を洗ってラプンツェルと結婚した。

 ゴーテル(Mother Gothel)

 演 - ドナ・マーフィ / 日本語吹替 - 剣幸
 本作のディズニー・ヴィランズの一人。
ラプンツェルの育ての親で、塔に出入りするただ一人の人間。ラプンツェルの長髪を昇降機がわりにして塔に出入りする。隠し事があるかのように、ラプンツェルを塔の中に閉じ込めてきた。外の世界がどんなに恐ろしいことに満ちているか、自分が娘をどんなに大事に思っているか、そしてラプンツェルがどんなに無力かを言い含めている。
 ラプンツェルが生まれる前は"どんな病気も治す金色の花"を独占し、その力を利用して美貌を保っていた。だが、妊娠中の王妃が病気になったことにより金色の花が摘まれてしまったため、後にその花の力を髪に宿して産まれてきた赤ん坊のラプンツェルを誘拐して育てつつ、その力を利用していた。ラプンツェルを度々「お花ちゃん」と呼ぶのも『金色の花の代用』という意味である。また、ラプンツェルの髪が一房だけブルネットになっていたのは、誘拐する前に彼女が切ってしまったため。
 ラプンツェルがフリンと共に塔の外に出ていったことを知った後、フリンに裏切られたスタビントン兄弟を協力させてラプンツェルを連れ戻し、フリンを策略をもって衛兵に逮捕させることに成功するが、酒場で出会った荒くれ者たちとマキシマスの協力を得て脱獄したフリンが再び自分の前へ現れた事に激昴してフリンをナイフで刺す。しかし、最後の力を振り絞ったフリンがラプンツェルを運命から解き放つために彼女の髪を切り落としたことで魔法が解け、同時に自らの美貌も失ったことでパニック状態に陥り、最期はローブを残して消滅した。

 パスカル(Pascal)

 ラプンツェルと暮らす小さなカメレオン。ラプンツェルにとっては唯一の遊び相手であり、何でも話せる大切な友達。ラプンツェルに劣らず好奇心旺盛で、塔の外で遊び回ることを夢見ている。ラプンツェル以外の人間への警戒心は強く、ゴーテルから隠れたり、フリンに不信感を抱いたりする。
マキシマス(Maximus)
 警護隊長を乗せて走る、危険知らずで仕事熱心な白馬。犬のように優れた嗅覚を持つが、それでもラプンツェルの塔へ続く道は見つけられなかった。乗り手がいなくなってもフリン追跡に執念を燃やすが、彼を追った先でラプンツェルと出会い、彼女の優しさに懐いてしまう。ラプンツェルの夢のため、フリンと一日かぎりの協力関係を結ぶ。フリンは「マックス」と呼んでいる。

 酒場の荒くれ者たち
 街外れの酒場を根城にしている。フックの片手を持つフックハンド(演 - ブラッド・ギャレット / 日本語吹替 - 岡田誠)、大きな鼻と6本指の左足が特徴のビッグノーズ(演 - ジェフリー・タンバー / 日本語吹替 - 石原慎一)、大男ウラジミールなど、強面の荒くれ者ぞろいだが、それぞれピアニストや恋を夢見る純粋な心を隠し持っている。ラプンツェルの夢に力添えし、フリンを捕えにきた衛兵から匿って秘密の通路を教える。エンディングでは夢を叶えた者もいる様子である。

 スタビントン兄弟(Stabbington Brother)

 演 - ロン・パールマン / 日本語吹替 - 飯島肇
 本作のディズニー・ヴィランズの兄弟。
フリンと一緒にティアラを盗み出した共犯者。追っ手から逃げる途中でフリンに裏切られ、復讐のために彼を狙う。途中でゴーテルに言葉巧みに誘われて協力することになるが、返り討ちにあい結局は捕まってしまう。

 警護隊長
 演 - M・C・ゲイニー / 日本語吹替 - 佐山陽規
 衛兵の隊長。愛馬マキシマスと共にフリンを追跡する。

 王と王妃

 海に囲まれた王国の国王と妃であり、ラプンツェルの実の両親。髪の色は二人共にブルネット(栗毛)。愛と知恵で王国を治め、国中の皆に慕われている。行方不明になった娘の無事を祈り、1年に一度、彼女の誕生日に灯りを飛ばしている。終盤でラプンツェルと再会した際、最初は髪を切って様変わりした娘の姿に戸惑いつつも、家族が再び巡り会えた喜びを分かち合った。

 ショーティー

 演 - ポール・F・トプキンス(英語版) / 日本語吹替 - 多田野曜平

 ヴラッド

 演 - リチャード・キール / 日本語吹替 - 田中英樹

 花を置く少女

 演 - デラニー・ローズ・ステイン / 日本語吹替 - 飯田汐音

 下記は役者不明。
 グレノ
 日本語吹替 - 根本泰彦
 ウルフ
 日本語吹替 - IKKAN
 店の悪漢
 日本語吹替 - 小西のりゆき、村上勧次朗、Kuma
 王妃
 日本語吹替 - 菅原さおり
 衛兵
 日本語吹替 - 落合佑介、遠藤純平
 踊る少年
 日本語吹替 - 宮崎亜友美
 スカーフの女性
 日本語吹替 - さとう優衣
 パンを持った女性
 日本語吹替 - 鶴岡瑛梨