怪傑ゾロ

 怪傑ゾロ(かいけつゾロ、英: Zorro)は、アメリカの作家ジョンストン・マッカレーが創作したヒーローキャラクター、またはそのシリーズ作品。
作品によって快傑ゾロ、奇傑ゾロといった表記もされる。

   歴史

 1919年に執筆された小説「The Curse of Capistrano」が、1920年にダグラス・フェアバンクス主演で映画化され世界各国で人気を博した。
その後、何度も映画化され、1998年と2005年にはアントニオ・バンデラスがゾロを演じる作品2作も公開され、大ヒットを記録した。1960年代にはテレビ映画化、1990年代にはテレビアニメ化、その他、コンピュータゲーム化、アメリカンコミック化されており、長年に渡って愛され続けている大衆文化のヒーローである。なおゾロ(Zorro)とは、インディオの守護獣である黒狐を意味するスペイン語である。

      あらすじ

 メキシコがまだスペイン領だったころ、その辺境カピストラノ地方で活躍する仮面の剣士ゾロは、強きをくじき弱きを助く、大盗賊にして真の紳士。賞金首のお尋ね者でもある反面、虐げられたインディオを助けたり、フェアな精神で1対1の決闘に臨むなど、まさに正義の味方だった。彼が現れた後には、壁にサーベルでZの字が彫られ、これが彼のトレードマークであった。なお、原題の "The Mark of Zorro" の "mark" には「刻印、傷跡、彫り痕」という意味がある。
ある日、元大地主の美しい一人娘ロリータは大富豪の息子ドン・ディエゴと青年将校ラモンから求婚される。しかしロリータは、ぐうたらなドン・ディエゴや、どんな男性よりも男気溢れるラモンよりも、紳士的で強く優しいおたずね者の怪傑ゾロに心惹かれるのである。
そして紆余曲折の果てに明かされる怪傑ゾロの正体は、ドラ息子ドン・ディエゴであった。どうしようもない遊び人だった彼は、15歳の時、虐げられている人々を見た事から、密かに乗馬、剣術、武術等を学び、自らを鍛えあげ、最強の紳士、最強の盗賊になっていたのである。

 映画(日本発表済みの作品のみ)

 奇傑ゾロ (The Mark of Zorro) - 1920年の作品。ダグラス・フェアバンクス主演。
 ドンQ (Don Q Son of Zorro) - 1925年の作品。上記の続編的な作品。
 快傑ゾロ/ゾロ・ライズ・アゲイン (Zorro Rides Again) - 1937年の作品。ジョン・キャロル主演。
 快傑ゾロ (The Mark of Zorro) - 1940年の作品。タイロン・パワー主演。
 快傑ゾロ/サン・オブ・ゾロ (Son of Zorro) - 1947年の作品。ジョージ・ターナー主演。
 快傑ゾロ (The Sign of Zorro) - 1958年の作品。ガイ・ウィリアムズ主演。
 ゾロの復讐 (Zorro, the Avenger) - 1959年の作品・上記の続編。
 アラン・ドロンのゾロ (Zorro) - 1975年の作品。アラン・ドロン主演。
 ゾロ (Zorro, the Gay Blade) - 1981年の作品。ジョージ・ハミルトン主演。
 マスク・オブ・ゾロ - (The Mask of Zorro) - 1998年の作品。アントニオ・バンデラス主演。
 レジェンド・オブ・ゾロ (The Legend of Zorro) - 2005年の作品・上記の続編。




 『マスク・オブ・ゾロ』(The Mask of Zorro)は、1998年製作のアメリカのアクション映画。マーティン・キャンベル監督、アントニオ・バンデラス、アンソニー・ホプキンス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ出演。歴代の『怪傑ゾロ』映画として初めて、スペイン人であるバンデラスがゾロを演じた。日本語字幕は菊地浩司。
この作品はヒットを記録し、2005年には引き続きキャンベル監督、バンデラス、ゼタ・ジョーンズ出演による続編『レジェンド・オブ・ゾロ』が制作されている。




      あらすじ

 1821年、ラス・カリフォルニアスの最後のアルタ・カリフォルニア総督であったラファエル・モンテロは民衆の不満が高まりサンタ・アナ率いる革命軍の侵攻が迫る中、農民の処刑を餌に覆面の剣士怪傑ゾロを捕らえようとしたが、その策謀は、ゾロを英雄視する農民たちによって妨げられる。その中にはホアキンとアレハンドロのムリエッタ兄弟の姿があった。モンテロと対峙したゾロはその首筋に「Z」の字を刻み、愛馬トルネードに跨って朝日に剣を閃かせ、歓声を上げる観衆の前を走り去る。その夜、予てからスペイン貴族ディエゴ・デラ・ベガがゾロの正体ではないかと目を付けていたモンテロはディエゴ邸を襲う。ディエゴは捕らえられ、闘いの際にディエゴの妻が殺され、幼い娘エレナはモンテロに奪われてしまう。
 20年後、モンテロがカリフォルニアに戻ってきたことを知ったディエゴは、隙を見て脱獄し海岸で雪辱の機会を狙うが、そこでモンテロの娘として美しく成長したエレナを引き連れているのを目にして思いとどまる。間もなくディエゴは、つまらないお尋ね者に身を落としたアレハンドロに出くわす。アレハンドロは兄ホアキンと徒党を組み、旅行者から金銭を騙し盗っていたが、アメリカ人の軍人ハリソン・ラブに兄を殺され、酒に溺れていた。ディエゴはアレハンドロに剣術をたたき込み、民衆の奉仕者たる品格を説き、ゾロの後継者に鍛え上げる。
 スペイン貴族を装ってモンテロのパーティーに紛れ込みエレナと情熱的なダンスを交わしたアレハンドロは、さらにモンテロが地主達を抱き込んでサンタ・アナの領地から密かに金鉱山を開発し、メキシコからカリフォルニアを買い取って再び統治者におさまろうとしていることを知る。ディエゴはアレハンドロにゾロの覆面 (mask of Zorro) を譲り、モンテロの邸に忍び込ませる。モンテロやラブを退けて鉱山のありかを記した地図を盗み出したゾロことアレハンドロはエレナとも対決し、ドレスを破って打ち負かす。
 金鉱山の所在が公になるのを恐れたモンテロは鉱夫ら共々爆破して証拠の隠滅を目論むが、ゾロはモンテロの野望を挫くため鉱山へ行き、ディエゴはエレナに自分が本当の父親であることを告げ、2人してゾロを助けに向かう。ゾロとディエゴはそれぞれの仇敵・ラブとモンテロとの決闘となり、エレナは囚われていた鉱夫たちの解放に奔走する。ついにラブはゾロが手にした自らの剣で刺し貫かれ、黄金を積んだトロッコと共に墜落してきたモンテロに巻き込まれる。鉱山は大爆発するもゾロとエレナは鉱夫達の救出に成功、銃弾を受けたディエゴはアレハンドロにあとを託して死んでゆく。やがてアレハンドロとエレナは結婚して息子にも恵まれ、カリフォルニアには怪傑・ゾロが返り咲いたのだった。

   キャスト


 アレハンドロ・ムリエッタ / 二代目ゾロ: アントニオ・バンデラス
ホアキンの弟。幼少期に兄と共にディエゴに出会っている。その後、兄弟で盗賊行為を行っていたが、ラブに兄を殺害される。ホアキンを失った後、酒場で自暴自棄になっていた時にディエゴと出会い、剣や心得など様々な教えを受ける。これを機に精神的にも肉体的にも成長してゆき、さらにはエレナとも恋に落ちる。

 ドン・ディエゴ・デ・ラ・ベガ / 一代目ゾロ: アンソニー・ホプキンス
カリフォルニアの名士であるスペイン貴族。かつて民衆を守る英雄「ゾロ」として活躍していたが、ゾロとしての仕事を終えたその日に正体を見破られていたラファエルによって捕らえられ、妻は死亡、娘のエレナとは引き裂かれることになる。それから20年後、ラファエルがカリフォルニアに帰還したその日に海岸で大衆に紛れて復讐を果たそうとするが、何も知らずにラファエルにより育てられていたエレナの姿を見て思いとどまる。後継者としてアレハンドロを鍛え、育てる。

 エレナ・モンテロ: キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
ディエゴとエスペランザの娘。幼児の折母エスペランザを失い、父ディエゴと引き離された末、ラファエルの娘として育てられる。一見美しい貴族の娘だが、父親譲りの強い気性の持ち主で、剣術の使い手でもある。



 『アラン・ドロンのゾロ』(原題:Zorro)は、1975年製作の剣戟映画。イタリアとフランスの共同製作。ジョンストン・マッカレーの小説『怪傑ゾロ』を原作にしている。俳優アラン・ドロンの主演第50作記念作品。
     あらすじ
 剣の達人ディエゴは宿屋で旧友ミゲルと再会する。ミゲルはスペイン領ヌオバ・アラゴナの新しい総督に任命されたこと、そしてその地の人々を自分の力で助けていきたいという理想を持っていることを話す。ディエゴは理想ばかり語る彼に苦言を呈すが、その夜宿屋に賊が現れミゲルは命を奪われてしまう。ディエゴは死ぬ間際のミゲルに自分が総督となって彼の理想を引き継ぐことを誓うが、彼はそれだけではなく「剣で人を殺さない」ということもディエゴに誓わせる。
こうしてディエゴはミゲルの名を借りてヌオバ・アラゴナの地に総督として赴任する。だが、その土地はウエルタ大佐率いるスペイン軍によって支配されており、貧しい農民たちは不当に虐げられていた。その現状を目にし怒りに震えるディエゴ。彼は口が利けない従者のホアキンと協力し、ウエルタ大佐を欺くために表では無能な総督を演じ、裏では農民たちをスペイン軍の魔の手から救う正義の盗賊「ゾロ」となって悪漢共を退治していくのだった。