魔女の宅急便



 『魔女の宅急便』(まじょのたっきゅうびん、英題:Kiki's Delivery Service)は、スタジオジブリ制作の日本のアニメーション映画作品。監督は宮崎駿。宮崎が監督を務めたスタジオジブリの長編映画としては初の、他者の原作による作品であり、宮崎が『ハウルの動く城』の監督に就くまで15年間にわたって唯一の作品であった。主題歌には荒井由実の楽曲が採用された。



              あらすじ

 とあるのどかな田舎町に住むキキは、魔女の血を受け継ぐ13歳の女の子。『魔女として生きることを決意した少女は、13歳の満月の夜に魔女のいない町を見つけて定住し、魔女の修行を積むべし』という古くからのしきたりに従って旅立ち、海に囲まれた町、コリコにたどり着く。
 しかし、魔女の風習の残る田舎町と異なって、大都会であるコリコの町の人々はどこかよそよそしく、キキはそんな人々の態度に戸惑いを隠せない。そんな中、グーチョキパン店のおかみ・おソノさんに出会い気に入られたキキは、おソノさんの好意でパン屋の2階に居候し、空飛ぶ魔法を活かして『魔女の宅急便』を開業する。そんな中、人力飛行機作りを目指す少年トンボと出会う。馴れ馴れしい態度で接してくる彼を不愉快に思いながらも徐々にキキはトンボと打ち解けてゆくが、思春期における様々な感情の機微ゆえに、なかなか素直になれない。
 そんなある日。キキは突如魔法の力を失い、飼い猫のジジとも会話を交わすことができなくなってしまう。魔女の証である魔法の力、唯一のとりえである空を飛ぶ能力を失い途方に暮れる中、かつて森の中で出会った絵描きの女性ウルスラと再会したキキは、彼女の励ましを受けて少しずつ元気を取り戻していく。その後、かつてお届けものを請け負った老婦人の家へ招かれたキキは、婦人から宅配を依頼された御届け物が、落ち込んだ自分を励ますためのものだったことに気づき、久しぶりに明るい笑顔を見せるのだった。
 そんな時、飛行船『自由の冒険号』の航海開始の生中継を放映していたテレビで、トンボが暴風に煽られて吹き飛ばされた飛行船のロープにしがみついたまま空中にさらわれてしまったところを目撃したキキは、無我夢中で現場へと急行する。現場の近くにいた掃除夫のデッキブラシを借り受け、必死の思いで魔法の力を奮い起こし、キキはついに再び大空へと飛び出した。しかし、戻ったばかりの魔法の力と乗りなれないデッキブラシに翻弄されて思うようにトンボに近づくことができず、ついにトンボがロープから手を離してしまう。後を追うようにキキはデッキブラシに乗ったまま急降下してトンボをキャッチすると、そのままゆっくりと降下して無事に地面に降り立ち、トンボを救うことに成功する。
 こうして再び魔法の力を取り戻したキキは、街の人たちともすっかり打ち解け、今日も元気にコリコの町を飛び回りながら、宅配業に精を出すのだった。  (Wikipediaより)




         主な登場人物

  キキ

 13歳になり、魔女の掟である独り立ちの日を迎えた活発な女の子。飛ぶことだけが魔女としての唯一の取り柄。おソノの店で箒での飛行を利用してお届けする「魔女の宅急便」を開業し、様々な経験を通じて成長していく。原作ではロングヘアーであったが、映画ではショートヘアーで、原作よりも快活さやオテンバな一面が強調されている。
キキのモデルとして宮崎がヒントを得たのは、当時ちょうど13歳だった鈴木の娘とされている[5]。また、キキの髪型については当初原作のイメージを重視しロングヘアーであったが作画が難しいという事で様々な髪型が試され、最終的にはショートヘアーとなった(初期イメージボード等では髪を2つに分けていたり、三つ編み等もあったほか金髪もあった)。赤い大きなリボンについて、後年に鈴木が製作当時、宮崎と共に「思春期」というイメージに迷っていた最も初期にとある喫茶店で宮崎が手近にあった紙ナプキンに大きなリボンを描き、「これだ!」と形のない思春期を具体化したところからすべてが始まったと語っている[要出典]。

  ジジ

 キキの相棒の黒猫。年齢はキキと同じく13歳。一人称は「ぼく」で少し生意気な性格。喋れる猫というわけではなく、キキが魔法の力でジジと会話をしている。原作によると、魔女の家に女の子が生まれると同じ月日に生まれた猫を探し、大切なパートナーとして共に育てるという風習がある。映画版では後半からキキの魔法の力が弱まって会話が不可能になる(原作では最後まで可能)。映画版終盤では鳴き声で話すジジにキキが微笑みで返す描写がされているが、明確に会話ができるようになったのかどうかははっきりしていない。

  コキリ

 キキの母親で彼女も魔女。魔女としての力は優れているものの、「空を飛ぶ魔法」と「薬草から薬を作る魔法」しか使えない。これは時代とともに扱える魔法の数が減っているせいであり、キキの代になって更に1つ魔法が減ってしまうことを嘆いている。劇中で名前を呼ばれる事はなく、自宅前の案内に「魔女にご用の方は ベルを鳴らしてください コキリ」と書かれているのみ。

  オキノ
 キキの父親。あっさりとした性格。原作では魔女や妖精の研究をする民俗学者。愛娘であるキキを優しく送り出す。ちなみに「オキノ」は苗字ではなく、名前である。

  トンボ(コポリ)
 空に憧れ、飛行クラブに所属する丸メガネの少年。「トンボ」は愛称で、本名はコポリ。愛嬌のある性格で、男女問わず町中にたくさんの友達がいる。
キキが空を飛んでいる場面を偶然見かけ、興味深げに声をかける。最初はキキに煙たがられていたが、徐々に親しくなる。彼の所属する飛行クラブは人力飛行機作りを研究している。エンディングでは一応人力飛行機は完成したが、海に落ちそうになった際は、キキに糸で引っ張り上げてもらっている。
原作では空飛ぶ絨毯、空飛ぶほうきなど非科学的な手段で空を飛ぶ方法を研究している。原作は平仮名標記で「とんぼ」である。

  輩魔女
 キキが魔女として初めて旅立った際に会った魔女。額を見せた茶髪のツインテールに紫の服を着用し、金のハートのイヤリングを付けている。嫌な目付きをした黒猫を使い魔にしている。占いが得意で近頃は恋占いもやっているらしい。現在は小さな町で占いをしながら暮らしている。話しかけてきたキキに対し、お高く留まったような雰囲気や態度で返してきたためジジには嫌な奴と思われているが、性格そのものは気さくで、先輩魔女としてキキに色々アドバイスをした後は笑顔で別れていった。

  おソノ
 キキの居候先のパン屋「グーチョキパン店」の親切なおかみさん。ふとした偶然からキキと出会い、彼女を気に入ってパン屋の屋根裏部屋に住まわせた。一見太目な体型だが、これは妊娠中で腹が大きくなっているためであり、スタッフロール中で出産してスマートな姿を見せている。
映画の製作当時、スタッフの中で「歳の割にはしっかりしているから、昔は色々あったに違いない。もしかしたら暴走族だったのでは?」という話があり、エンディングではバイクに乗せるという案もあった[要出典]。この案は実現しなかったが、映画のパンフレット等のおソノの紹介欄に「青春時代、それなりにツッパった経験を持つ」などと書かれたものがある。

  おソノの夫(フクオ)
 無口で寡黙だが心優しいパン職人。パン作りを覗き込むジジにウィンクするなどお茶目な部分も持っている。キキのためにマジパンで宅急便の看板を作ってくれた。原作ではフクオという名前がある。劇中の声の出演は極端に少なく、息遣いの時に発する程度。

  ウルスラ
 森の中の小屋で絵を描くことに没頭する画家の少女。19歳。宅配中に落としてしまったキキの荷物を見つけたことがきっかけで知り合い、仲良くなった。キキとの出会いのエピソードは原作から採用されているが、映画では落ち込んだキキを元気付けるなど、出番も増えている。
ウルスラという名前は公式設定であるが、劇中では1度も名前で呼ばれておらず、エンディングテロップでも声優の名前のみがクレジットされているため、作中から「ウルスラ」の名を探し出すことは出来ない。当作で公式に名前を持ちながらも名前が一切明かされないのはウルスラとフクオ(おソノの夫)の2人だけである。また、原作では「絵描きさん」と呼ばれるだけで本名そのものがない。
ウルスラの描く巨大な油絵として、青森県の八戸市立湊中学校養護学級の共同作品『虹の上をとぶ船 総集編II 星空をペガサスと牛が飛んでいく』が一部加筆の上使われている[6]。

  ドーラ
キキの母コキリにリウマチに効く魔法の薬を作ってもらう老女(#声の出演も参照)。
名前はキキが挨拶をする際「ドーラさん、こんにちは」という会話で名前がわかる。

  マキ
 パン屋の隣に住んでいるファッションデザイナーで白猫リリーの飼い主。キキにとって初めて金銭絡みの客となる女性。
ケットの祖母と母(彼女の妹)が夕食時の会話の中で「マキがきいたらおこるわねぇ」、「マキおばちゃんに手紙書いたら?」という形で名前がわかる。

  リリー
 マキが飼っているメスの白猫。当初ジジは「やたら気取っている」という理由で嫌っていたが次第に仲良くなり、ジジとの間に4匹の子猫(うち3匹はリリー似で1匹はジジ似)をもうけた。

  ケット
 マキの甥っ子。下記するジェフの他、ピッチという鳥も飼っている。失くしたぬいぐるみの身代わりになったジジを乱暴に扱っていたため、キキを冷や冷やさせた。

  ジェフ
 ケットの家で飼われている大型犬。ジジが身代わりだと見抜いて守ってくれた上に、こっそりぬいぐるみを届けてくれた。

  老婦人
 青い屋根の家に住んでいる婦人。キキに孫娘宛にニシンのパイを届けてもらえるよう依頼する。飛べなくなって落ち込んでいたキキを励ます為にチョコレートケーキを焼き、「キキという人に届けて欲しい」という遠まわしな言い方でプレゼントするなど心優しい人物。

  バーサ
 老婦人に仕えている使用人の老婆。ひいお婆さんから魔女について聞かされていた事があるらしい。キキから預かったほうきにこっそり乗ろうとするなど茶目っ気な一面を見せる。冒険が大好き。

  孫娘
 老婦人の孫娘。トンボの女友達の一人。現代っ子らしい外見をしていてやや刺々しい態度が目立ち、祖母のパイを堂々と嫌いと言った上に扉を無造作に閉めるという態度でキキを落ち込ませてしまった。
      (Wikipediaより)