女と男(別名 巷の恋)


 学生時代、日本でも午後三時のテレビ名画座や日曜の午後九時の日曜洋画劇場やNHKの御昼の映画番組で何度か巷の恋の題名で放映してました。主演女優がヴィルナ・リージと思ってましたが、イザベル・コーレでした。日頃会えば口喧嘩ばかりの男女が最後に結ばれる、典型的な恋愛映画では有るが、根底にイタリアの庶民の聖母マリア信仰が有る。両親を戦争で亡くし、二人の弟達の母親代わりで有る。舟を人生の航海に見立て何度も苦難の海に落とされます、最後には自分自ら苦難の海に飛び込みます。戦争の悲劇を描いて居ます。

 アドリア海北部の塩田地帯にくりひろげる青春篇。「始めに罪あり」のフランツ・カップとユーゴスラヴィアの作家ヴィエコ・ドブリンチチのオリジナル・ストーリーをオーストリアのヨハネス・カイが脚色、カップが監督した。撮影監督はイタリアに帰化したと伝えられるチェコのヴァクラフ・ヴィッヒ(「罪ある女」)、音楽は西独のベルト・グルント。主演は「恋愛時代」のマルチェロ・マストロヤンニ、フランスの新星イザベル・コーレイ、「最後の08/15」のペーター・カルステンなど。



 マリナ(イザベル・コーレイ)は、紺碧のアドリア海にのぞむ小さな港、ポルトロスきっての美しい少女で、男たちの憧れの的であった。だが両親を失ったマリナは、小さい弟二人を養わなければならないので、浜の禁を犯して沖の小島の近くへ釣に出ていた。浜の人たちと島の人たちは以前から反目を続けていた。或る日、マリナが例のように島の近くで釣をしていると急に暴風雨となり舟が転覆して気を失ったが、勇敢な島の若者ピエロ(マルチェロ・マストロヤンニ)に救われた。マリナはさらわれたと思ってピエロと争うが、お互いに強く惹かれるものを感じた。翌朝、マリナは彼のボートで島を抜け出した。島の人々は怒ってボートを取り戻しに来、浜の人と一波乱起りそうになる。だがピエロの目的はマリナにあるので、ジプシー流にさらってでも島へ連れ帰るつもりでいたが、マリナにはニコ(ハンス・ライザー)という婚約者がいた。ニコはマリナが結婚するなら弟たちを引取ってもよいと言っていた。間もなく塩田の始る季節になった。マリナも、ニコも、ピエロも塩田へ出稼ぎに行った。塩田監督のアルベルト(ペーター・カルステン)は、ヴィダという愛人がありながらマリナに色眼を使うので、ヴィダは嫉妬にかられた。夜になると人々は酒場でダンスに興じた。ピエロとマリナは心をかきたてるようなリズムに乗って踊った。あの暴風雨の夜以来くすぶっていた情熱は炎となった。その時嫉妬に狂ったニコがマリナを引き戻しに来た。この夜からマリナは恋を知り、女として眼覚めた。そんなマリナにアルベルトは誘惑の手を伸すので、ヴィダとマリナは掴み合いの喧嘩をする。アルベルトはピエロとマリナに罪をきせて塩田から追い出そうとしたが、ピエロはアルベルトの不正をあばいて逆にアルベルトを追い出したので、彼の立派な態度に一層心惹かれる。ヴィダは妊娠していたのでアルベルトにまつわりつき、彼と争っている中にあやまって、にがり溜りに落ちて死んでしまった。アルベルトはそのまま逃げてしまったので、マリナは殺人容疑で逮捕された。ニコはマリナの無実を主張したが駄目だった。ピエロはアルベルトを追い、やっと捕えて自白させ、マリナを釈放させた。数日後、塩田の仕事は終った。それぞれ自分の住家へ帰って行く。ピエロも船に乗った。マリナは決心のつかないまま浜へ帰ろうとした。ピエロの船は出発した。その時、ばじめて自分の心の求めているのはピエロであることを知り、海へ飛び込んで船を追った。それを見て船を止めて待つピエロの腕にマリナは抱かれた。...  (映画.comより)


   スタッフ

 監督 フランツ・カップ
 脚色 ヨハネス・カイ
 原作 フランツ・カップ
 製作 Heinrich Schier
 撮影 ヴァクラフ・ヴィッヒ
 音楽 ベルト・グルント

   キャスト

 イザベル・コーレイ Marina
 マルチェロ・マストロヤンニ Piero
 イエスター・ナエフェ Vida
 ペーター・カルステン Alberto
 ハンス・ライザー Nico
 マリオ・アドルフ Coco
 カイ・フィッシャー Lola
 トルーデ・ヘステルベルク Vida's Mother



   作品データ

 原題 Madchen und Manner
 製作年 1957年
 製作国 ユーゴスラビア・西ドイツ・イタリア合作
 配給 NCC

       データ提供:株式会社キネマ旬報社