背上の猫

 遠縁の親戚の娘夏枝は太一より一つ歳上で有ったのに、子供の頃法事の日に他所の家に来ては尿垂ればかりして居ってべそを掻くて居った。太一は大きく成ったら結婚して上げると言っては慰めて居った。何やら締まりが無かったので有る。
 親戚でも有り、学生時代もしょっちゅう遊びに来て居っては、勝手に上がり込んで居った。
「いいかげんに観念してうちと夫婦に成ると言え、一生結婚出来無くても良いのんか」太一の上に乗ってふざけて居った最中に尿垂れしてしまい。恥ずかしさの余放心状態で有った。太一も太一で自分を抑制出来無く成ってしまい、犬畜生の様に夏枝をよつんばにさせ背後から犯してしまったので有る。夏枝はショックで恥ずかしさの余抵抗する事も忘れてされる儘に成って居った。
「今、何をしよったんか、うちら夫婦に成ってしもうたんか」「ええか、誰にも言ったらあかんで」
 学校に知れたら退学もので有った。子が出来なんだのが幸いで有った。
「一体如何する積もりやねん、うちの処女を奪って、一生結婚も出来無い身体にしてしもうて」
 高等学校を出て太一は一流企業に就職し良い給料を取て居った。夏枝は人に指図され仕事をするのが嫌で、家で家事手伝いをしながら、遊び呆けて居った。小遣いにも事欠いて居ったので有る。給料日後の休日には遣って来ては勝手に上がり込んでは遊んで居った。
「又、来て居るのか」「うち等もう夫婦なんえ」関係が一度出来ると夫婦に成るものと思って居ったので或る。厚かましい女で有ったが、夏枝が座敷にの真ん中で正座して新聞を大きく開けて記事を読んで居ると、猫が近づいて来て背中の上に載りよるので有った、上には上が居ったので有る。
「あんた、もう給料貰ったんか、無駄使いはあかんで、あんた、うちに援助して呉れへんか、うち生活に困って居るねん、うっとこ貧乏やねん」と言って甘えては小遣いを貰って居った。
 何年もの間生活費を借金を続けて居ったので有った。
「あんな酷い事しといて、よう卒業でけたな、誰の御蔭やと思ってんねんや」脅すので有った。
 夏枝は貴重面な女で有った。小さい帳面に借りた金額を付けて居ったので有った。何やら御金を取って御尻や御乳を触らしては、夫婦ごっこを楽しんで居ったので有る。ボーナス時期は大変で有る。色仕掛けで誘惑をしよったので有る。
 或る日、小さい帳面の借金を計算して居ったら、可也の額に成って居った。夏枝は其の時、借金は何時か返さねば成らない事に初めて気が付いた。豪い事に成った。太一はぱっとしない男では有ったが我慢の出来無い程では無かった。何やら結婚して借金をチャラにする気らしい。
 或る日、太一の気持ちも確かめずに勝手に押しかけ女房を決め込んだ。粗品を手に近所に挨拶廻りを済ませてしまって居った。
「あんた、喜び、あんたの御嫁さんに来て上げる事に決めたさかい、喜び過ぎてしっこをチビら無い様にな」
 一つ歳上の姉さん女房の積もりか、給料を一人占めにされ、太一は煙草銭にも事欠く始末で有った。
未だ結婚もして居無い女にで有る。
 夏枝は風呂好きで有った、嫌がる太一の御尻を引っ叩いては一緒に入りたがるので有った。如何やら御風呂で夫婦ごっこをしたいらしい。二人が風呂に入って居ると猫が喉を乾かしてか入って来るので有った「御前も御風呂に入りたいんか」 嫌がる猫を無理やり洗面桶に浸けて洗ってしまうので有った。猫にとっては迷惑な話で有った。
 夏枝は和服好きで世間面は上品な人妻と思われて居ったが、家の中では、太一の前でも平気で鼻汁はかむは、おならは放は、便所に行きたく成ると好い物を見せた上げると言っては太一をからかって居ったので有った。扉も閉めずに平気で有った。呆れた女で有った。
 ボーナスの時期で有った。何やら欲しい物が有るらしいので有る。もじもじして甘えるので有った。
 猫が腹を空かせたのか夏枝に甘えて足元に纏わり着くので有った。
「あんた、そろそろ賞与の時期やわね、嬉しいく成ってしまうわね、貰ったら接吻さして上げるよってに楽しみにな」同やら一人占めしたいらしい。何やらパソコンを買いたいらしいので有る。
 大分経ってから大きな荷物一つと小さい荷物が何個か送られて来た。
「真坂、自分でコンピューターを組み立てる気ではなかろうな」呆れ返る太一。
 忙しいと言ってはほたらかしにしておったが、休日に成ってやっと夏枝は着物の袖を気にし襷掛けで頑張って居った。着物とコンピューターのこのアンバランスは一体何で有ろうか。
「出来た、ああ、しっこがしたい」女は便所に駆け込んだ。小便を我慢して迄頑張って居ったのである。 女はコンピューターが無事に動ます様に両手を合わせ何やら神仏に祷って居った。
「え、何で」電源は入ってCPUファンは回っても一向にディスプレーには何も表示されて来無いので有った。
「ああ、分かるらへん」女は子供みたいに絨毯の上にひっくり返り足をバタつかせヒステリーを起こしてしまった。猫も呆れ返って居った。「メモリーの種類を間違えて居るのでは無いのか」「そうか、あんた交換して来て」太一は態々日本橋まで行き頼み込んで交換して貰って来たら何の問題も無く起動し。ウィンドウズのインストールも無事に済み。何が気に入ってかワープロソフトのOASYSもインストールして居った。女はインターネットに取り付かれ。クレジットカードで通販で物を買いたいと言い出し。インターネットバンキングもしたいと言い出し。貯金通帳の口座番号と暗証番号も色仕掛けで聞きだし男の資産を自分の物にしてしまった。調子に乗り過ぎ、インターネットトレードも遣り出した。株の取引を自宅のパソコンで男の預金を勝手に使ってして居ったので有る。女は額に汗して働く仕事を嫌い、以前から銀行に憧れて居った。関西では有名な大和銀行とあさひ銀行がりそな銀行として合併統合した。80円だった株が其の内100円に上がると確信した女は下がる度に買い増しを繰り返して居った。或る日、何時の様に座敷の真ん中に新聞を大きく広げ記事を読んで居った。又猫が遣って来て背中に乗って昼寝をして居った。「ええ」女は叫んでしまった。女が急に起き上がった為に猫は振り落とされてしまった。
 りそな銀行が倒産しそうなので有る。倒産すれば株券は紙屑で有る。売ってしまうのも手では有った。80円で買った株が47円に暴落して居った。大損では有るが紙屑よりは益しで有った。夏枝は太一に相談も出来ず売り飛ばしてしまったのである。大損を放いたので有る。しかしで有る。2兆円もの国家資金を投入して倒産はしなかったので有った。又とんでもない借金が出来てしまったので有る。売らなければ一財産出来たかも知れなかったので有ったのに。女はしょげ返って居った。太一に何と言い出そうかと困り果てて居ったので有った。
 或る日の事、太一と一緒に風呂に入って居ると。急に尿意を催した。
「最近元気が無いな、病気か」太一が久しぶりに気使うた。
「あんた、好い物を見せて上げよか」又、何時もの悪さが始まってしまい。尿をし出した。
「何て、はしたない女じゃ」呆れ果てる太一。
「堪忍やで、うちあんたの御金で株で失敗してしもて、大損こいてしもうた」女は尿を放き乍謝った。
「もう、許さん」太一は女を風呂の床によつんばに成らせ犬畜生の様に後ろから犯してしもうた。
 女は小便を放いて借金を水に流してしまった。太一も其の後は責めなんだ。
 暫くして夏枝にやや子が出来たらしい。太一は預金通帳を見て唖然としてしまった。あれ程有った総資産は何時しか可也減ってしまって居った。其の後太一は嫌々夏枝と結婚した。
「あんた、煙草は止めや、身体に悪いで」しきりに止めさした。更に小遣いを減らす気らしい。天罰が終に降ってしもうた。何やら三つ子が出来たらしい。昔なら畜生腹と言われ兼ね無いので有った。又、色々と物入りで有った。太一は煙草を止めさされ。赤子の食事や入浴、襁褓の世話までさせれたので有った。しかし、子達はスクスクと育ち、喧嘩もせず聞き分けの有る、母親に似ず上品な子達に育った。夏枝のコンピューターは何時しか壊れてしまったが、太一は思わぬ、子供と言う宝を終に手に入れたので有った。猫は何時もの様に夏枝の背中に乗て昼寝をして居った。天下泰平で有った。



            2006−05−28−131−01−OSAKA



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