春風の悪戯

 最近、スカートを穿く淑女が少なく成った。ジーンズ等のパンツ(下着の事では無い)を穿く淑女も多い。スカートが淑女の象徴でも有った、古き良き時代は終焉を迎えた。確かにスカートには着物と同様に欠点が有る、春風の悪戯で捲くれ上がる事が有り、紳士の突然の目の保養に成ってしまうので有る。其の恥ずかしい思いが昔から、奥床しい大和撫子を生み出して来たので有ったのでは有るが、パンツなら電車の長椅子に座って眠ってしまっても紳士の視線を気にする事も無いし、自転車に乗っても歩いて居る紳士の視線を気にして片手運転をして事故を起こす心配も無い。
 ぐうたらな与太郎は美人のスカートを穿いた淑女を見る度にスカートの中に手を入れたい衝動に駆られるので有った。思う丈で一度も実行しなかった為、痴漢として警察に捕まる事も無かったので有るが。此の大阪に女性専用車両成る物が走って居る事からも、自制出来無かった殿方が如何に多かったかが判る。世界に恥晒しでも有る。
 与太郎はスカートの好く似合う良い女に出会う度に「家に遊びに来無いか、白湯位御馳走するよ」と言っては顰蹙を買うのを楽しんで居ったので有った。口癖に成ってしまって居った。或る日、本当に変な女が遣って来てしまったから可笑しな事に。追い返す訳にも行かず、座敷に上げた。
「汚な、此の暴れ様は何じゃ、男寡に蛆が湧くて本当の事じゃな」
「正直に言わねば、しばくし、今までに何人の変わり者の女が此処に来た」
「此処へ来る様な変わり者の女は其方が初めてじゃが」「うふぁー」「あんたは、うちに此の家を片づけさせ、掃除をさせ、あんたの汚れたパンツ(ズボンの事では無い)を洗濯させる気か、私を恥ずかしめてやや子を生ませて襁褓の世話をさせる気か、うちに御三度をさせて置き乍料理が不味いと文句を垂れるのか、御姑様が年老いて足腰立た無く成ったら此のうちに尿糞の世話迄させる気か」嫌味を言うた。
「花江、御前が好きで好きでもう堪らん、夫婦に成って欲しい」
「ええ、何でうちがあんた見たいな男のお嫁さんに成らんあかんの、此の阿呆垂れ」突然拳骨が頭に飛んで来た「痛」「花江」座敷に押し倒してしまった。
「如何したん。パンツの中へしてしもうたんか、呆れた男じゃ」
「なあ、御茶も出いへんの、御茶葉も切らして居るのんか、白湯で好えわ」電子レンジで水道水を温めた白湯を美味しそうに飲み乍。
「男と女て不思議やわね、会社では何も話す事も無いのに、こうして居ると夫婦に成った様な、変な気に成るわね」
「あんたも此処へへたり」
「あんたも阿呆やわね、あんたも男なら、うちの御乳を触って見たい、スカートの中に手を突っ込みたいと思う事も有るで有ろうのう、其れで正常だとうちも思う。あ、しっこがしたく成った」与太郎はスカートを穿いて、男の顔を跨ぐ様なはしたない女は一人も居無いものと思って居ったら。花江は与太郎の顔を平気で跨いで便所に駆け込んだので有った。呆れかえって居った。パンツが丸見えで無いか。
「ようけ出たわ、すっとしたわ」スカートの乱れを直し乍戻ってきた。
「あんたはもう一つやけど、うち此の家は気に入ったえ、仲好くしような」
「何時まで昼寝をして居るのじゃ、うちの言う事をを聞けば、結婚も考え無くも無いぞ、心掛け次第じゃ」女は男の上に馬乗りに成ってしまた。     
「好い物を見せて上げる」与太郎の顔を又跨いでスカートをへらつかした。
 与太郎の母が知り合いの葬式の帰りに憚りを借りに立ち寄り、勝手に上がり込んでしまった。
「此れ娘、何と言うはしたない事をして居る」母に見つかってしもうて御尻を打たれてしもうた。
「結婚前の娘がはしたない事をするで無い、何処かで見た様な顔じゃのう、あんたは何処の娘じゃ」
「市議会の議長の」「ああ、道理で、あの市議会議長の山田様の娘か」母の知り合いの娘で有った。
 母は憚りを借りてすっとして出て来て。
「与太郎、それにしても御腹が空いたぞ、又白湯しか出無いのか」
「何か無いのか、此れ娘、あんたも手伝い」
 母と女は台所で何やら楽しいそうにごそごそ遣り出した。
 何回か女が遣って来た或る日、与太郎は風邪で熱を出し、寝込んでしまって居った。女は以外にも健気に一晩中看病し、看病疲れか、服の儘、側で寝てしまって居った。熱も下がり掛けた与太郎は夢現で花江の御乳を触ってしまって居る自分に気が付いた。「何時まで御乳を触って居るのじゃ、他にする事は無いのか」ずーと触らし続けて居ったので有った。男は興奮してしまい女を犯してしまった。女も犯された拍子に我慢して居った尿が出てしまい大変な事に。「命の恩人に此んな悪さを何でしよるのじゃ」スカートを濡らしてしまい、恥ずかしくて帰れ無いと駄々を捏ね、家に居付いてしまった。二人の珍奇な夫婦ごっこが始まってしまったので有る。
 花江の下品な事と言ったら。与太郎も呆れ返って居った。与太郎の前で、平気で屁を放わ、鼻はかむわかませるわ、鼾は掻くわ、手淫はするわで有った。余程便所に行くのが面倒なのか、我慢出来無く成るまで我慢し、パンツに染みを作っては与太郎に態々見せるので有った。
「好い物を見せて上げる」と言っては御風呂で尿を放いたりしよるので有った。
 花江が座敷で御腹の上に猫を載せて寝相が悪く、スカートの中が丸見えで昼寝をして居った。与太郎がカメラで撮って居るのを見つかってしまい。
「こら、何て事をし居る、恥知らず」叱られてしもうた。
「そんなに撮りたいのなら撮らして上げる」便所に誘った。
「良いか、猥褻な中に芸術性が無くてわ成らぬ、うちが排尿の快感に陶酔して居る感じが出る様に、撮影するのじゃ良いな」何やら注文が多いので有る。
 花江は与太郎のパソコンのパスワードを盗み取りインターネットをして居った。ハードディスクの或るホルダーに猥褻な画像が一杯有る事を知って唖然としてしまった。
「男はしょうが無いのう、男はそう言う者か」特には軽蔑しなかった。
 歳も押し迫った年末の或る日、二人は御正月の為の餅搗きを朝からして居った。糯米を蒸し、男が杵で搗き、女が捏ねて居った。鏡餅の大事な一臼の最中に女は急に便所に行きたく成り我慢が出来無く成ってしまたが、兎に角一臼搗き終わる迄わと我慢して居ったが、粗相をしてしまったから恥ずかしい事に。
「御免、おしっこ放いてしもうた」「阿呆、早よう着替えてこい、風邪引くで」鏡餅もそこそこに与太郎は寝間に入り込んで、花江を犯してしもうた。何やら不恰好な鏡餅に成ってしもうた。女は粗相が余程恥ずかしいかったのか、放心状態で有った、自虐症の気が有ったのか、小便の事しか興味が無く成ってしまった。寝ても覚めても小便の事で有った。
 与太郎の趣味は歳に似合わず、神社仏閣を廻ってはデジタルカメラで撮影してはパソコンに撮り貯めて居ったので有る。花江はカメラの前ではしたない事をしては与太郎に困らせて撮らせては陶酔して居ったので有る。真に下品な女で有った。
「困ったわ、近くに公衆便所が無いのかしら、もう我慢が出来無い、漏れそう」前を押さえモジモジする女。又、粗相をしでかす積りか。
「此処でしてしまうから、写真に撮って」与太郎は唖然としてしまった。羞恥心が無いので有ろうか。
 今迄は卑猥な写真は恥ずかしくてフイルムを現像に出す訳にも、自分の家で現像する訳にも行かず、撮ってもしかたが無かったが、最近のデジタルカメラは其の儘パソコンに取り込め、プリンターで印刷も出来るので有る。卑猥な部分も丸見えで有った。与太郎も与太郎で有った。二人は猥褻な写真を撮り続けて遊び呆けて居ったので有る。やや子が出来無いのを良い事に、二人で悪さのし放題をして居ったので有った。キチット髪を結い、和服を着込むんで淑女の様な格好をしながら、陰部を丸出しにして卑猥な事をして居るところを写真に撮らせ、満足して居ったので有る。初雪の冬には近くの神社に詣で、其の帰りに水墨画の様な雪景色を背に陰部を丸出しで立ち昇る湯気を撮らせて居ったので有る。春に成れば根雪も融け良き肥やしに成る事で有ろう。桜吹雪の春の或る日、葬式の帰りには喪服の儘、桜吹雪の桜の木の下で陰部を丸出しで撮らせて居ったので或る。罰当たりな。驟雨の夏には蛇の目傘を差し乍、浴衣の裾を捲くっての御尻丸出しの立ち小便で有った。銀杏の黄金の落葉の絨毯の秋には結婚式の帰りに銀杏木の下で留袖の儘陰部を丸出しで撮らせてので有った。銀杏の実の臭いで便所の様で有った。家では便所の前で必死に我慢する処や淫らにスカートを濡らしてしまう処を撮らせて居ったので有る。何と言う女子で有ろうか。 上品な貴婦人が下品な事をしてしまう事に猥褻な芸術性を追求して居ったので有る。
 一年以上過ぎ、パソコンのハードディスクには可也の猥褻画像が溜まって居った。或る日の事、母が血相を変えて遣って来た。思わぬ事件が起こってしまった様で有る。「此の写真に覚えが有るで有ろう、下半分は恥ずかしくて人には見せられぬで切り取った」
 与太郎はウィニーと言うファイル交換ソフトを使って居った為に悪質なコンピューターウイルスがウィニーに不具合を発生させ、公開もして居無い筈のホルダーのファイル迄インターネット上に流出させてしまったので有る。陰部の丸出しの猥褻画像がインターネット上に流出してしまったので有る。母は与太郎の頭を拳骨で叩き、花江の御尻を平手で思いっきり引っ叩いた。「こら、何処へ行きよる、又小便か」叱られると小便の我慢が出来無く成るので有った。
 女は吐いてしまった。如何やらやや子が出来たらしい。母は二度と其のパソコンを使わせ無い様に封印してしまった。恥ずかしい事にあい成った。市議会の議長の父に知れたら勘当もので有った。議長の重職を辞さねば成らなく成るので有った。インターネットで議長の娘が淫らな事をして居た事を知れ渡ってしまったので有った、女は表を歩け無く成った。悪い噂が知れ渡った筈なのに議会で議長意を辞めろと余計な事を言い出す不粋で非常識な市会議員は誰一人居無かったのは幸いで有った。しかし幸か不幸か花江にやや子が出来てしまい別れる事も出来無く成ってしまった。花江は散々叱られ乍も結婚を許されたので有った。
 一度流出した情報は回収が至難の業でも有る。便利な物の陰に思わぬ落とし穴が有る。
 白湯に引かれて遣って来た女では有ったが、二人は恥を掻き乍夫婦に成り、やがて男の子を産み落とし良き母親に成った。後悔し、はしたない事はしない様に努力はしたが、其の内又悪い虫が騒ぎ出し、相変わらずで有った。
 春風の悪戯で淑女のスカートの中を見てしまっても、見て見ぬ振りをするのが礼儀で有る。







            2006−07−02−139−01−OSAKA



                     HOME
                  −−戻る 次へ++