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御腹を摩らされる女（不熟） 未熟とは未だ熟さ無い青い果物の事で有る。不熟とは熟す前に落ちてしまう果実の事で有る。此の物語も不熟で完成する事が無い。 憲次は子供の頃、腹が痛かったり、腹が立つて腹の虫が治まら無くて眠れぬ時には、優しい母に御腹を摩って貰って寝て居ったので有った。医者の薬より良く効くたのが不思議な話でも有る。母の愛が病を癒すので有ろうか。海より深い母の愛を受けて、大きく成ったのに、其の愛しい筈の母を殺してしまう、年少者の重犯罪が後を断た無い。御乳を飲んだのを忘れてしまったので有ろうか、襁褓を替えて貰ったのを忘れてしまったので有ろうか。誰が食事の用意をして呉れたのか忘れてしまったので有ろうか。人で無し未満で有る（未満は其れを含ま無い）、鬼未満で有る、犬畜生未満で有る、外道未満で有る、虫けれ未満で有る、恩知らず未満である、恥知らず未満で有る、気違い未満で有る、鬼畜亡者未満で有る、恥知らず未満で有る、罰当たり未満で有る、餓鬼未満で有る、阿呆未満で有る、呆け未満で有る、間抜け未満で有る、糟未満で有る、 ・・・。 憲次は母に似た、優しい女、一美と夫婦に成り、余程腹の立つ事が多いのか、子供の様に、御腹を摩って呉れと言い出しては妻の一美を困らして居った。余りの度々の要求に堪りかね。 「なあ、あんた、偶にはうちのお腹も摩って呉れへん」と甘えた。暫く御腹を摩って居ったが。 「こら、何処を摩り居るか」突然拳骨が頭に飛んできた。二度と摩ってとわ言わ無んだ。 「あんた、世の中そんなに腹の立つ事が多いのか」と聞いた。 「世の中腹の立つ事だらけじゃ。少年の母殺し、兄弟殺し、放火、少女誘拐、監禁、虐待、振り込め詐欺、架空請求詐欺、イラク戦争、自衛隊の派兵、インド洋上での税金の垂れ流し、国民投票法の改悪、教育基本法の改悪、日本国憲法の改悪、消費税率の再再再引き上げ、医療負担の増加、自爆テロ、異常気象、ミサイルの発射実験、回転ドアの不具合事故、エレベーターの不具合事故、電車の脱線事故、女性専用列車、地下鉄サリン事件、白装束隊事件、コンピューターウイルス、迷惑メール、金メダルリストのドーピング事件、地上波なアナログ放送の終焉、我が社の永年勤続の三十五年の褒章の突然の廃止、出張、配転、査定問題ワンクリック詐欺、フィッシング詐欺、歩道を疾走する自転車、車道を悠然と歩く歩行者、猫の鼠の食べ残し、何も悪い事をして居無いのに吼える犬、日銀総裁の村上ファンドでの金儲け、試験の成績で生徒を差別する教師、有給休暇の取り辛い職場、半分裸姿の電車の女の乗客、歩き乍ジュースを飲む女、車道の植栽、歩道の犬の糞、犬のトイレ代わりの電信柱、烏の群飛、群啼き、烏の網戸への張り付き、ゴミの違法投棄、出し方の細かいルール、個人情報の流出、仏像の盗難事件、収獲寸前の果物や農作物の盗難事件、心無い落書き禁止の落書き、背中に書かれた落書き、砂浜での落とし穴事件、野生動物のゲーム感覚のハンチング、赤い海燕の巣、全部壊される海鳥の卵、病人の盥廻し、会社の買収事件、危ない銀行への国費投入、株の暴落、為替の暴落、戦争に因る外貨の凍結、余りに長い超低金利時代、電車の中で化粧をする女、サマータイム、又かの人工衛星打ち上げの失敗、明石の歩道橋で多くの人が将棋倒しに成り、将棋倒しの言葉を使うなと言う人有り、死者だ多数出た時の警察、警備会社の弁明、歴史家同士の見て来たかの如くの昔の話、かっての石綿施工業者が今度はアスベスト処理で大儲け、自動車やガスストーブ、ガス湯沸かし器のリコール、靖国参拝問題、中型犬を座敷で飼う非常識、段々に高く成った、ＣＳ放送のチャンネル受信料、毛皮を着て居る犬に更に服を着せる非常識、故障して電源すら入ら無いマザーボード、テロに因るツインタワーの旅客機の体当たり事故での崩壊と大統領の対応の遅さ、大量破壊兵器を隠し持って居ると言い掛かりでのイラク攻撃、其れに加担した、サマワでの自衛隊の派兵、大量破壊兵器は今だに発見されず、此処を試験に出すと言って置き乍別の問いを平気で出す教師、一坪一万円の国道から遥かの激安土地の熊笹、火星の土地の分譲の許可を出した当局、虫が食って居ると文句を言われる無農薬作物、電気泥棒者の危険な電撃漁法、時々見る火山の噴火の悪夢、日本の女の外務大臣が国連総長に要請を電話でするか、水廻りの点検を只でさせて貰いますと言って中々帰ら無い、読め無い英語の百科事典を買わせる押し売り有り、架空請求では飽き足らず、支払い証明書の発行費を請求する詐欺有り、環境問題、省エネ、クールビスと称してプラスチックの団扇を配る愚か、千年持った古墳の壁画が湯水の様に御金を使い最新の技術を使い、傷つけ内緒で修理し、黴を生やした、航空会社の組合のストライキで家にも帰れ無い、信長、秀吉、家康のイメージが勝手に変えられる大河ドラマ、災害時にボランティアの世話に成り乍、やがて自治会を作って邪魔者扱い、強制非難で見捨てられた、野良犬が野生化し、凶暴かし、鶏が屋根迄飛んだ、監禁し緊縛し便所にも行かせず、失禁した事を詰るアダルトビデオの愚か、錠剤に体毛が混入し製品を回収させられる愚か、モザイクだらけのアダルトビデオを買わされた愚か、靴底が鯣の安物買の鼻鼻落とし、買った日が万年目の銭亀、除草剤の鱈腹の法面のつくしんぼう採集、犬死で軍神と崇められ、轟沈を強姦と勘違い、鬼十訓を掲示さす経営層、台車の稟議を棄却する椿事、燕が巣立って後に櫻貝は有らず、昔話の大嘘、身体が男の学生を心が女と言う丈で女性を認めた教育委員会の非常識、消費者金融の非常識な取りたて、女の喫煙、歩道で自転車とぶつかりそうに成って、もう糞垂れと女に言われる時代で有る、ホテルに泊まった客が蝉や烏や蛙が煩いと文句を言い出す、甲子園の高校野球で終戦（敗戦）記念日の黙禱の中断で流れが変わってしまう、窓に張り付く守宮、電子辞書使いたい時には電池切れ、男同士の結婚を認めた或るヨーロッパの非常識、頭の上の蠅、目の上たんこぶ、国民を無視した総裁選挙の皮算用が既に始まって居る、 ・・・」 知らぬ間に妻の一美は鼾を掻いて眠ってしまって居った。女は暢気で有った。 或る朝、妻の淫らな寝乱れ姿に、むらむらと成った憲次は事も有ろうに、妻の下着を脱がしてしまい陰部に接吻してしもうたので有る。「あ、何をし居るか」余りの恥ずかしさの余りに御粗相をしてしもうた憲次は思わぬ物を略奪してしまい、興奮してしまい、野獣の様に盛ってしまったので有る。 「わたくし、実家に帰らせて貰います。御父ちゃんや御母ちゃんや御兄ちゃんや御姉さんに相談して来ます」 「そんなみっともない、恥晒しな事」「其のみっともない恥晒しの事を何でした」 「そんなに腹を立てなて、御腹を摩って遣るよって」 「そなたは、真面目な人だと御父ちゃんに言われて、夫婦に成ったのに、変態の気が有るとわ思いもせなんあだ、御腹ばっかり摩らせて、わたくしのおそそにしか興味が無いのんか」 妻が実家で何を言ったか判らぬので恥ずかしくて迎えにも行け無んだ。暫くして有るはずの生理が無く成った。未だ生理が上がる歳でも無し。やや子が如何やら出来たらしい。四十の恥掻き子が出来てしまったので有った。妻は仕方無しに家に帰って来た。 「変な事したら、又おしっこ引っ掛けたる」妻は実家で散々言い聞かされたのか開き直ってしまった。 「そんなに怒りなて、又、御腹を摩って遣る依って」「そやな、おそそ位好きなだけ弄らしたる」 「あんたたら、楽しかった事、気持ち良かった事は一度も無いのんか」妻は寝物語に聞きだした。彼の「罪と罰」のドストエフスキーも処刑されそうに成った時に死を前にして楽しい思い出丈が走馬灯の如くに頭の中に浮かんで来たと書いて居たが、誰しも死ぬる時は其う有って貰いたい物で有る。しかし人の人生は悲惨な事が多く、楽しい思い出等僅かで有る。 「そうじゃな、初恋の時は世の中が薔薇色に見えたぞ」「あんた、うちに当て付けに初恋の話何かするのんか」「オリンピックのマラソンで日本人が金メダルを取った時は興奮したぞ」「あんたに何が残った」「阪神タイガースが優勝した時は戎橋から道頓堀川に飛び込みたく成ったぞ」「大腸菌のうようよの汚い川にか」「アポロ１１号のテレビ中継には興奮したぞ」「何時の話」「大阪万博でアメリカ館の月の石には感動したど」「古い話やね」「御前が大掃除に手伝いに来て呉れて、スカートをたくしあげた姿には興奮したぞ」「助平」「御前が初めておならを放いてしまい恥ずかしがっれ居った時には思わず漏らしそうに成ったぞ」「変態」「初夜の晩は極楽浄土で母に会った思いがしたぞ」「・・・？」「 初めて二人で 御風呂に入 った時は思わず御湯の中で漏らしてしまったぞ」「汚な」「やや子が産まれるのが楽しみじ ゃのう」「そやね」「燕の子を雀が育てた話は聞いたぞ」「御腹を毀さ無いのかしら」「御前が好きで好きで堪らん、御尻も触りたいし、御乳も触りたいし、おそそも触りたいし、接吻もして見たい」「阿呆」「御前が放心して御粗相をしてしまうのをもう一度見てみたい」「変態」「御前が御産をするとこを見てみたいものじゃ」「糟」「快眠、快食、快便は気持ちが良い物じゃ」「そやね」 「・・・」 「なああんた、又、おそそに接吻したくわ無いか」又女は誘った。自分で下穿きを脱いでしまった。 「困ったわ、又、おしっこしたく成ってしまったわ、御粗相をしてしまったら如何しましょう」 両手で顔を覆うって恥ずかしがった。又仕出来積りで有る。 此の調子では五十の恥掻きっ子も夢では無さそうで有る。いやはや呆れた女子で有った。 （こんな物語を書いて居ると世の中に不満だらけと言われそうで有る） ２００６−０８−０６−１５１−０１−ＯＳＡＫＡ |
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