包み込む心

 国宝級の宝物の移動は大変でも有る。傷付けたり、壊したり為無い様に厳重に梱包為る必要が有る。白い布を何重にも巻き着け、綿をかませ更に布を巻き着け、箱に納め、詰め物を為なければ成ら無い。天然の海綿の如くのウレタンスポンジや饂飩の如きの発泡スチロール、空気其の物をパックしたエアーパック等の緩衝材の発達で包装も簡素かされ便利に成った。
 最近では環境問題も絡み、ゴミを減らす為に包装の簡素化が必須と成って居る。大切に包み込む心と環境への配慮の心の相矛盾する世界でも有る。昔は詰め物も値段の都合で、値段の安い藁や古新聞が主でも有った。
 包装は遣ったら捨ててしまう物丈に民芸館で展示する程の物も少ないが、昔から巧みな包装が考えられて来た。玉子等の割れ易い物は尚更で有った。今でこそ便利なパックが有るが昔は大変でも有った。藁で括ったり、籾殻を箱に入れたりで有った。風呂敷の包み方も又色々で有る。
 最近ではエアーパックの使用で包装も便利に成った。パソコンのパーツ等の精密機器は緩衝材の使用が必須と成る。袋に状に成って居る便利な物も有る。精密電子機器の梱包には必須でも有る。HDD等は特に衝撃に弱い。エアーパックの形も様々で。お菓子の箱に良く入って居るぶつぶつ状の物から大きなソウセイジの様な枕状の物まで有る。嵩が大きい割りには軽いので有る。穴を開けると畳んでほかせる。
 俵は昔から真に便利な御米の入れ物で有る。脱穀した廃材の藁を使っての袋でも有る。藁で米が漏れないように編めるのも不思議では有る。土を詰めれば土嚢にも成ったので有る。堤防が切れかけた時に土嚢が間に合わず、其のの代わりに米俵を使って決壊を防いだ悲惨な話まで有る。寧ろを二つ折にして袋状にした藁袋も有る。ポリ袋の無かった昔の人は苦労したので有る。
 包帯を巻くのは難しいので有る。素人巻くと直ぐに肌蹴てしまうので有る。強く巻きすぎる血行が悪くなり壊死が起こる場合が有る。血止めのバンドも30分に一度は緩めなければ成らな無いので有る。赤子を包む母の心の如くで有る。
 耐震強度計算の偽装問題の被害を受け、建物の補強を余儀なくされたビルも有った。其の事件とは別でも古い法律の規格で建てたビルが当たらし法律の規格では強度に適合し無いので有る。補強しないと適合に成らないので有る。工法は色々と有るらしいので有る。柱の周りをコンクリで固め柱を太くする工法。柱を鉄板で包み込む工法。壁を厚くしたり、窓を無くし壁にする、鉄骨の鎹を入れるれる等々色々で有る古い駅の二階に列車を止めずに造ってしまった例も有る。駅の天井を貫く鉄の柱が新しい駅を支えて居るので有る。
 最近は電子メールの発達で、葉書や封書を使用する事も少なく成ったが、大事な書類を郵送する必要が出来た場合には必要と成る。封書の中に現金を入れる訳に行かず、書留にする必要が有る。封筒自体が二重に成っていて封印の為の判子を四隅に何箇所も押す必要も有る。大層な包装と成る。ヨーロッパでも封書を封蝋で封をして更に封印を押して秘密厳守に勤めて居ったので有る。ポストイットと同じ剥がせる糊の御蔭で二枚を張り合わせ、葉書を封書の様にチャッカリ利用して居る銀行も多い。雨の日に湿って居る時は乾かしてから捲らねば成らない。
 バレンタインデーの贈り物のチョコレートの包装はチョコレート本体よりも包装に御金が掛かって居る様にも思える。包装自体をを楽しむべきなのか。何で男子がチョコレートを貰って嬉しいのかが未だに理解出来無い。本でも贈れば好さそうな物を。
 男子たる者無闇に他人の赤子等迂闊に抱くものでは無い。力を入れると壊れそうで有る。力の入れ具合が判ら無いので有る。落としてしまたら大変で有る。蜻蛉返りの出来る猫を抱く様な訳には行か無いので有る。ヨーロッパでも昔から淑女を育てる為に家庭科には力を入れて居ったので有る。子供を生んだ事の無い女性の教師が慣れ無い手つきで女生徒に赤子の扱いを教えて居ったので有る。赤子を貸した母親は側で落とされ無いかときやきで無かったので有る。三つ子の魂百迄で有る。赤子は襁褓を換えて貰って居る間も母親の顔をジーと見て居るので有る。動物も初めて見る物を母親と思ってしまう、擦りこみが存在する。襁褓を替えて呉れて居る母親の顔の記憶が今だに有る人も有る。其の若き母の顔に似た女性が好きに成るので有る。結局は自分に似た女性を選ぶ事と成る。夫婦の写真を見ると何故か不思議と似て居るので有る。不思議な世界で有る。最近は男子も育児をするべきだと思う人も多い。男性用の育児教室迄在るので有る。何処から赤子を借りて来るので有ろうか、授業の最中に赤子が粗相でもせぬかと心配して居ったら、キューピーを使って授業をして居た。
 人間の脳は不可解でも在る。人も母体の子宮の中で、生命進化の過程を繰り返すらしい、尻尾や鰓の如き物が現れたりもする、人を人たらしめる新しい脳は最後に出来る。生命の維持に直接関わる中枢的な機能を司る部分は脳の奥深くに在る。人類は二足歩行に移行し飛躍的に脳が大きく成った、古い脳を包み込む様に新しい脳が出来たので有る。問題は其の古い脳で有る、冷血動物で有る爬虫類期の脳で有る。理性の抑制が外れると其の古い脳が悪さを始める。親殺しの大罪を起こしたりもする。歴史が戦争へと向かう時期には其の抑制が外れる。日本国憲法を改悪したがったり、教育基本法を改悪したがったり、国民投票法を改悪したがったりで有る、何やら冷血動物期の古い脳が蠢きだしたので有ろうか。
 驕る孫悟空は筋斗雲に乗り一跳びで十万八千里を飛行出来るが此の世の果てと思っても結局は御釈迦さまの御手の上で遊んで居るに過ぎなかったので有る。罪人まで救おうとする御仏の懐の深さを象徴でも有る。母者の心も又同じで有る。吾が子が死刑囚に成り下がっても見捨てたりは為無いので有る。
 昔から南国生まれの寒がの猫にとって、雪夜の晩は大変で有ったので有る。竈の灰の中に入り込んで、白猫も鼠色に成ったり、人の寝床に忍び込んだりで有る。黙って忍びこんでは叱られるのが判って居るのか、枕元で啼いて催促をするので有る。人を湯たんぽ代わりに為て居る丈かと思って居ったら、真夏の蚊帳の中に迄入りたがって、啼いて催促をするので有る。今では珍しい、雷鳴が轟く時に昔は吊って非難した彼の蚊避けの蚊帳で有る。枕元で御産をした猫が吾が子を銜えて人の寝床の中に入れ様とした経験が有る。人の寝床の中迄は野犬も鼬も狐も狸も襲って来無い、一番安心の出来る場所で有ったので有ろう。寝て居る最中に人に身体を突かれると気持ち良さそうに咽喉をゴロゴロ鳴らして居ったので有る。猫は人を母者の如くに勘違いして居るので有ろうか。人も又吾が子の如くに慈しむもで有る。内部に野生を秘めた猫が人に甘え脚に纏わり着いたりするので有る。蜻蛉返りの出来る猫は人に抱かれても安心してか爪を立てたりは為無いので有る。抱かれ人の懐の中で寝たりすなるが、抱いた儘表に出ようとしたら大変な事に成る。猫は人で無く家に着くので有る事が判る。
 雪景色は日本人には特別の想いを抱かせるもので有る、汚い物、無用の長物、時代劇の撮影には在っては成らぬ現代を象徴するゴミ等を総て被い隠して呉れるからでも有る。日本画に描くに絵の具の量を減らせるので有る。余白を最大限に利用出来るので有る。手抜きの出来る世界でも有る。
 愛しの人の写真は大事に包む物で有る。親の身勝手な想いで潰れるかけた見合い話で丁寧に包まれて返された見合い写真を見て当の本人の想いを察し、もう一度親を説得し結ばれた夫婦の実話も有る。包装にもひとの想いが籠められるものなので有る。
 吾々を包み込む大宇宙は不可解で有る。始まりが有るのなら終焉が有るのか、膨張と収縮が繰り返されて永遠に続くのか、始まりの前には何が有ったのか。其の宇宙を宇宙論の研究者は数式で表現するのも不可思議で有る。何も無い所から突然宇宙が出来たので有ろうか。判ら無い事だらけでも有る。
 人を包み込む世間の中で、見返りを要求為無いのが真の愛でも有る。不条理な世界でも有る。恋は又盲目でも有るので有る。好きな人の事だけしか見え無く成るので有る。断られる辱めを恐れ貝に成ってしまった人すら居ます。何もしなければ何も生まれて来無いので有る。生まれて来た甲斐が無いので有る。
 御仏の様な包容力有る心を持て生きて行くのは至難の業でも有る。日頃の節制と精進が肝要か。   



          2007−02−25−204−02−01−OSAKA




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