未亡人の初風呂

 平和な町の下水道に溜まった臭い臭いのメタンガスが突然爆発して、マンホールの重い鉄の蓋が天空に飛び撥ねて四郎の家の浴室を直撃した。誰も怪我をしなかったのがせめてもの幸いで有った。
 浴室の修繕の間、銭湯に行けば何の問題も無かったが、人前で肌を見せるのが嫌いな恥ずかしがりやの四郎は御湯で身体を拭く丈の不自由な生活を送って居った。
 裏の未亡人が見るに見かねてか、自分の家の風呂を使う様に奨めた。未亡人の家は昔乍の民家で湯殿も大きく、四郎は久しぶりの湯船に入って温まって居ると、長襦袢の未亡人が入って来てしもうて。
「御背中を御流し致しますわ」未亡人は長く男日照りが続いた為か催しっぱなしで有った。
「女の使った後ではさぞかし不快でしょうが、堪忍して下さい」
「ああ、御免なさい、私たら催して来てしまいましたわ、一寸お手水に」興奮為過ぎた為か前を押さえ乍御不浄に駆け込んだ。
「今日は有難うございました、風呂の修理が終われば、是非とも初風呂に入って頂きたい」

 次の日の晩に。
 四郎が風呂を戴いて帰ろうとすると急に通り雨が。
「酷い雨です、一寸傘を拝借出来無いでしょうか」「通り雨ですわ暫く御ゆっくりなさったら」
「貰い物の麦酒が有りますの、めしあがられません」未亡人は麦酒を飲んで乱れてしまった。
「私、催して参りましたわ。御一緒なさいません」四郎を御不浄に誘ってしまった、何やら卑猥で有った 四郎は夫婦に成った様な変な気に成ってしもうた。

 気を良くした未亡人は、休みの日は夜まで待ちきれ無いのか、そわそわし、自分の作った昼の御数の鉢に布巾を掛けて持て来ては上がり込んで話込むので有った。最後に便所を借りて帰るので有った。四郎は風呂を借り、未亡人は便所を借りたので有る。

 或る日、仕事の都合でか遅くに女は遣って来て。遅く成ったので御湯を使うのを待って戴いては遅く成るので一緒に入ろうと言うので有る。
「恥ずかしがる歳でも無いでしょ」

「何処をさっきから見てらっしゃるの、女の裸がそんなに珍しいですの、子供の頃はお母さんと一緒に御風呂に入った事が無いの」未亡人は前を隠す気等無い様で有った。吾が子の前の母者の如くに。

「たまには、私の背中も流して下さらない」四郎が手を滑らして御乳を触ってしまたが、未亡人は何も感じ無いのか。
「貴方も男でしたのね、ついでにおそそも触りたいんじゃないの」

 黒猫が咽喉を乾かし、風呂の中に入りたがった。
「御前も御風呂に入りたいんか」と言って嫌がる猫を置けに突っ込んで洗ってしまった。

「ああ、御免なさい、又私催して来ましたわ、一寸お手水に」又、興奮為過ぎた為かバスタオルを腰に巻き着けて前を押さえ乍御不浄に駆け込んだ。

 次の日の晩
 湯殿での未亡人のはしゃぎ様と言ったら。小娘の様に、日本手拭で泡の照る照る坊主を作っては弄ぶ有様で有った。

 次の日の晩
「やや子が出来る様に、接吻して下さいません」とんでもない事を言い出した。

 十六日目の日の晩。
 浴室の修理も間も無く終わると聞いて未亡人は慌てた。もう別れられ無い二人に成ってしまって居ったので有る。四郎は未亡人の淫行に我を忘れてしまった。猥褻の毒牙に掛かってしまたので有る。四郎は自分を抑制出来無く成ってしまったて、野獣の様に後ろから未亡人を犯してしまたから大変な事に。


 有馬温泉に湯治に行って居た、姑が突然に帰って来て湯殿の二人のよがり声を聞かれてしまった。
「呆れ果てた嫁御じゃ、息子の三回忌も済まぬ内に男を家に連れ込むとは」
「盛りの憑いた猫とは其方の事じゃ、湯殿なら淫水で蒲団を濡らす事も無いわな」義母は嫌味を言うた。「御風呂が壊れて、修理の期間の人助けですがな」
「人助けでやや子を作るのか」
「老耄してしまい、尿を放いてしまっても判らぬ様に成ったら、一体誰の世話をお受けなさんですか」
「やや子が出来たら何とする、世間に恥晒しも良いとこじゃ」
「わても好きな殿御が出来て、偉そうな事も居えぬが」
「御母はん真逆、其の歳で再婚なさる訳では、恥晒しな」


 やっと浴室の修繕が終わった。余程貼り込むんだのか、見事な大理石の浴室で有った。約束通りに未亡人に真昼の初風呂に入って貰った。四郎は自慢げでも有った。

 突然に父が未亡人の義母を連れて遣って来てしもうて。
「ほう、四郎も遣るな、終に結婚する気に成ったか、真昼からよがるとは罪な事を」未亡人は長湯をし、湯当たりで逆上せてしまい、バスタオルを腰に巻き付けた丈で出て来てしもうて、よろけ乍姑と鉢合わせてしまた。
「呆れた嫁御じゃ」
「御母はん、こんな処に迄、何しに」
「わて等はもう夫婦に成ったんえ、四郎さんのお父さんの女房じゃ」「真逆、恥晒しな」
 未亡人は目の前が暗く成り、我慢して居た尿が大量に姑の前で迸り出てしまったから大変な事に。
「ありゃりゃ・・・、何と言う恥晒しな嫁御じゃ」姑は雑巾で廊下の床を拭き乍。
「あああ、他所の家に来て迄、嫁御の尿垂れの世話迄させられるとは思いもしなかったわ、恥晒しな話じゃ」

 未亡人にやや子が出来てしまい、四郎は未亡人と夫婦に成る羽目に。未亡人は御腹を大きくし、世間に恥を晒し乍、姑の世話をしに、布巾を被せた鉢を片手に、両家をを行ったり来たり、人騒がせなマンホールの鉄蓋で有った。











          2007−10−01−264−02−01−OSAKA



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