借りて来た猫

 借りて来た猫と言う諺が有る事からも昔から猫の借り貸しは有ったので有ろう。天井裏で鼠や鼬に運動会をされては寝られ無いし、大事の種籾を食べられては一大事で有る。鼠を捕らえる方法は色々有るが後の処理が大変で有る。猫を借りたく成るのも人情で有る。猫も猫で最初の内は静かに家の様子を窺って居るが、やがて何処の家も大差が無い事に気が付くのか勝手気儘に遣り出す。猫は家に付く習性が有る。家移りしたら元の家に戻って仕舞ったりで有る。
 学生時代からの親友が病に倒れて死期を覚ったか、太郎は友の友治に妻の華絵を託した。華絵には一人娘の花子が居た。太郎は死に葬式が済み四拾九日の法事を済ませて、華絵が娘を連れて遣って来て仕舞った。
「あんたが新しいお父ちゃんか」変な娘が遣って来てしもうた。
「お言葉に甘えて、遣って来て仕舞いました」
 三人の珍奇な同居生活が始まった。朝の味噌汁の御飯等何年ぶりでも有った。
 家に帰ると風呂が沸いて居て、夕飯が出来て居る幸せが有った。華絵は時々変な料理を作るので有った「此れは何ですか、茶碗蒸しですか、饂飩ですか」                        「お父ちゃんも変わって居るね、大阪に住んで居て、苧環蒸しも知らんの」

「花子、其方に言い聞かせる事が有る。其方も何時初潮を迎えても可笑しく無い年頃に成ったが、心迄大人に成ったと思い上がるで無いぞ。色んな事に関心が有るが、夫婦の寝間を覗くで無いぞ」
「未だ、結婚式も挙げて居無いのに、もう、夫婦気分か」
「御金を使っての豪華な豪華な華燭の典丈が結婚では無いぞ、届けの一枚の紙切れがものを言うのじゃ」「一寸失礼」
「もー、下品な食事中にお手水か」

「お父ちゃんに言うとく事が有る。うちは前のお父ちゃんの子と違うねんで。お母ちゃんが薬を飲まされて悪漢に辱められて出来てしもうた子やねん、お母ちゃんには内緒やで、うちえらい迷惑や、悪漢が憎いのも判るが半分んは自分の血が流れて居るのに、うちを虐めたおすねんで・・・」
「花子、何しょうむない事話して居るねんや」






 酒が過ぎた日の朝、太郎は華絵に何か失礼な事を仕出差無かった何も思い出せない自分を責めた。
「昨日は少し酒が過ぎた様だ、何か失礼な事をしなかったか」
「気になさらないで、何時ものことですから、お酒さえ召し上がら無ければ本に良い人なのに」
「何かしたのか」
「今宵こそ夫婦になろうと大声で仰って、娘の見て居る前で私を抱きしめて接吻を」
「そんな、恥曝しな事を」「本に恥曝しな」

 酒が過ぎた日の朝、太郎は華絵に何か失礼な事を仕出差無かった何も思い出せない自分を責めた。
「昨日は少し酒が過ぎた様だ、何か失礼な事をしなかったか」
「気になさらないで、何時ものことですから、お酒さえ召し上がら無ければ本に良い人なのに」
「何かしたのか」
「今宵こそ夫婦になろうと大声で仰って、娘の見て居る前で恥ずかしい所を御触りに成って」
「胸を触って仕舞ったのか」
「もっと恥ずかしい所を」
「御尻を触って仕舞ったのか」
「もっと恥ずかしい所を」
「何と恥曝しな」「本に恥曝しな」                               
「華絵は最近太られたのでは」
「じつわ、御腹にややが」
「夫婦に成って仕舞ったのか」

「お父ちゃん、今日煙草屋のお婆ちゃんが、うちがお父ちゃんと似てるやて、血が繋がって無いのに、老耄して仕舞ったのやろか。歳は取りたく無いわね悲しいわね」
「老耄等為て居無い」「何やて」












            2009−08−01−423−01−01−OSAKA


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