竜舌蘭

 リュウゼツラン(竜舌蘭、Agave)は、リュウゼツラン科リュウゼツラン属の単子葉植物の総称。100種以上が知られている。学名 Agave はカール・フォン・リンネがギリシャ神話のアガウエーから名付けた もので[1]、メキシコではマゲイ(西: maguey)とも呼ばれている[2] [3]。リュウゼツラン属では208の 種が知られている。 メキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生するほか、食用・繊維作物、 あるいは観葉植物として広く栽培されている。和名に「蘭」とあるが、ラン科(Orchidaceae)に近い植物 ではない。また形状がアフリカ原産のアロエに似ているが、アロエはツルボラン科の植物である。

 先が鋭く尖り、縁にトゲを持つ厚い多肉質の葉からなる大きなロゼットを形成する。茎は大半の種では短く太いため、根から直に葉が生えているようにも見える。
気候や土壌にもよるが一般に成長は遅く、花を咲かせるまでに数十年を要するものも多い。あまりの成長の遅さに、100年(1世紀)に一度開花するという誤った認識から、センチュリー・プラント(century plant)という英語別名がつけられている。花はロゼットの中心から「マスト」と呼ばれる背の高い花茎が 伸び、その先に短い筒状のものがたくさんつく。ごく少数の例外を除いて、基本的には開花・結実後に植物は枯れる一回結実性(一稔性植物)である[4]。種子による繁殖以外にも、球芽を形成したり、茎の根 元から蘖(ひこばえ)を密生することによって、新しい個体を増殖する。
ある種のリュウゼツランの汁に触れると皮膚がかぶれることがあり、症状は1〜2週間ほど続く。外見上治癒した後も1年間ほどは痒みが再発することがある。しかし乾燥したリュウゼツランの葉であれば、素手 で扱ってもこれらの症状はほとんど現れない。

 アオノリュウゼツラン[編集]

「栄養成長期」には葉を次々に出して栄養を貯めていく。 原産地である熱帯地域では栄養成長期は10-20年に渡り、その後開花する。日本では30-50年で開花する[5]。 開花期になると「生殖成長」へと切り替 わり、葉から花茎へと養分の転流が起こり、下の葉から枯れ始めると同時に花茎が急成長をする。花茎は1日に10cm程成長し、2ヶ月ほどで大きいもので高さ10メートルにもなり数千の花をつける。 花は下の 方から咲き始め、それぞれの花では雄しべが枯れ始めると雌しべが成長するという受粉に困難がある成長形態であるが、メキシコでは蜜や花粉を食べるオオコウモリ(en:greater long-nosed bat)が受粉を仲 介している[6]。午後6時以降夜間に大量の蜜を分泌しているとの観測があり、コウモリの活動時間と合致している[5]。
また数千という多量の花をつけるが、結実するのは上の方の2-3割の花で、残りの花は人工授粉をしても 結実しない。下の方の花は花粉をより多く供給するため、また花茎が折れた時などの保険として咲いていると考えられている[6]。

 リュウゼツランとユッカの違い
近縁の種であるリュウゼツラン属とユッカ属は原生地が主にメキシコ・米国南西部の乾燥地帯、多肉植物で葉の形、ロゼット状の形態など類似点が多い。 
主な違い(例外もある)は[7][8]、
葉はいずれも放射状に生えるがリュウゼツランの方がより肉厚で葉の先の針、縁の鋸刃状の棘があるのに対し、ユッカはより薄く、細く、葉は真っ直ぐで棘がない。またユッカは成長に伴い幹を形成し高く成長するがリュウゼツランは殆ど幹を形成しない。 
受粉はユッカはユッカガによるが、リュウゼツランは蜂、蛾、鳥、コウモリなどによる。 リュウゼツランの大半は1回結実性で10年から数十年に1度しか開花せず、結実後には枯れるが、ユッカは成熟個体はほぼ毎年開花し結実後も枯れず成長を続ける。

 リュウゼツランの葉、茎、花茎、花は可食部であり、植生のある乾燥地帯の先住民は食料としていた。花および花茎はそれぞれ数キログラムが収穫可能である。

 食用
リュウゼツランの仲間では、開花期になると、それまでの栄養成長で蓄えたデンプンの糖化が起き、大量の糖分を含んだ液体の転流が花茎に起こる。メキシコでは先史時代から、若い花茎をそのままサトウキビのように消費したり、花茎を切り取って切り口を掘りくぼめることで、この液体を集め、そのまま甘味料とした。この樹液を煮詰めたものはアガベシロップあるいはマゲイシロップの呼び名で甘味料として利用される。この甘味料は血糖指数(GI: glycemic index)が低い甘味料として利用される[9]。
アオノリュウゼツランやテキラリュウゼツラン等の樹液を発酵させたものはプルケで先コロンブス期から作られてきた。またアオノリュウゼツランやテキラリュウゼツラン等からは蒸留酒も作られている[10]。樹齢数年から12年の花茎を伸ばす前の段階で収穫し葉を切り除く。肥大化した茎の部分(葉を切断した姿がパイナップルに似ており「ピーニャ(西: pina)」と呼ばれる)の重さは36-91kgになる。この「ピーニャ」を蒸し焼きにして糖化を引き起こし、これを搾って得た糖液をアルコール発酵させ蒸留したものでメスカルという蒸留酒である。特にメスカルの1ブランドであるメキシコのハリスコ州で作られるテキー ラは世界的に飲まれている。

 繊維
リュウゼツランのいくつかの種では、葉から繊維をとることができ、サイザルアサ・アロー繊維(ピタ)・ヘネケンなどが知られる。縄は、水を吸うと非常に収縮する。そのため、推理小説では、殺したい人物の自由を奪ってその首にリュウゼツランの縄を巻き、数時間後に雨が降ることを予測して屋外に放置し、アリバイを作るというトリックが用いられることもある。

 観賞用
観葉植物としても広く栽培されている。様々な斑入りの変種があり、縁が白や黄色になったもの、葉の中心に根元から先端まで斑が入ったものなどがある。ヨーロッパに初めに持ち込んだのはスペインやポルトガルの探検家とみられるが、人気が出始めたのは、19世紀に蒐集家が様々な種を輸入するようになってからである。大型のものは、温暖な地域では庭で栽培される。小型種は多肉植物として温室栽培される。これがアガベとして広く知られている。
乾燥して薄く切った花茎は、剃刀の革砥がわりになる。また、葉を絞った液は、泡立つため、石鹸のように使われる。メキシコのネイティブ・アメリカンは、リュウゼツランからペン・釘・針、縫い物や織物に使う糸などを作っていた。

 その他
乾燥された葉は、燃料として使用されたり、日本の茅葺のように屋根材にして葺かれたりする。乾燥された花茎は、柱などの建築材としても使用された。インドでは、線路沿いに生垣として植えられている。
 花茎は木管楽器である「Didgeridoo」(ディジュリドゥ)の材料として非常に高い評価を得ている。

 分類

以前はユリ科やリュウゼツラン科、研究者によってはヒガンバナ科に分類されていた[11]。
2009年に公表されたAPG IIIの体系ではクサスギカズラ科とされ、その中のリュウゼツラン亜科に分類さ れている。
リュウゼツランの仲間は同一種内での個体変異が大きく、また系統の不明なものや野生種の変種も多いため、分類は難しい。ヨーロッパで栽培されている種の中には自然と異なる環境で何代も無性生殖を繰り返したため、天然のいかなる種とも似ていないものが存在する。

 百年に一度咲くと言われて居る竜舌蘭、咲いたら枯れて仕舞う事は解っているが何故今年咲くかが解らない。アロエ等も水を遣り過ぎると花を付けないことが多い。枯れる事を察して咲くので有ろう。   






















            2012−12−01−550−01−01−OSAKA  



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