うねりが遣って来た日

 あれ程暑かった夏も終わってしまうと懐かしい物で有る。夏の盛りの最中には、誰一人冬の寒い、寒い辛い毎日の事等考え無い物で有る。人と言う者は其の時の事しか考え無い様で有る。しかし、確実に季節は進行して行くので有る。やがて、寒い冬が確実に遣って来るので有る。南国育ちの猫は夏は良いが、冬が大変で有る、犬の様に土の上で丸く成って寝る訳には行か無いので有る。依って、暖を取る為に人の膝の上に載ったり、足の上に載ったり、御腹の上に載ったり、背中の上の載ったり、炬燵で丸く成ったり、布団の中に潜り込んだりするので有る。人は其を人への愛しみと誤解してしまうので有る。或る日、目が覚めたら、猫が首筋の上に載って寝て居った、生きた猫の首巻をして居たので有る。顔の上に載ろうとした猫も居った。赤子の顔の上に載って窒息させて死なせた猫も居ます。人が思う程、猫は人を愛しんでは居無いので有る。ペットへの溺愛も程々に。
 夏も終わりに近づいて来ると、風の無い天気の日にも海がうねる日が有ります、土用波が遣って来るので有る。うねりは遥か南方の海で発生した台風から遣って来る波長の長い波の事で有る。台風より先駆けて日本に遣って来るので有る。其の太平洋全域にうねりを発生させる台風のエネルギーたるや莫大な物で有る。多くの人は海がうねるのを見ても、やがて訪れるで有ろう大嵐の事等考え無いので有る。盆踊り等に興じ、夜遅く迄踊り惚けるので有る。かって「魚が出て来る日」と言う映画が在りましたが。民衆と言う者は自分に直接被害が及ぶ迄は気が付か無いので有ろうか。
 衆議院では郵政民営化法案が可決して居るのに、参議院で否決されたからと言って、内閣を総辞職しないで、見当違いの衆議院の解散が有り、暑い夏の珍奇な衆議院議員総選挙が終わり、結果を見て唖然とした人も少なからず居たで有ろう。真に正しい事、誠に良い事を政策に掲げた少数政党の事等誰も関心を示さ無かったのか。多くの人は勝ち馬に乗りたがったので有ろうか。マスコミで散々悪口を言われて居た政党が大勝したので有る。参議院で否決された問題多し此の法案に反対して居る政党が大勝する筈で有ったのに。人々の思いは様々で有るので有ろうか。郵政民営化に成れば、インターネットの発達で手紙の代わりに電子メールで済ませる人も多い、ファックスや携帯電話で済ます人も多い。個人情報漏洩に気を使う昨今、送られた資料をシュレッターに掛けるのも面倒で有る。収益の上がら無い郵便局の数は減らされるのは目に見えて居るのに。今は歴史的超低金利時代が長い間続いて居り、バス代を使って郵便局に行っていたのでは何の為に郵便貯金をして来たのか分から無いし、葉書や封書の料金も其の内上がるで有ろうしペイオフの全面解禁の時代、確かな保証を求めて郵便貯金の魅力は大きいかったが、其が一般銀行と変わりが無く成れば、何も態々郵便貯金をする必要も無いので有る。貸付のプロで有る民間銀行ですら不良債権問題で苦しめられたので有る。貸付に慣れ無い、郵便貯金が銀行並みの高収益が上げられるとは思え無いし、最近の銀行は、証券会社と提携し、株取引の仲介業務や、外貨預金や投資信託等、外貨建てMMF等をインターネット上で簡単に商品の購入が出来ます。郵政民営化に成れば、メガバンクと対等に収益が上げられるので有ろうか。外国の巨大金融機関に買収され無い保証は有るので有ろうか。郵便貯金の限度額の1000万も如何するので有ろうか。野党の言う様に半分にする積りなのだろうか。其れとも上限を廃止する積りなので有ろうか、民営化に成り色んな事業に手を出せるのは良い事では有るが、事業を拡大しすぎて。思った様に収益が上がらず、赤字が続いた場合に如何するので有ろうか。破綻を防止する為にかってのりそな銀行の様に何兆円もの国費を使うので有ろうか。ついでだが、NHKの存在も一般の人には理解しがたい。受信料を納め無い人も多い、管理者の不祥事が発覚する度に其の数も増えてしまいます国営の物なら受信料は取らずに税金で賄うべき物だが、民放で有るかの様に言っても居るが、予算は国会で審議するので有る。受信料を取って居る民間のCS放送のスカパーと何処が違うので有ろうか。
 かって、国鉄を民営化した時に誰が得をし、誰が損をしたか良く考えましょう。国鉄の職員は民営化へ移行する時に公然と首を切られたので有る。大きな事故が起きる度に、旧国鉄時代の慣習が未だに残って居る事を世間に暴露されるので有る。つい最近まで職員の教育と称して公然と苛めが行われたので有る。 電電公社も民営化された、原子力発電も民間企業で行って居るのを思えば、郵政公社を民間企業にしても可笑しくは無いが、いずれにしても、前途多難で有る。
 衆議院選挙の此の結果に因って、今後も遣りたい放題の政策が続くので有ろう。選挙の結果は厳粛に受け留めなければ成らない。有権者の判断の悪さを嘆くのは間違いで有る。神を恨んで天に向かって唾を引っ掛ければ、やがて自分に引っ掛かるので有る。
 選挙は一般の有権者が国政に参加出来る唯一の機会です。有権者は自分の判断で選んで当選した候補者の今後の言動に、自分自身で責任を負わねば成らないので有る。今の政局は海がうねる時で有る、やがて遣って来る大嵐の先駆けで有る。年金は減らされ、保険料は増やされ、サラリーマン増税は今後も続くので有る。其の内、消費税率を引き上げる魂胆が目に見えて居ます。サラリーマンにとっては受難の時代で有る。日本国憲法を改悪しようと言う目論見も有ります。憲法第九条を無くし、自由に自衛隊を海外に派兵出来る様にしたいらしい。教育も然り、最近年少者の重犯罪の余りの多さに、誰もが今の教育に問題が有るのではないかと思うのを利用して教育も変えようとする動きも有ります。教育は国の根幹と成るべき百年の計の政策で行わなければ成らない物で、当世の政治家が勝手にヒョコヒョコ変わっては成らないもので有る。教育の場を実験の場にしては成ら無い。日本国憲法を改悪しようと思う国民を作る為に、教育基本法も改悪しようと言う動きも有ります。単独政党が独裁的な政策を始めては、今後どの様な嵐が遣って来るかは今の多くの人には分から無いので有る。
 戦前に今が海がうねって居るのが分かって居ても。やがて戦争と言う大嵐が遣って来るとは多くの人は思わ無かったので有る。今も其に似た危険が有る。六十年間も平和を護って呉れた憲法を改悪してしまっては、今後六十年間に戦争が無いとは誰も言い切れ無い。歴史は繰り返されるので有る。其の大嵐が遣って来てしまって。天の神に向かって喘いでも、神は何もして呉れ無い。


              2005−09−17−65−OSAKA



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