雪夜の家猫の如くに

 御互いに伴侶を失った男女が偶然向い同士の家に住んで居った。男の一人息子の太郎と女の一人娘花子はまるで兄妹の様に仲良く遊んで居った。男の子の欲しい女は太郎の顔を見る度に。
「あんた、うちがあんたの御母ちゃんに成ったろか、うちの子に成らへんか」「良い事して上げる」と言ってはスカートを頭から被せてしまうのであった。「御母ちゃんたら、又何して居るの」
「夕飯は家で食べて帰り」「花子と一緒に御風呂に入り」と二人を入れては自分も入ってしまい。
「ちゃんと汚い処も洗って居るか。小母ちゃんが洗って上げる」と言っては前を洗ってしまうので有った「もう晩いから家に泊まって帰り」と言っては太郎と一緒に寝たがるので有った。
「御乳を触らして上げるえ」
「なあ、花子、御前の御母ちゃんは変態性欲者の気が有るのんと違うか」「一寸ね」
「花子の御母ちゃんと僕の御父ちゃんが結婚したら、僕等兄妹に成るねんで、結婚出来へん様に成るねんで、如何ないしょう」「あんたも阿呆やね、うち等血が繋がって無いから、其んな事、うちが伯父さんの仮の養女に成ってから、改めて嫁いだら仕舞の話やがな」「いんちきするのんか」「いんちきと違う、方便や」「其はそうと宿題済ませたか、小学生の僕等に、人生に付いて書いて来いや何て、学校の先生も何を考えて居るねんやろな」
 風呂敷残業の多い女は或る日自宅のパソコンで急ぎの書類を作成して居ったが突然パソコンが壊れてしまい、向かいの男の家に泣き付いた、女がパソコンに向って書類を作成して居ったら、花子が堪りかねて迎えに遣って来て。
「未だ終わら無いの」「夕飯はもう済ませたか」「未だ」「上げて貰って何か食べさせて貰い」
 食後二人は仲が良く風呂に入って居ったが、突然花子は泣き出してバスタオルを腰に巻いた丈で出て来て。
「太郎ちゃんたら変な事した」「花子、泣きな、男と言う者は女の御そそを触りたがる者や、其んなしょうむない事を気にして居たら、女はやや子なんか授かれへんで」「今度悪さされたら、しっこ引っ掛けたり」「御母ちゃんたら汚い事を」暫くして太郎は罰悪そうにしながら上がって来た。
「太郎ちゃんも男の子やね、悪い子や花子の御そそは触ったらあかんで、触りとう成ったら小母ちゃんの御そそを触り、今度悪さをしたら、うちが小便引っ掛けたるえ」「御母ちゃんたら又恥ずかしい事を」
 女は夜中まで仕事を続け、本社にメールで書類を送信したら其の場で寝てしもうた。朝に成って。四人揃って朝食を取って居った。御飯に味噌汁等太郎は何年振りで有った。
「こないな事、何んか家族みたいな変な気に成るね、太郎ちゃん、あんたの御母ちゃんに成ったろか、あんたは如何え」「御父ちゃんが反対する訳が無いやろ、僕の面倒も見きれてへんのに、汚れたパンツを嫌がらずに洗って呉れる女やったら、大歓迎や」
 女は何を勘違いしたのか男からパソコンのパスワードを教えて貰ったが最後、夫婦に成った気に成ってしもうて、遣りたい放題、全部自分の物にしてしもうたので有る。其の厚かましく、下品な事と言ったら男の前で鼻はかむはおならは平気で放は、便所の扉も開けた儘用を足すは。自分の家で寝る気等無く成ってしまったので有る。
 或るの日、男は雪夜の家猫の様に寒さに耐えかねるて寝床に忍び込んで安心しきって寝て居る女を見て居る内に可笑しく成り、とんでもない悪さをしてしまったので有る。女は興奮し過ぎて小便垂れをしてしまったので有る。朝に成って女は散々恥を掻いたので有る。
「御母ちゃんたら、他所の家でおねしょなんかしてしまったりして、恥ずかしい」
「良い歳こいて、寝小便垂れなんかしてしもうたんか、病気か」
「太郎、良いか、今日から小母ちゃんの事を御母ちゃんと呼ぶねんえ」女は居直ってしまった。
「偉そうに、昨日何か有ったんか」「もう、夫婦に成ってしもたんか」
 或る日、女が昼寝をして居ると、近くの遠縁の親戚の葬儀に参列した帰りに、便所を借りに来た祖母と鉢合わせてしまった。
「其方は何処の人じゃ」「向かえの女が如何して此処で昼寝なんかして居るのじゃ」
「結婚もして居無い性悪女が家に居座って居ると言う噂は聞いて居ったがな、矢張り本当で有ったか」
「そんな、ふしだらな事、わての目の黒い内は許されへんえ」
 女は散々しかられ、事も有ろうに男の祖母の見て居る前で小便垂れをしてしもうたので有る。
「そんなにまでして、靖男と夫婦に成りたいのか」
 学校から帰って来た太郎に又恥ずかしい処を見られてしまい。
「又、小便垂れしてしもうたんか。御母ちゃんを虐めんといて、病気やねん」「何やて」
 女は突然吐いてしまった。如何やらやや子が出来たらしい。
 男は慌てて、女と結婚式を挙げた。親戚丈の内輪の結婚式で有った。
「御母ちゃん、小便は済ませたか」「何やて」「皆の前で小便垂れしてしもうたらあかんで」「阿呆、呆け」幾ら着物を着て居ても、下品な処は隠せ無かった。皆の前で鼻をかんでしまうので有った。
 暫くして、女は自分の家を如何しようかと迷って居った時、学校から呼び出しが掛かった。
 如何やら、花子にもやや子が出来てしまったらしい、太郎の子で有る。未だ小学生で有った。
 大変な事に成ってしまったので有る。女は伯父さんに泣き付いて、花子を養女に貰ってもらったので有る。
 女は待望の男の子を産み落とし。娘は女の子を産み落とした。
 太郎は母親の下品な処を散々見て来て居ったので、学校を卒業するなり上品な娘の花子には何の躊躇も無く、夫婦に成り向かいの家に所帯を持った。


              2005−11−24−79−OSAKA



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