白砂時計

 太郎の幼馴染の花子は一つ年下にもかかわらず子供の頃は太郎に酷い事をしては泣かして居ったので有る。
 花子処の家は遠縁でも有ったので、花子はしょっちゅう勝手に上がり込んでは、自分の家の様うに勝手気儘に遊んで居ったので有る。御外では樹に登るは、橋の上から川に飛び込むわ、牛の背に乗るわで有った。
「大人に成ったらうちがあんたの御嫁さんに成って上げるよって、楽しみにしときな」と口癖の様に言って居ったので有るが、可愛さ余って太郎だけを苛めて居った。
「何で、僕丈に酷い事をし居るか、男なら他にも数多居るで有ろうに」
 太郎が泣かされて帰って来ると。
「又、花子に泣かされて来たんか。それでも男の子か、珍宝は付いて居るのか、偶にはいて込ましたり」と下品な言葉を使ったので有った。太郎の地獄、煉獄の悪夢は其の後も続いた。中学も同じ、高校も不運にも一緒の学校で有った。
「花子ちゃんは太郎ちゃんのお嫁さんに成る心算か」
「うちら許婚やねん、恩有る親や親戚の意向を無為には出来んでな」と言って居ったので有る。花子は嫁御に成るう気で、太郎の家に入り浸り、太郎の母親から料理や裁縫を習って居った。一つ下の花子が太郎には勉強を教えて居ったので有る。間違えると容赦無く拳骨が飛んで来たので有る。夕方まで粘りキッチリ夕食をよばれて帰ったので有った。
「もう嫌やや嫌やや、勝手に許婚やと自分で言い触らす女なんかと夫婦に成る位なら死んだ方がましや」「勝手じゃ無かよ、あんたのお父ちゃんと花子ちゃんのお父ちゃんが法事の時に酔っ払って決めた事じゃがな、此の前昼寝をして居った時の花子ちゃん寝顔を見てたら、悪人じゃ無かよ」
 高校も卒業間近い或る日、花子の腕白振りに堪りかねた太郎は花子を終に犯してしまった。
 犯された拍子に我慢して居った尿が迸り出てしまい畳の上が大洪水に成った。恥ずかしさの余り放心状態の花子「痛かったのか、悪かった許せもう泣くな」「うち嬉しい」
「今、何をし居ったのや、うちら夫婦に成ってしもうたんか」花子の腕白はやっと治まった。
 其の後、花子は東京の大学に進み、卒業後直ぐに東京のの男と結婚し不始末をして直ぐに離縁され、実家に出戻ってしょげて居ったので有る。太郎も一度は結婚したが、たった一度の浮気で愛想尽かしをされ妻は出て行ってしまったので有る。
 父は会社を退職後急に色呆けてしまい。母が亡く成って、一年もせぬ内に、病院で知り合った花子が気に入って、親子程も年が違い乍夫婦に成ると言い出して大騒動に成った。祖母は。          「恥さらし、聖子さんが墓の下で泣いて居るわ」と呆れ返って居った。父が癌を罹って居るのを知った祖母は花子との結婚を許した。太郎には一つ年下の継母が出来たので有った。子供の頃の悪夢が再び蘇ったで有った。
「この家も変わって無いね、あんたも相変わらずやね」年下の継母に唖然とする太郎。
「あんたも阿呆やね、浮気心何か起こし居って、嫁はんに逃げられて。うちが女房やったらあんたの方を追い出すは」花子は相変わらず元気が有り余るて居ったが。父は病気勝ちで夜の御勤めは出気なんだのだった。
 春の或る休日の事、祖母のためは餅米を炊き、小豆を炊き、牡丹餅を作って居った。粒餡の牡丹餅の好きな人を多いが、牡丹餅は何と言っても漉し餡で有る。粒餡では少し苦い。「あんたも手伝い」
「あんた、春は牡丹餅で秋は御萩や何て季節で呼び名が変わるや何て可笑しいわね、漉し餡を牡丹餅、粒餡うを御萩と言うたら好いのにな」「昔は、春の小豆は硬くて皆、漉し餡にしたんえ」「あれ、あんた今ドサクサに紛れて何したん、うちの御尻を撫でたんか」太郎は花子の襷掛けの着物を御尻を撫でてしまったので有る。
「まあ、好い、うちの御尻を触る事位大目に見て遣る、他所の娘御の御尻を撫でて捕まるたら恥さらしや此の大阪に女性専用列車が走って居る何んて世界に恥さらしも良いとこや」
 夏の或る休日の事、母の新盆も近づいて居った夏祭りでも有った。祖母のためは散らし寿司を作り、型団子も作って居った。手伝って居った花子は。「あんたも手伝い」
「こんな、型板は売って有るやろか」「お祖父ちゃんが作ったえ」「良う出来てるな」
もち米の粉を練り蒸して団子を作るので有る。団子を平たく伸ばし、餡子を包めが出来上がりで有るが。団子を平たく伸ばして型に押し付け模様を付け見た目を良くするので有る。
「見事やわね、不器用な人でも見た目好く造れるわね」太郎は襷掛けの着物の上から花子の御乳を触ってしまった。「あれ、あんた今ドサクサに紛れてうちの御乳を触ったんか」「いい歳し放いて母はんの御乳なんか触り居って、何を考えて居るのじゃ」「まあ、好い、うちの御乳を触る事位大目に見て遣る、他所の娘御の御乳を撫でて捕まるたら恥さらしや、此の大阪に女性専用列車が走って居る何んて世界に恥さらしも良いとこや」
 秋の或る休日の事、花子は着物を着て襷掛けで鋤焼きの用意をして居った。秋祭りで有った。親戚へ用事で出かけ帰りに松茸を親戚から頂いて帰って来た。
「まあ、見事な大きさだ事、一寸恥かしいわね」「何を想像しておるのじゃ」
「あんたも手伝い」
 昔は松茸も其れ程高価では無かったので有る。量を増やす為に鋤焼きにも入れたので有る。鋤焼きは、他の鍋物料理と同様に炊き乍頂く日本独特の料理で有る。生卵に浸けて頂く不思議な料理で有る。
「お父はんは」「検査の為に二三日病院え」「何処か悪いのんか」「御腹が痛むねんて」
「今日は秋祭りえ、あんた頂いた麦酒が有るんやけど飲むまへん」
「お婆はんは飲めへんのですか」「麦酒を飲むと小用が近く成るのでな、誰か見たいに尿垂れしたら大変や」祖母は嫌味を言うた。「うちは頂くえ」花子は相変わらず鍋奉行振りを発揮して居った。
「ああ、お母はん何処え」「小用じゃ、歳往くとな近こ成ってな」「大丈夫か」「未だ一人で行ける」
「あれ、あんた今ドサクサに紛れて何したん、うちのおそそに触れたんか」
「まあ、好い、うちのおそそを触る事位大目に見て遣る、他所の娘御のおそそに触れて捕まったら恥さらしや、此の大阪に女性専用列車が走って居る何んて世界に恥さらしも良いとこや」
 冬の或る日の事、父は病院で検査の為に入院し、祖母は温泉場に湯治に行ってしまった。二人は寂しい夕食を取って居った。
「御母はんも暢気やね、正月も迫って居ると言うのに、有馬温泉に湯治やて、大掃除も餅つきも御節料理も全部私に任せる気なんやろか」「元旦には二人で佐太神宮に初詣に行こな」
「如何しよう、御節料理も未だ全部教えて貰って無いし、雑煮も実家とは違うやろうし」
 花子は悩んで居った。
「あんた、何か忘れてへん、賞与が出たんと違うのん、此んな大きい家の台所が火の車や何て知ら無んだわ、うちに渡すねんえ」何やら太郎の女房気分で有った。
「あんた、御風呂が沸いたえ、なあ、一緒に入らへん」「親子で入るのか」「ええやんか」「どうしょた小便でもしたいのか」「あんたのやや子を産みたい」「何を考えて居る、親子で無いか」「うち催してしまってんねん」花子は盛りが憑いてしまって居ったので有る。太郎が風呂に入って居ると。「御背中を流しますわ」すぽんぽんの儘入って来てしまい、前を隠す事を知ら無かったので有る。「子供の頃は堪忍えもう虐めたりせへんよって」「好い事して上げる」と言って太郎の上の馬乗りになって身体を摩り寄せたた時、思わず御粗相をしてしまったので有る。恥ずかしさの余り両手で口を覆い、放心気味で有った。
「何て事をし居る、もう許さん」太郎は子供の頃は母が言って居た様に、花子を犬畜生の様に、後ろからいてこましてしまったので有る。
「ああ、これ、母に何をする」二人は犬畜生見たいな間違いを犯してしまったので有る。
 花子は喚き吐き出してしまったので有る。
「阿呆、あんな悪さをし居って」と言い乍、布団を敷き、自分の枕を並べて置きよるので有った。
「何を考えて居るのじゃ」
「今日から此処で寝る、もう親子はやんぴや、あんたと夫婦に成る」とんでもない事を言い出した。其の内やや子が出来てしまい、大変な事に。父が亡くなり、葬式を無事すませ、四十九日の法事を終わって。又、初盆が遣って来るので有った。
 花子は親戚の非難を受け、ふしだらだと言われ、無理やり籍を抜かされ、実家に出戻ったので有ったが半年もせぬ内に祖母のたえは腰痛を患い、急遽花子を呼び寄せた。一人身に成り、祖母から世帯も任され天下を取ったように、遣りたい放題をして居ったので有る。
 花子は太郎の賞与を当てにして居った。何やらパソコンを買いたいと突然言い出した。二週間程して大きな荷物が数個宅配便で送られてきた。「何じゃ、これは」呆れ返る祖母のたき。何やら自分で組み立てる気らしい。
「未だ組み立て無いのか、初期不良の補償期限が切れてしまうのでは無いか」「忙しいねん」
 日曜日に成ってやっと取扱説明書を見乍組み立て始めた。朝から組み立て出したが昼に成っても完成して居なかった。「昼は如何するのじゃ」「インスタントラーメンでも食べといて」やっと完成した。
「ああ、しっこしたいチビリそうや」花子は便所に駆け込んだ。我慢し乍頑張って居ったので有る。
女は顔を洗い、神に動く様に祈り乍スイッチを入れたらCPUのファンは快調に廻ったが画面には何時ま待っても何も表示しなかった。
「何で、動けへんの、ああ分からない」女は絨毯の上に仰向けに転がり足をバタつかせヒステリーを起こしてしまった。メモリーの種類を間違えて居るのではないか。「メモリーに不具合か、御金をケチって安い方を買ってしまったからな、あんた此れから恵比須まで行って買って来て呉れへんか」
「此れからか」「動か無いと御金を溝に捨てる事に成るやん」太郎は納品書と保証書と取扱説明書を持って交換して貰いに出掛けた。メモリーを交換したら何の問題も無く起動し、OSのインストールも無事住んだ。ワープロのOASYSをインストールも少し戸惑ったが無事すんだ。
「いいかげんに観念してうち夫婦に成れ」と太郎に馬乗りに戯れるのが花子の日課で有った。やがて花子の御腹が膨らんで来た。佐太神宮に祈願に行った御蔭で有った。
 花子は男の子を産み落とし。パソコンと家事の両立は難しく。太郎は赤子の襁褓の世話迄させられた。花子は其の後次々に子を産み落とした。インターネットに取り付かれて居った。
 花子は酷い女では有ったが結局五人もの母に成った。パソコンは其の内古く成り動か無く成り壊れ、御金を払って処理して貰う事とあい成った。
 子達は花子には似ず、各々が紳士、淑女に成長しうる品位を備えて居った。



            2006−05−07−122−01−OSAKA



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