人の手枕を使う家猫

 眠り猫は天下泰平の象徴でも有る。多くの名工、匠が彫刻に遺して居る。日光東照宮の陽明門(日暮門)の左甚五郎の眠り猫は余りにも有名で有る。陽明門を潜り右に行くと奥社に通じる道に掛かる門に施されて在る彫刻で在る、裏には雀の彫刻が施こされて居る。可也昔は狂犬病も流行した事も有り。野良犬も巷をうろついて居って人を恐怖感を与えて居った。野犬に襲われる事件すら有った。猫を見付けると理由も無しに、無闇矢鱈に追っかけ廻す野良犬共も多かったので有る。最近は野良犬や野犬もトンと見かけず、猫も物足りなそうで有るが。陰険な犬も座敷迄は上がって来無いので、座敷の上は猫にとって自分の王国で有ったので有る。猫が人と遊びたがって近づいて来るとは思え無いが、膝の上は温かく気持ちが良いので有ろう。座敷で昼寝をして居ると御腹の上に載りたがるし、新聞を大きく広げて読んで居ると背中に迄載る有様で有る。家族が炬燵に入って世間話に花が咲いて居ても、平然と炬燵の天板の上迄載る始末で有る。雪夜の晩には人の寝床に迄忍び込むので有る。枕元で御産をし子供を人の寝床に入れ様うとも為るので有る。人も其んな猫の頭や背中を撫でては、親子の様な不思議な感情に浸って居ったので有る。人の膝の上で寝て居る猫を撫でても、人に対する恐れ、疑い等微塵も感じて居無い様にも思える。安心しきって居るので有ろう。座敷で昼寝を為て居ると猫が遣って来て、何やら甘えるので有る。此処においでと畳を軽く叩くと遣って来ては我慢をしてか人間の言う成りに成るので有る。手枕を差し出すと其の儘手枕で昼寝を為るので有る。身体を撫でても気にも為無い。丸るで母の胸に抱かれた赤子の如くでも有る。其の様な安心感が何処から遣って来るのか不思議でも有る。種の違うし身体の大きさも違う生物がで有る。昔は兄弟も多く、兄弟や親ですら心を許さ無かった不幸な人も多い。常に何かに怯えて居ったので有る。
 現代は安心の喪失の時代でも有る。新聞やテレビで昔は考えられ無かった。可笑しな事件が後を絶た無い。最愛の筈の母を少年が一寸した理由で殺したり、兄弟を殺したり、学校にで無く、自分の家に放火したりで有る。世界では今だに爆弾テロが後を絶たず、多くの何の関係も無い一般民衆が犠牲に成って居るので有る。行政を民間に委託する余り建物強度計算までが偽装する有様で有る。大地震が来たら壊れるビルが未だ未だ出て来る事で有ろう。権限迄民間に任せた顛末でも有る。ウラン溶液を正規の手順に従わず、ステンのバケツで作業して居たら、青い光が突然に出て、ウラン溶液が臨海に達し、大量の中性子が発生し多くの人が被爆し、死者も出た。核分裂の連鎖反応が起き、臨界に達したので有る。世界中が日本を散々非難したが、核の廃絶は今だに進んで居無い。今だに地球生命を絶滅させるに充分な量の核兵器が存在する。長い生命進化の中では途轍も無い大きな天変地異が起きた事が判る、大地震、大津波、火山の大噴火、巨大隕石の落下、何時起きても可笑しく無いので有る。労働者は自分で仕事を選ぶ事が出来無い、自分に合った仕事に就けた人は幸せで有る。突然の出張や配転や出向、単身赴任、解雇。欠員者を補う為の玉突き人事。年金は減らされ、消費税率は際限無く上がって行く気配でも有る。振り込め詐欺や架空請求。税金対策と称しての16万円のUNICEFの寄付の勧め。ワンクリック詐欺、解約と称して御金をせしめるので有る。教育基本法の改悪、国民投票法の改悪、日本国憲法の改革。安心しきって猫の様に昼寝の出来る様に何時に成ったら成るので有ろうか。企業内では経費節減で稟議が中々通ら無い、機械部品の老朽化でトラブル続きで有る。一番の信頼が必要は銀行迄が顧客情報の流失事故を起こしてしまって居る。社員が風呂敷残業の為に持ち帰ったMOの社内情報が知らぬ間にウィニーのウイルスに因ってインタネット上に流出事件まで有る。政治評論家も政権が変わると猫の目の様に無責任に言う事も変わるし。枕を高くして眠れぬ難儀な時代で有る。
 日本の一流企業の家電製品、其のブランド商品が相次ぐ不具合でリコール(回収)事件が後を絶た無い品質の粗悪化、安全の神話に陰りが見え出した。高性能で安い、長年使っても一度も故障し無いと言うブランドに対する信頼は何処に行ってしまったので有ろうか。人件費の削減を進める余り、リストラに因る熟練工、ベテラン社員の流出で技術の伝承に問題有りか。五十五歳に成れが給料が下げられるが楽な仕事に就ける、煩わしい役から逃れられる物と信じて居たら。現実は余りに過酷で有る。給料は減らされるが仕事量が減ったり、楽ま仕事に回される事は皆無なので有る、勝手に自分の都合の良い様に想像して居った丈なので有った。丸で詐欺の様な世界でも有る。此れが日本の大多数の企業の現状でも有る。一流企業ですら経費削減を理由に、三十五年の永年勤続の褒章を突然止めてしまう企業が有った。三十五年も其れを期待して一生懸命に会社の為に奉職して来た社員はさぞかし失望した事で有ろう。人の心の中には時折鬼が巣食うので有る。七日間の特別休暇を期待して海外旅行もと考えて居た人も居るだろうに。惨い話でも有る。
 膝の上で安心しきって昼寝をする猫では有るが、首輪を付けて紐で縛ると凄く嫌がるので有る。如何やら家猫は人に飼われて居るとわ思って居無い様で有る。人も家猫に鈴を付ける惨い事もして来たので有る座敷の隅に鼠の頭と尻尾が食べ残すされて居るのを見て驚愕した人も多い、家猫の仕業で有る。猫には身体の内部に野生の血が流れて居るので有る。鶏の様な大きな獲物を狙ったりも為る。人は昔から猫に余り餌を与えると猫は鼠を捕ら無く成るので催促される迄与え無かったので有る。催促しないと貰え無かったので有る。家猫は初めて訪れた御客の膝の上にも平気で載ったりもする事からも余り人の顔を認識しては居無い様で有る。人を家具程度にしか思って居無いふしが有る。心外な話でも有るが恐らくは事実で有ろう。人間に身体を触らしても強かに生きて居るので有る。猫の子が歩ける様に成ると人の前に巣から銜えて連れ出し御披露目を為るので有る。座敷で家族が車座に成って世間話に花を咲いて居る時に其の真ん中に我が子を銜えて遣って来るので有る。殆どの家畜や野生動物が我が子を人に触れるのを嫌う筈なのに、不思議な行動で有る、余程人に安心を抱いて居るので有ろう。子供に授乳して居る猫に引掻かれ無い様に、恐る恐る手を触れても怒るどころか、喉をゴロゴロ鳴らせ楽しそう、気持ち良さそう、幸せそうでも有る。
 人は猫に学ぶべき事が余りに多い。人も信頼の回復にもっと真剣に成る必要が有りそうで有る。二枚舌の政治家も同様で有る。嘘も方便と平然と嘘を付く会社経営層も同様で有る。猫は人の手枕で昼寝をし乍一体何を考えて居るので有ろうか。やがては両親も亡く成り、兄弟も散り散りバラバラに成り、便りの夫婦や親子の絆まで危うい時代で有る。浮気でもすれば、妻に寝首を馘かれ兼ね無い。定年を迎えたのを期に熟年離婚も増えて居る。収入が無く成ると子や孫も寄り付か無く成る、寝たい時に昼寝が出来る優雅な老後を送りたい物では有るが。




            2006−10−07−01−01−OSAKA




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