ジャガタラ水仙(アマリリス)

 人の人生は思わぬ事故で大きく変わってしまう場合も有ります。事も有ろうに電車が踏み切りで立ち往生の自動車に衝突してしまったので有る。満員の乗客は将棋倒しと成ってしまった。幸い脱線事故には至らず大した事故には成らなかったが、尿を我慢していた女は事も有ろうに、男の膝の上で失禁してしまったので有る。女は恥かしさの余り放心状態で在った。二人は人目を避ける様にそそくさといかがわしいホテルに。
「結婚してあげるから、誰にも言わ無いで」
猥らに濡れてしまた女のスカートを見て居るうちに、男は欲情を抑える事が出来なく成ってしまい。放心状態で無抵抗の女と関係を持ってしまう。長年禁欲的な生活を続けて来た、そんなに若く無い二人は、真昼の情事の限りを尽くしてしまったので有る。
 暫くして、男は帰りの電車の中でスマシタ顔の女と出会った。駅に着いて。            「何も避けなくても良いでしょ、私たちもう夫婦なのよ」「ちょっと便所に」「じゃ私も」
今時珍しい地下の汚い裸電球の男女共同の公衆便所へ、女も我慢して居たのか、慎みも無く派手に用を足してしまうのだった。女は手を洗い乍。
「こんな事が愉しいだなんて、私たち病気ですわねー、たまには奥さんを食事にでも誘ったら如何」
関係を持ってしまったら、結婚しなければ成らない物と思い込んでしまって居る二人の悲喜劇。男は悪酔いしてしまい。朝に成って目覚ましたら知ら無い部屋で寝て居た。
「昨日何か失礼な事しませんでした」
「あんな事なさっておきながら覚えてらっしゃらないの」「結婚してあげるからさせろとおっしゃって」「何を」「そんな恥ずかしい事女の口からは」「接吻したいともおっしゃって他にも無理難題を」
「もう我慢できしまへん。こいてしまいますわ」
「如何なされた」・・・・
 男は又催してしまい女を犯してしまう。
 男の家系には珍奇な家訓が在り、養子は取らず、結婚出来ぬ者に相続させずと言う物で、四姉妹は末子の長男の結婚に躍起で有った。女なら誰でも良かったので有る。父が病気で倒れてから男は何度見合いをさせられた事か。相手の写真も良く見ない儘又、見合いに臨んでしまった。
「あら」「何だお知り合いなの、じゃもう決まった様なもんですわね」
何んと言う事か、二人は又思い掛けない所で出会ってしまったので有る。
「あんな事しておきながら他の男と、結婚するつもりだったのか」「貴方こそ」
 或る日、自宅に帰った男は、台所に女が居るのを見て。「失礼、家を間違えた様で」
「これ、どこへいかれます、貴方の家よ」
女はもう女房の心算なのかやって来てしまって居たのでした。
二人の珍奇な生活が始まってしまった。忙しい四姉妹は父の看病を女に押し付けてしまう。死にかけた父親も次第に元気に成り、四姉妹の女虐めが始まる。
「真逆、財産目当てで結婚したがって居るじゃ無いでしょうね」
「私達、もう夫婦ですのよ、今更別れる事なんか」
「貴方、真逆、関係を持ったら結婚しなければ成ら無いと思い込んで居るんじゃないでしょうね」
「え、しなければ成らないんじゃないんですか」「呆れた」「違うんですか」
 女は別れを決意して男の家を出るが、男は女が居なく成って初めて妻の存在に気が付いた。暫くして、男の父親が無く成り、葬式の日、女はやって来た、如何やら子供が出来たらしい。やがて二人は正式に婚姻をし、女は子供を四人も産み落としましたが、電車の衝突事故の後遺症か、人に言えない恥ずかしい因果な病の遺尿症は中々治らなかったそうな。
 最近の若い男女が結婚する心算も無いのに、簡単に関係を持ってしまうのを嘆き続けたそうな。



















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