蚊帳の外

 最近は夏に蚊帳を吊る家は滅多に見かけんませんが、昔は何処の家でも吊って居たので有る。雷が鳴ると蚊帳を吊ったりもしたので有る。
 飼猫は不可解な生き物で有る。内部に野性を潜め、野性動物と余変わらないのに、座敷の上を悠然と歩いて居るのを見て居ると驚きで有る。人間に対する恐怖等、微塵も感じて居ない様で有る。人に付かず、離れず、一定の距離を保ち乍孤独を楽しんで居る様でも在る。猫は人を猫とは思って居無いのは確かな様ですが、人を親や神の様に思って居る様でも有り、唯の家具程度にしか思って居無い様でも在る。
 野性動物の殆どが人を見たら、直ぐに逃げ出してしまうのに、家猫は猫の方から近づいて来るのが貴重な存在です。マンション等では飼え無いのを、嘆く人も多い。
 冬、寒がりの猫が人の布団の中に潜りこむみたがるのも無理有りませんが、夏、蚊帳の中に入りたがるのは良く分りません。人も蚊帳を吊ると何故か落ち着くのが不思議の限りです。猫に取っては人の布団の中が一番安全の場所なのだろう。枕元で産んだ子を咥えて布団の中へ入れようとした猫も居ました。
 猫が気持ち良さそうに喉をゴロゴロ鳴らして寝て居るのを、幸せを感じて居る様にも見えるが本当に幸せを感じて居るか如何かは良く分らない、刺激に対して反応して居る事は確かで、何もしなければ其の内止めてしますが、身体を指で少し突付くと又鳴らし続けるので有る。子を産んだ時、泪を流し、喉を鳴らす事からも、喜んで居る事は確かです、猫の泪を見た人は幸せ者です。
 其の猫も蚊帳の中に入りたい時は入れて呉れと鳴くのに、出る時は黙って出るので有る。不思議な事では有る。
 長年会社に奉職した人が定年退職し、社会や家族の蚊帳の外の自分に憮然とする人も居ます。定年延長が囁きかれ出しましたが、本当に喜んで良いのやら。仕事以外の事にも生き甲斐を見つけて置くべきです 人の人生は哀れです、死んだら焼かれてしますので有る。現世の名誉に依って輝く彼の世等無いので有る。彼の世へは名誉も知識も財産も持って行け無いので有る。
 社会の蚊帳の外に居無い様に、日頃から地域社会と繋がりを持って起きましょう。テレビの中の女性は誰に向かって微笑み掛けて居るのでしょうか、観て居る人は錯覚に襲われ、錯覚だらけの人生を送って居る。テレビを観ないと蚊帳の外に居る様な錯覚に襲われ、見たくも無い番組まで観てしますので有る。たまには、テレビを切って、内なる心の声を聞きましょう。



                   タンポポ(蒲公英)

 たんぽぽには中国に悲しい物語が存在します、恋焦がれた人が遠くへ行ってしまい。悲嘆の余りに死んでしまった蒲公英はタンポポとの化身と成り、綿毛の冠毛を着けた種子と成って、風に舞、遂に恋する人の元に迄飛翔して行き、終に思いを遂げると言う悲恋の物語で有る。ロマンチックな物語とは裏腹に現実には、古来からの日本タンポポと西洋タンポポの勢力争いが続いて居る。西洋タンポポは受粉無しで種子が出来て種も軽く、綿毛の冠毛で遠くまで飛び、生命力が強く、過酷な条件でも育つ。生命進化とは戦争なので有る。日本タンポポが無くなるのも遠い将来の話では無い。
 日本タンポポをもっと大事にしましょう。
 何気ない道端の花にも、子孫繁栄の思いが在るのです。




















                          2005−04−10−021−OSAKA



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