淫乱女房に不能亭主

 日本は誠に地震の多い国で有る。忘れた頃に大震災も起こり、多くの家が倒壊し、避難所生活を強いられる人も多数出る。地震のショックで精神的な異常を来たす人も、次郎は地震のショックで不能に成ってしまった。男として役立たずに成ってしまたので有る。春子は便所が使え無く成り困り果てて右往左往して居る間に我慢出来無く成ってしまい、人前で垂れ流しをしてしまい死ぬ程の恥ずかしい思いをした経験が有った。其の時のショックで性癖に異常を来たしてしまったので有った。又漏らしはしないかと其の事ばかり悩んで居ったので有った。そんな中で避難所でボランティアをして居った次郎と知り会い、もう便所に行くのにも気を使う避難所には帰りたく無いと駄々を捏ね、押しかけ女房に納まってしまった。春子は元気一杯で有った、催しっ放して有った、次郎の不能をを知ってか知らずか。
「あんた、今日は何をする日か判って居るのんか」「あんたはやや子の作りかたを知らんのんか」夕食の前に何時もの催促で有る。次郎には金曜日の晩は辛い御勉めで有った。
「こうしてするれんえ」女は着物の儘夫に抱き付いて、男に成った心算か、何やら淫らに腰を動かした。「嫌やわ、わたしたらしししいと成って来たわ、して居る最中に放いてしもたら如何しよう、わて恥ずかしい」前を押さえて何やらモジモジした。
「もう許さん、淫らな事ばかり口にしおって」春子を押し倒し下着を脱がせてしまったから大変な事に。「今、何しようとしょたんじゃ」次郎は春子に接吻してしもうた。
「キスするのにパンツを脱がせるのか」
「呆れ果てた男じゃ、御尻は触るわ、御乳は触るは、前は触るは、キスはするわ、おそそ丈が出来んのか」「震災でようけ家が扱け、多くの家が火事で焼けたが、ショックを受けるのも判らぬもも無いがのう、あんたは、自分の不甲斐無さを地震のせいにして居るのんと違うか、前の戦争で何人の人が殺されたか知って居るか、女性専用車両が今だに大阪で走って居るのも尤もじゃ、あんたみたいな男が此の大阪に一杯居る証拠じゃ、世界に恥晒しじゃ」
 次郎が風呂に入って居ると春子もソソクサと入って来て何時もの様に背中を流しだした。
「わて、催して来てしもうた」「又、小便か」
 御乳を次郎の背中に押し付けて何やら淫らな事を遣りだした。
 裏の黒猫が浴室の戸を爪で掻き、啼いて風呂の中に入りたがった。
「お前も一緒にお風呂に入りたいのんか」春子は行き成り嫌がる猫を桶に漬けて浸けて洗い出した。
「咽喉が渇いて居る丈じゃろうが、猫は水が嫌いじゃ」
「あんたの病気は何時に成ったら治るのじゃ、治る様に一度しし引っ掛けたろか」「何と言うはしたない女子じゃ、もう許さん」「あ、あんた又何すんねんや、猫が見て居るでないか」次郎は猫に見られてか、野生の血だ騒いだのか、春子を犬の様に、後ろから犯してしまたので有る。
「あんたには理性は無いのんか、あんな悪さしおて、誰にも言うで無いぞ、わて恥ずかしい」次郎は散々しかられてしまった。春子は湯中りに遭い。バスタオルを腰に巻いた丈で出てきてしまい、放心気味で有った。
 春爛漫で有った、親戚の結婚式が近くの天神宮で行われた。文金高島田に髪を結い、白無麩の打ち掛け姿の花嫁は綺麗で有った。留袖を着た春子も素敵で有った。春子は式も挙げずに夫婦同然に成ってしまたので有る。引出物の焼き鯛と小豆のお強を頂き、家に帰って座敷の隅に鼠の頭と尻尾が有るのを見て驚愕してしまった。裏の猫の仕業で有った。春子は余りの事に吐いてしまった。悪阻でも有った。やや子が出来たので有る。
 或る日の事、一寸買い物で家を空けた隙に裏の憎い犬が座敷に上がり込み、襖に向かって片足を上げて見事な山水画を描いて居ったので有る。
「こら、何ばし居るか」座敷箒が犬に当たりキャンと啼いて尻尾を巻いて裏に逃げ帰った。
 又、或る日の事、窓の網戸に烏が羽を広げてへばり付き中の様子を窺って居ったので有る。
「こら、何をして居る」網戸は穴が開くし、窓硝子には烏の糞で汚されるしで有った。信じられ無い事に遭遇するものなので有る。犬の掛け軸を犬の死骸と間違ったので有ろう。何やら不吉な出来事で有った。やがて、春子の御腹が大きく成って来た、渋って居った次郎は慌てて結婚式を挙げ、籍を入れた。
 春子は御腹が大きく成るにしたがって便所が近こう成って困って居った、便所に行くのが面倒なのか何やら淫らにモジモジと、そんな春子が好きに成ってしまってか、次郎はやたらしたがるので有った。次郎の病が治ってやや子が出来たのは良いが、やや子が出来ても矢鱈にしたがるので有った。
「あんた、何考えて居るねんや、御腹のやや子に障るやろ」又、叱られてしもうた。
 裏の家の会社が倒産し、犬と猫を置き去りにして夜逃げをしてしまた。厚かましい黒猫と憎い絵描の犬を引き取る羽目に。黒猫は自分の家と決め込むんだのか、悠然を座敷の上を歩き廻り、人を無視し平然と座布団の上で昼寝し、人の呼び声にも尻尾で返事をするので有った、座敷で新聞を読んで居ると平気で背中に乗る有様で有った。
「あんた、裏とは遠い親戚やと言って居ったが、真逆、連帯保証人に成ってへんやろな」
「あんた、猫の何処を覗いて居るねんや」「此の猫は雌じゃぞ、子供を産んだら始末に困るぞ、避妊手術をせねばな、困った事に成るぞ」「そんな可愛そうな事、わてが許さん」案の定、黒猫の御腹も大きく成って来た。或る夜の事ねこが咽喉を鳴らす音で目が覚めて、猫が枕元で御産をして涙を流して居ったので有る。子を銜えて蒲団の中へ入れたので有る。猫にとって人の寝床が一番安心の場所で有ったので有る。 春子は燕が玄関の軒下に巣を作るの子供の頃から期待して居った、或る日燕が様子を覗って居ったが猫が出て来てしもうて夢が潰えてしまった。
 珍しい花も咲いた、冬に植木鉢のアロエの花が珍しく咲き、夏には里芋の花も咲居た。
 或る日、春子の二人の姉が遊びに遣って来て、座敷で車座に成って世間話をして居たら、黒猫が子を銜えて巣から連れ出し、子猫の御披露目をした、何やら自慢げでも有った。多くの動物が人に吾が子を触らせるのを極端に嫌うのに。「有り難う、もう良いわよ、巣に戻してあげ」と言うと又銜えて巣に戻して、喉を鳴らし乍子を舐めて居た。猫にも至福の時が有るので有る。
 或る日、買い物から帰ったら、次郎が何を思ったか犬を座敷に上げて遊んで居った。
「あんた、犬を座敷に上げて何考えて居るねんや、又、襖にしょんべん引っ掛けるられたいのんか、其の内、犬にもちゃんちゃんこを着せる気か、犬を可愛がるのも程々にせ、此の阿呆垂れ」又又又叱られてしもうた。
 或る日、春子は便所で急に産気付いてしまい困った事に。春子は家で産むと言い出した。次郎は狼狽するばかりで有ったが、昔に産婆の経験の有った御婆さまに来て貰い、如何にか事無きを得た。春子は元気な玉の様な男の子を産み落とした。太郎と命名した。
 暫く経って或る吉日に近くの何時もの天神宮に御宮参りに出掛けた。やや子は紅葉の様な手を結んだり開いたり、欠伸をしたりで真に元気で有った。母者の春子は何やら自慢げでも有った。其の後続いて三人の妹、夏子、秋子、冬子が産まれた。
 太郎は大きな病気をする事も無くすくすくと成長したが、しっかり者の妹達に比べ、何やらおっとりでのほほんとして居った、誰に似てか弱気でも有った。
「太郎、又、向かいの花子ちゃんに泣かされて帰って来たんか、何やら濡れてんで、臭いで、中学年にも成って、しょんべん垂れしてしもうたんか」
「又、花子に小便引っ掛けられてしもうた、もう嫌や、死んでしまいたいわ」「何やて」
「花子ちゃんは未だ小学生やないか、今度引っ掛けられたら行てこましてしもたり、男やろ」
 或る日の事、春子が買い物から帰ったら、未だ中学生の花子が座敷で雄の白猫を御腹の上の載せて、座布団を枕に大の字に寝て居った。
「花子さんか、あんた、お家を間違えてへん」「貴方が太郎の御母堂か、先の月に夫婦に成ったばかりの太郎の嫁の花子じゃ、幾久しゅう宜しゅうにな」「はあ・・・」「言うて置くが、妾はもはや子供では無いぞ、御腹に太郎のややを孕んで居る」「はあ・・・」上には上が居ったので有る。






          2007−04−15−213−02−01−OSAKA



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