綸言汗の如し

 天子の言は其の元は糸の様に細いが、下に達する時には綸(組糸)の様に太く成る。汗が一度出たら戻らぬ様に、天子の言も一旦口から出されれば取消や改変等無い事の例えでも有る。
 人の上に立つ教師、僧侶、社長、会長、理事、判事、裁判官、議員、大臣、首相、天皇の発言は重みが有り簡単に訂正出来無い事の例えでも有る。国会は言論の府でも有り過去にも思わぬ失言をする議員も。日頃思っても見無い事を口がつい滑って出てしまったとでも言うので有ろうか。
「日本は天皇を中心とする神の国」「無党派層は寝ていてくれればいい」と森元首相。
「女性は子を産む機械」と柳沢元厚生労働大臣。
「米国の原爆投下もしょうがないかな・・・」と久間前防衛相。
 北朝鮮の内閣機関紙「民主朝鮮」は6日、久間・前防衛相の原爆投下をめぐる「しょうがない」発言について「ふぬけ者のたわごと」等と酷評した事を朝鮮中央通信が伝えた。昨年10月、国際社会の声を無視して核実験を強行し色々物議をかまし、非常識が常識の北朝鮮だが、記事では原爆投下を「目的が如何で有れ明らかに大きな人倫犯罪だ」と批判。「米国の核犯罪行為を唯一の被爆国である日本の防衛相が擁護したのは、日本人から見ても嘆かわしい」等と常識有る評論を記して居る。
 言葉は時に一人歩きを始めるもので有る。長時間の公演と成ると原稿用紙の枚数にすると可也の枚数に成る筈。其の膨大な語数の中の十数語が失言としてマスコミが面白可笑しく鬼の首を捕ったかの如くに書き立てると、最早収拾が付か無く成ってしまう。全文が新聞記事に載る事は皆無で有る。長時間の公演を実際に聞いた人には違和感が無くとも、ニュース番組で其の部分丈を聞くと不満頻発と成る。ニュースに流れてしまってから慌てて記者会見して弁解する事がかえって、火に油を注ぐ結果と成る。参議院選挙を前に大騒ぎに成れば野党が有利に成る。野党を元気吐ける結果と成る。選挙の前の大事か首相も軽はずみな言動には厳重注意をしたが、選挙を前に、内輪からも四面楚歌なのか、選挙の為に引責辞任に追い込まれた。選挙が無かったなら辞任はしなかったので有ろうか。本人自らのしょうがないなとの苦笑いもしょうがないので有ろうか。
 後任の防衛相に小池百合子氏が任命された。久間氏が官邸を後にしてから3時間も経って居無かった。男の職場の象徴的な庁から省に昇格の防衛省の大臣に女性がで有る。有事の時には首相の下で女性の防衛相が指揮を執る事とあい成る。一つ間違えると戦争に発展する危険も孕んで居る重職でも有る。化粧を居て居る閑も無く成るので有る。暗殺者やテロリストの標的にも成る。
 しかし、引責辞任をしたからと言っても、広島や長崎の被爆者や其の遺族、住民の怒りは直ぐに治まるものでは無い。しょうがないでは済まされえ無いので有る。米国の中では原爆投下が無ければ、戦争が長引き、更に多く戦死者が出た事に成ったと口を滑らすのでは無く本気で発言しても批判を受け無かった人も居る。米国と日本の差を感じさせる騒動でも有った。
 終、ウッカリ、口を滑らすのも、根っからの正直者で有るので有ろう。世の中には悪い事を企み乍決して口を滑らさ無い強かな政治家も多い。何やら憂鬱な世界が来うでも有る。日本国憲法の改悪を目論む政治家も居る。天下の悪法の恨めしの消費税を更に、更に上げようと、とんでも無い目論見も有る。上げ無いとは一言も言って居無いと開き直るて言う事には上げる心算らしい。憂鬱な裁判員制度も其の内に始まる、自分が選ばれてから唖然と為る羽目に成る。簡単な資格試験を設ける丈で何の問題も発生しないのにで有る。海外に派兵した吾息子の自衛隊員の死亡通知を手にして初めて、国際貢献、人道的支援、復興援助・・・と湯水の様に血税を垂れ流す政治家の美しい言葉の虚しさを実感為るので有る。
 しかし、唯一無二の核被爆国の日本が世界に対して、核の廃絶の指導的立場に有り乍、核の使用を容認するかの如き発言が出る事自体、心外でも有る。実に怖ろしきかは、戦争で有れば無差別大量殺戮も正当化されてしまう悪夢が有る。空腹の余りパン一切れを盗んでも罪に成るのに、敵で有ると言う丈で合法化されてしまい。上官の命令に従わ無かった兵士が軍法会議に掛けられて裁かれ処罰を受けるので有る。戦争に負ければ敗者は勝者の都合の良い法律で裁かれる、上官の命令に従い、逆らう事の許され無い状況でも、為た事の罪が平然と裁かれ戦犯に処せられ刑に服さなければ成らないので有る。
 原子爆弾の使用は有史以後の最大の汚点で有る事は未来永劫に消える事は無い。大地震、大津波、火山の大噴火、山火事、巨大隕石の落下、大旱魃、大雨、大雪、大洪水、疫病の大流行、大飢饉、イナゴの大発生、落雷、竜巻、台風、土砂崩れ、地滑り・・・天変地異はしょうがない部分も有るが、原子爆弾は人が国家予算を使って作った人が居て、投下を命じた人が居て、実際に飛行機から投下した人が居て、全て合法的に処理され誰一人処罰はされ無かったので有る。広島と長崎の当時の未曾有の被害と其の後の原爆症の発症の恐怖、其の罪は永遠に消える事が無い。其の悲惨さを見てもう二度と核兵器は作らず、持たず、使用せずと思うのが人の道で有る筈が、今も依然として作られ続けて居る。大国は自国が大量に保有して居乍、開発途上国が核兵器を開発しようとして居ると監視を続け、時に制裁を加える。大量破壊兵器を秘かに隠し持って居ると言っては侵略戦争を始めたりで有る。被爆国の日本が其の核を使用した米国を擁護する発言をしてしまうのも可笑しな話でも有る。被爆の悲惨な被害のデータも見る立場が変われば、核の威力、性能とも理解されるので有ろうか。原子爆弾の千倍の威力の有る水素爆弾も既に造られて居る。人丈を殺戮する中性子爆弾等も有る。核の小型化も進み、大陸間弾道ミサイルにも搭載出来る。コンピューターの発射システムの誤動作の危険性も有る。指揮者が発狂する危険性も孕んで居る。
 原爆の恐ろしさは其の未曾有の破壊力や日光写真の如くに蒸発した死者の陰を石畳に写し撮る程の熱線の威力丈では無い、被爆60年が経過した今でも原爆症や其れが原因での癌で苦しんで居る人も居る。被爆者自体が既に可也の高齢で有る。今だに被爆者名簿に名前を追加される人も居る。
 しかし、原子爆弾の悪夢は其れ丈では無い、大量の放射線を受けた被爆女性の異常出産の写真を学生時代に、御昼のテレビで見た事が有る。多くの子供も見たで有ろう午後のNHKの番組でで有る。今だに忘れえぬ悪夢でも有る。原子爆弾の放射線を被爆し無くても異常児、奇形児は時として生まれる。遺伝子の異常でも有る。お化けの世界丈の話かと信じて居たら、一つ目小僧も時に産まれて来るので有る。学校では不純異性行為を未然に防ぐ為にか、保健体育の時間に奇形児の写真を見せたりもした。五体満足に産んで貰った親に感謝したものでは有ったが。あの悪夢の奇形児の写真は一体何処に行ってしまったので有ろうか。NHKの何処かに保存されて居る筈で有るのに、今頃公表すれば又物議をかます為に封印されてしまって居るので有ろうか。見たくも無い襲撃の写真では有るが。
 ソ連が崩壊し、米ソの冷戦時代も終わり、核戦争に因る人類の絶滅の愚かの危険性が少しは遠の居たが全世界には全ての生物を何回も抹殺出来るに充分な核兵器が依然と存在して居るので有る。核廃絶をと言って笛を吹いても踊る国は余りに少ない、核兵器の所有を目論んで居る後進国まで有る。













          2007−07−09−245−02−01−OSAKA



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