氷解の夫婦

 詰まらぬ事で夫に離縁され、一日中身を粉にして働いても大して御金に成ら無い今の生活に絶望した女は、御金の心配の要ら無い優雅な生活を夢見て居ったそうな。女は駅の便所や汚い公衆便所で用を足すのを極端に嫌って居ったが。尿意が急迫してしまいやもをえず公園の公衆便所へ小走りで駆け込もうした時に、慌てて居る男と打つかってしまった。男が走って来た方へ行って見た女はとんでもない物を見つけてしまったので有る。どうやら人の死体らしかった。女は恐ろしく成って逃げ出す前に何かが落ちて居るのに気が付いて拾ってしまった、さっきの男が落としたらしい、ライターで有った。逃げ出す時に人に見られしまい、女自身も疑われてしもうた。
 女は電機店の展示用のテレビのニュースで被害者の友人の妻の葬式に何食わぬ顔をして参列して居た男を偶然に見掛けて、或計画を思い付いた。脅迫して後妻に成ってしまったので有る。
 二人の珍奇な夫婦生活が始まった。綺麗な服を着、美味しい物を食べて居ても、満たされ無い此の生活は一体何なんだろうか。
 男は病死の先妻にしか興味が無かったのか、女と一緒に風呂に入っても、一つの寝台で寝て居ても何もしなかったので有る。女は風呂から上がってもバスタオルを身体に巻き着けた丈で部屋の中を歩き廻るので有った。羞恥心等微塵も無い様で有った。女は其の満たされ無い自分を慰める為に、人に言えない恥ずかしい性癖に取り付かれてしまったのである。尿意を我慢する事に快感を感じてしまって居たので有る。 或る日、一緒にお風呂に入って居た時、とうとう我慢出来なくなってしまい、男の見ている前で尿失禁をしてしまい、恥ずかしい性癖が男にばれてしまったので有る。
 其の夜に限って不能のはずの男は女を犯してしまったので有る。
 朝に成って女は散々厭味を言ったので有る。
「其方は、不能ではなかったのか。何と言う悪さをしでかし居ったのじゃ」「彼の様な大それた事の出来る立ち場では無かろうに、其方の命は私の胸三寸ではなかったのか、今後は気を付けられよ。人に決して言うで無いぞ、夫婦の秘密ぞ」休日の日は、朝から発情してしまうらしい。
「又、小便を我慢して居るのか」「朝から催してしまって居るのか」
 男は半ば呆れかえってしまって居た。女は食事の片づの間、暫しの間自虐の法悦に浸るのが常であった 男は其んな時に限って女のお尻を触ってしまうので有った。
「こら、何をする」男を又、打たれるので有った。
 女の下品な事と言ったら、男の前で平気で鼻をかみ、屁を放くのである。
 或る日の事、親戚の葬禮に行った帰り女は急に黙ってしまった、如何やら便所に行きたいらしい。
 女は家に着くと急に気が緩むのか、恥も外聞も無く、便所に駆け込んだが、大変な事に成ってしまった日頃の悪癖が祟たのか、尿が出なく成ってしもうた。女は慌ててしまって男に助けをもとめた。
「紙縒りで刺激して見ては・・・」
「何とかしてくりゃれ、膀胱が破裂してしまいそう・・・」
「指で刺激してみたらどうか・・・」
「爪が伸びてて出来ぬ」
「何とかしてくりゃれ・・・」
 男が指で何度か刺激すると生暖かいものが掌に迸り出て呉れた。女は暫しの間至福の法悦の快感に浸って居た。「こら、何時まで悪さを続けて居るのじゃ、拭いてくりゃれ」女は頬を仄かに赤らめ乍。
 男は我慢出来無く成ってしまい、喪服の女を犯してしまったので有る。
 又、朝に成って女は散々厭味を言ったので有る。
「こら、昨日は何と言う悪さをしでかし居ったのじゃ、彼の様な大それた事の出来る立場では無かろうに其方の命は私の胸三寸の筈では無かったのか。以後気を付けられよ。人に決して言うで無いぞ、夫婦の秘密ぞ」
「・・・」
 或る日の事、親戚の華燭の典の車での帰り。猫が急に道に飛び出し。
「大丈夫が」「大丈夫では御座らぬ」「又、尿垂れをしてしまい居ったのか」「少しだけじゃ、汚い話じゃが、其方と結婚してから急に締まりが無く成うてしもうた」
 自宅に着くなり女は慌てたが。
「此んな所で、何をして居る」玄関でへたりみ込んで女は前を押さえてモジモジと御尻を振って居った。「何とかしてくりゃれ。立ち上がると漏れてしまう」男が便所の前まで連れて行くと。
「わたくし、催して参りました、御願いが御座る、さしてくりゃれ」女は酔って子供の様に甘えた。
「其方もしやれ」女は用を足し乍話し掛けた。
「そろそろ賞与の時期じゃのう、其方は何かに使う予定でも有るのか」どうやら男の賞与をを当てして居るらしい。「無駄使いをしては成らぬぞ、ああ気持ちが良い、スーと致した」
「済みもうした、拭いてくりゃれ」女は頬を仄かに赤らめ乍。女を寝室に連れて行くと。
「鼻水が出そうじゃ、かんでくりゃれ」男は呆れ返り乍も。
「世話の焼ける、奥さまじゃ」「私は其方の様に鬼では無いぞ、接吻をしても打ったりはせぬぞ」
「女の帯を解くのは其方の方が得意で有ろう、手伝ってくりゃれ、目が廻って解けぬ」
「こら、こら慌てるで無い、未だ帯も解けぬと言うのに、こら其の様な悪さを致しては成らぬ、又、尿がしたうなってしまうではないか、こいてしもうても良いのか」
 又又、朝に成って女は散々厭味を言ったので有る。
「こら、昨日は何と言う悪さをしでかし居ったのじゃ、彼の様な事の出来る立場では無かろうに、其方の命は私の胸三寸の筈では無かったのか。以後気を付けられよ。人に決して言うで無いぞ、夫婦の秘密ぞ」「・・・」
 或る日の事、電機店の展示用のテレビのニュースで男の友人の妻を殺害した容疑者が捕まったのを知った、男が犯人では無かったので有る、自分の居る理由も無く成ってしまったので有る。女が家に帰ると男は出張の用意をして居た。
「旅行にでも行かれるのか」
「嫌じゃ、嫌じゃ、もう一日も別れて居たくは無い」女は子供の様に駄々を捏ねてしまった。
「一週間程の出張ではないか」
「愛する様に努めますから、私を捨て無いで」「何を言って居るのじゃ」
 女は錯乱してしまい、おもらしをしてしもうた。淫らに濡れてしまったスカート。
「ごめんなさい、もう打つたりしないからゆるして」女は吐いてしまった如何やらややが出来たらしい。 女が喘ぎ乍床を雑巾で拭いて居るのを見て居る内に、男も可笑しく成り、二人は真昼の情事をしてしもうた。いやはや、男と女の事は一人者には理解出来無い。

              2005−05−29−35−OSAKA

                     HOME
                  −−戻る 次へ++