白足袋

 最近は洋服が一般的で莫大小の靴下を履くので白足袋を履く時は着物を着る特別な日丈で有る。浴衣や着物を召すときは足袋は必須でも有るので今だに需要は有る。和服を着て靴を履く訳にも行かず足袋は草履を履く為にも必須に成る。五本指の軍足の愛用者も居るが。靴を長年履いて居ると、外反母趾に成る人も居る。下駄や草履が見直される部分でも有る。夏は裸足でも暮せるが冬な床は冷たく辛い事に成る、足袋を履かぬ家猫は人の足の上に迄乗りたがる厚かましい有様で有る。昔は足袋を履かして貰える子供は裕福な家庭の子丈だった。子供は何時の世も風の子で有ったので有る。今でも冬も半ズボンで過ごす子も多いが。
 化繊の靴下は特に滑り易く廊下を歩くもスリッパが必要だったりで有る。人生は地に足が着いた生活が大事で有る、収入が減っても贅沢が身に染み付いて、自己破産為る人迄居る。定年退職為たら貧乏生活が待って居る。地下足袋と言う鳶職用の機能的な履物も有るが。年金も余り期待出来無い。節約の為に人付き合いも悪く成り友達が自分から去って行くのが悲しいと嘆く老人も多い。食費を減らすは栄養失調に成て健康を害するので余り奨められ無い。退職金は老後の為に預金為るのが一般的では有るが、公定歩合も歴史的な低さが延々と続いて居る他国と比べると唖然とする部分でも有る。貯金の利子が余りに低い為に、株や外貨預金や投資信託に投資為た人も多いが、最近の金融不況で株は下がり、投資信託も毎月の分配金を喜んで居たら、価格が下がって元本割れも出て居るものも有る。外貨預金は為替が大きく変動すると損を為る事も有る。戦争やクーデターで支払い遅延も起きる場合も有る。玉子を一つの篭に盛るなと言う教訓は今も生きて居る。
 アダルトビデオの世界では和服は特別なエロチシズムが有る。裸に成って仕舞えが皆同じで有るのに何故エロチシズムが発生するかが不思議でも有る。白足袋の清楚な美しさには莫大小の靴下では及ば無い。最近はパンツを穿居た女性も多く見搔ける、パンツと言うと下着と間違うところでは有るが平気で使う女性も多い。スラックスの事で有る。牧童用の作業ズボンを穿く女性も居る。裾の広がったスカートは春風の悪戯で捲れる欠点が有る。女性にとっては下着が見えて仕舞う恥じらいも有る。最近は下着の上迄穿けるパンティーストッキングの着用も多い。殿方にとっては色気の無い話では有る。アダルトビデオの世界では和服を召為た貞淑な人妻が不倫を為たり辱めを受けたり恥ずかしい事を為たりの世界でも有る。現実には有り得ない様な虚構の世界が続く。最初は良いのに段々に狂気めく人の世の愚かを感じる部分でも有る。同じ様な物語が女優が替わる丈でシリーズものと為て売れる不可思議も有る。素っ裸より着衣の方がエロチシズムを発する不思議も有る。
 テレビドラマの時代劇は着物と足袋の世界で有る。日頃Gパンで街を闊歩為て居るのと同様に男の様に大股で着物でも歩いて仕舞う女優も多い。昔、大奥のテレビドラマで珍しい歌を聞いた事が有る。麦搗き歌で有る。米を作り乍米が食べら無かった貧しい農民の祈りの歌でも有る。浅草の古着屋の娘が観音詣での帰りに目に留まり大奥に召される物語で有る。生母と成る為に三人の娘が召され、絢を争う事に成る。足運び、着物の裾捌きのいろはから教わる物語で有る。戦いに破れたお蘭が笊をあじろ笠に見立てて麦搗き歌を歌い舞う姿が家光の目に留まり見初められ側室と成り、やがて家綱の生母と成りった宝珠院の物語で有る。贅の限りの大奥の中で貧しい農民の歌が歌われたので有る。お蘭を演じた藤真利子の演技が白眉で有った。生母と成っての歩く姿の白足袋と裾捌きの見事さが印象的なドラマで有った。時代劇なのに横文字の入ったエンディングの歌「セフィニ〜愛の幕切れ」も不思議で有った。森山良子の美声が澄み切って居た。
 昔、小学校の運動会で足袋風の運動靴が有った、地下足袋風でも有るが履いて居無いと思うほど軽かったのを憶えて居る。マラソンのアベベ選手は裸足で走った事も有る。記録の悪さを靴のせいに為るは口実に過ぎ無い。白足袋には清浄感が有る。靴下は良く滑るし、裸足の様には行か無い。能舞台や弓道の道場等伝統有る精神修練の場や礼儀を重んじる場や宗教的な聖域では白足袋の着用が大事なものと成る。
 現在の足袋はこはぜ(甲馳、牙籤、甲鉤、骨板)と呼ばれる金属製の金具で受け糸又は掛け糸と呼ばれるものに引っ掛ける方式が主流で有る。着物がすたれ無い限り白足袋は必須な為足袋は廃れる事は無いが機械化が難しく手作りが主と成る。ミシンの使用で楽に成ったとは言え、足ののサイズは人によって様々でも有る。足の型紙を作ってのオーダーメイドも有る。昔は木綿の素材が多かったが最近では色んな化繊素材も作られる。昔は武士の間では皮の足袋も有った様で有る。
 畳みが廃れ無い間は足袋も廃れ無いと思って居た人も多いが、其の畳の間自体が少なく成った。関西の本間の大きな畳で暮した人は、マンション等の団地サイズの小さい畳には詐欺に掛かった様な錯覚を覚えるところでも有る。畳みには色んなサイズが有り混乱も有る。真新しい畳には格別の想いも有る。藺草の香や手に触れる触感は格別で有る。最近は畳床も藁以外の人工の素材も利用為れて居るが。日本人に生まれて良かったと想える時で有る。畳み表丈を替える畳替えも有る。忠臣蔵にも出て来る逸話でも有る。最近は大掃除を為て畳みを天日で干す事も少なく成った、元の配置を憶えて置かないと元通りに納まら無かったり、隙間が出来たりで有る。古い家では地震や大風等で家自体の歪も有る、畳みの註文を受け部屋の寸法を測った丈で隙間無くピタット納めるは畳屋の腕の見せどころでも有る。
 人の足元を見ると言う諺が有る、駕籠かきや馬子が客の足の着かれ具合を観て値を言った為でも有る。疲れて居ると高くとも断れぬ弱みも有る。長旅とも成れば足袋も汚れるし草臥れる。女の一人旅は特に危険で有った。掏りや置き引きや追いはぎ等の盗人も多い。女を辱しめる暴漢も多い。剣が立つ侍と道連れに成りたいところで有る。世間を欺く為の偽夫婦で有ったりで有る。足の遅い女と道連れに成るは明らかに迷惑な足手纏の割に合わぬ話では有るが何かを期待為てか。女にとって長旅は苛酷でも有った。鼻緒が擦れて血が出て白足袋が赤く成ったりで有る。用を足すのも一苦労だし、生理も狂い勝ちで有った。飲み水が変わると腹も緩み勝ちで有った。下駄の鼻緒も良く切れた。困って居る御女中を見掛けたら助けたく成るのが人情でも有った。一寸為た事が縁に成ったので有る。

                      つづく                      







          2008−10−06−368−02−01−OSAKA



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