親友の妻

 男は学生時代から無二の親友とは兄弟の様に親しく付き合うて居った。親友は西洋の牧師を思わせる様な、其れは其れは立派な理性溢れる教養の有る紳士で在った。其の親友が突然病気で死んでしまい。男は何を思ったのか、写真ですら見た事の無い、親友の妻に面倒を見さしてもらいます、と手紙を出してしまったので有る。何の音沙汰も無い儘半年が過ぎてしまった。手紙を書いた事すら忘れて居ったが、或る日の事、手紙を信じ、顔も見た事の無い男の家に友人の未亡人は遣って来てしまったので有った。
「わての面倒を見たると手紙に書いた男は、あんたか」想像して居った淑女とは大違いで有った。
「わては、あんたでもかまへんで、贅沢は決して言わぬ、我慢は慣れて居るは」
 女の下品な事と言ったら。男は暫しの間開いた口が蓋がら無かった。男の前で平気で鼻をかむわ、屁を放わ、便所の扉は開けた儘用を足すわ、前垂れの前を弄るは。女は変態で在った。
「あんた、今宵丈は変な事をしては成らぬぞ、わてがふしだらな女と思われたく無いでな」尤もで有る。 女は暫くの間は貞淑な妻を装って居ったが、金曜日の夜に成ると自分で自分が抑制出来無く成る様で有った。其の日は男は残業が入り、帰って来たのはもう夜中で有った。女は待ち草臥れて、服の儘寝台に寝て居った。
「あんた、此んな時間まで仕事ととは男は辛いのう」「愛して居る、接吻をさせて上げる」
「相変わらず、下手で有るのう、其方まさか未だ女を知らぬのでは有るまいのう、其方は、女証しとか聞かされて居ったが、あれは嘘か」女は男が童貞で有る事を知って笑ってしまった。
「恥かしい事では無い、妻以外の女と関係が有る事自体が可笑しいのじや」尤もで有る。
「如何しやった」
「久し振りに笑ったのでしっこをちびってしもうた」
「こら、阿呆、其の様な悪さをを致しては粗相をしてしまうではないか」
「こら、其の様な恥かしい事をしては成らぬ」男は抑制出来無く成り、童貞を捨ててしまったので有る。 朝に成って。
「呆れ返った者じゃのう、童貞の男が彼の様な恥かしい事をしでかすとはのう、其方は本当に主人の親友だったのか、主人は其方の様な変態では無かったぞ、子供が出来ても良かか」
 女は金曜日の夜しか催さ無いらしい、胸や御尻を触られても何も感じ無いらしい。
「呆れた者じゃ、其方の病気は何時に成ったら治るのじゃ、其方の様な男が居るから、女性専用車両の様な阿呆な物が出来るのじゃ、世界に恥曝しじゃ」何処かで聞いた様な口癖が始まった。
 又、金曜日の夜が遣って来て。
「愛して居る、接吻をさして上げる」
「今宵は一緒にお風呂に入ろうぞ、背中を流して上げる、恥ずかしがらずとも良い、夫婦ではないか」
「のう、如何して下品な事はこうも楽しいので有るうかのう、わても其方の様に病気で有るので有ろうかのう」「殿方の前でおならをしたり、尿をしたがる女子など居るので有ろうかのう、わてはして見たい」と言い乍、お湯の中で屁をして泡を西洋手拭で受けて留めて遊んで喜んで居った。
「そんなにわての裸を観詰るで無い、恥かしいではないか」
 女は男の背中を流し乍。
「のう、其方も男子なら女子の尿は何処から出るのか良く観てみたいで有ろうのう、愛して居ると言えば見せて遣ら無くも無いぞ」「愛して居るぞ」「其方も好きじゃのう」
 女は湯船の中で仁王立ちに成って、余程我慢をして居ったのか、夥しい尿を長々と遣りだした。暫しの間女は禁断の法悦の快感に浸って追った。男は呆れ返って居った。
「誰にも言うで無いぞ、わては恥かしい」さすがの女も頬を赤らめて居った。
 朝に成って。                                        「呆れた者じゃ、其方の病気は何時に成ったら治るのじゃ、其方の様な男が居るから、女性専用車両の様な阿呆な物が出来るのじゃ、世界に恥曝しじゃ」何処かで聞いた様な口癖が又始まった。
又又、金曜日が遣って来た、さてさて今宵も女は又何を遣らかすのやら。
「愛して居る、接吻させて上げる」如何やら元気が無いらしい、女友達の葬式が有ったらしい、喪服も着替え無い儘でしよげて居った。
「鼻が出そうに成った、かんで御呉れ」
「尿がしとう成った、させておくれ」子供の様に甘えてしまうので有った。
「此れ、手を抜くで無い」又、叱られてしもうた。
「嫌じゃ、嫌じゃ、わては死にとうは無い、今宵は子供を儲けようぞ、手抜きをせず気張りなはれ」
 朝に成って。
「呆れた者じゃ、其方の病気は何時に成ったら治るのじゃ、其方の様な男が居るから、女性専用車両の様な阿呆な物が出来るのじゃ、世界に恥曝しじゃ」何処かで聞いた様な口癖が又又始まった。
又、地獄の金曜日が遣って来てしもうた。
「愛して居る」如何やら何時もの女と様子が違うので有った。如何やらややが出来たらしい。女の変態性欲はぴたっと治まったので有ったが。しかし、殿方の悪い病は未だ治らず、女性専用車両の様な阿呆な物が必要な儘で有った、真に世界に恥曝しで有った。女は四人の子を儲け、聖女の様な人生を送ったが、男は相変わらず変態の儘で有った。女も其の事は咎め無かった。

              2005−06−19−43−OSAKA 


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