鬼の首と膝上の眠り猫

 野生動物の殆どが人を見た丈で逃げて仕舞う。仲良しに成りたいと願う童の想いは叶い難し。長年人から受けた虐待の記憶が遺伝子に書き込まれて居ての本能の仕業でも有る。人が天敵で有るので有る。そんな中で人を恐れぬ家畜が居る、家猫で有る。初めて訪れた客人の膝の上でも平気で寝たりもする。天変地異が起き作物の不作が続き飢餓が訪れると、何時の間にか牛や馬や豚や鶏や犬や猫も姿を消す、歴史の事実が有るので有るが。人の膝の上は暖かく気持ちは良いが分かるが眠って仕舞っては自ら身を守る術が無い。猫の無神経を詰っては成らない。生物は本来必要以上の事はし無い、如何に天敵でも必要以上に獲物を捕らえたりはし無いもので有る。
 鬼とは邪悪な者、脅威の者の象徴でも有るが風神、雷神図の様に神様迄が鬼の形相で有る。民衆は鬼に慄き見て見ぬ振りして息を潜め通り過ぎるのを待つが、鬼が蹴躓いて転けた時は首を獲って手柄を立てたいところでも有る。民衆は此の時とばかりに熊手や鍬を取って叩き殺すが世の常。人類の長い歴史の中で消すに消せ無い汚点が二つ有る、原発の投下で有る。しかし核兵器の根絶は未だ完了して居ない。其の被害者の数から千年に一度の天変地異より政治家の心が危険で有る事の実証と成った。当時の政治家が原発で核物質を使っきっててしまえば核戦争は無く成ると考えたのは間違いでは無い。原子力発電は核の平和的利用として各国が押し進めて来たことでも有る。誠の鬼は人の心の中に巣食うて居ったので有った。
 2011年は歴史に残る特異な年と成った。千年に一度の東北地方太平洋沖海底大地震が起き、千年に一度の大津波が海岸に押し寄せ多くの家屋が流され二万人以上の人が犠牲に成った。大津波は原子力発電所にも押し寄せた。福島第一原子力発電所にも大津波は押し寄せ、冷却機能が途絶え水素爆発を起こし放射能汚染が広範囲に及び、周辺住民が強制的に避難させられた。民衆は事故を見て原発の安全神話が崩れた。
 大津波は東日本の他の原子力発電所にも襲ったが他は大事故に成らず大事に至ら無かった。停止中の原発迄も事故を起こした事からも安全対策の紙一重の差が事故の有無を分けた。人の命は地球よりも重いと人は言うので、安全の為と称すると誰もが納得するものと政治家が勘違いして原発を故意に鬼にして仕舞った。原発を停める事が鬼の首を獲った如くに誇らしげで有る。原発が政争の道具に使われた。原発を動かす条件に防波堤の嵩上げを言い出したが嵩上げが完了しても原発を動かせずで有る。場当たり的にストレステストを言い出したがストレステストが終わっても動かさず、新しいく出来た原子力規制委員会ではストレステストを条件にせずで有る。定期点検が済んだ原子力発電炉が稼働中の原発よりも危険とする屁理屈が何故罷り通るのか不思議でも有った。
 民主党の元首相の菅氏が場当たり的なストレステストを言いだし次々に原発が次々に止まる前代未聞の珍事が起きた。総ての原発が政府に因って止まったのに原発の再稼働を阻止してデモに参加した人が多数居た。実に恐ろしきは人の心で有る。超法規的に停めて仕舞った為に動かし方が判ら無い。
 原発が停まった為に失った国益は数兆円に達する。法規制付きの節電や、計画停電や、通勤電車の間引き鮨詰め運転、暗くて陰気な間引き照明、不快な空調の設定の強制変更・・・、電力会社は燃料費の増加で赤字経営で有る。通期で無配の電力会社まで有る。株価の暴落で大株主の地方自治体は大変の筈が首長は脱原発派で有ったりで有る。結局最後に一番弱い立場の利用者が世界的に既に高い電気料金の再値上げで被害を受ける事に相成る。
 生き物の世界では強い者が生き残るが、政治の世界では生き延びた者を強いと言う様で有る。三年前の総選挙の前にマスコミは自民党政権に行き詰まり政権が交代すれば日本が良く成るかの如くに報道して居た。胸騒ぎや虫の知らせで未来が分かる事で未来が変わって仕舞う恐怖の世界も有った。自民党が長年やって来た事と反対の事をやれば日本が良く成る理論では有ったがけ結果は民主党が転けた、空中分解で有る。政権交代は歴史の転換点とも言えるが今回は元に戻った丈ともとれる、三年前に政権交代すれば日本が良く成るかの如くにマスコミが大騒ぎした丈に民主党の失望も大きい。今迄報道の表舞台に居た政治家が消え去って仕舞う世界でも有る。
 国家権力で原発が政争の道具に使われ無い様に独立した機関を作って原発を規制しょうとした発想は良いが防波堤の嵩上げやストレステストが完了しても定期点検は完了させずで有る。灰で縄を綯えと無理難題を命じた昔の殿様の如くに珍事は続くが床下の老母の知恵で縄の炭は焼けた。電力会社の一言で大臣の機嫌が損ねたら会長が社長の発言っを擁護したりで有った。電力会社に不快感を漏らした大臣も政権が替わって仕舞いニュース報道に登場せずで有る。民衆は脱原発に心が振れ、原発再稼働阻止も求めてデモをした人も多かったが選挙と云う国政参加で意外な結果に相成った。景気が良く成り企業がフル生産を始めると当然乍電力不足が起きる。法規制付きの節電や計画停電に備えて自家発電設備を稼働させたりで工場の周辺住民は騒音や排気ガスで環境の悪化で有る。1千年の安心の為に千年も損をし続ける算術の根拠が判ら無い、自分が死んだ後のの安心の為に損をすは割に合わ無い話で有る。千年の安心の為に防波堤を嵩上げしても防波堤自体の寿命が1千年も持た無い。三十年以内に起こる確率が70%と高くても防波堤の嵩上げ工事の期間中に起こる確率は無いに等しい。実際に二年の間に何も起こら無かった。営業運転をしながら嵩上げ工事をさせたら良かったので有る。                         




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