座右の天眼鏡  

 人は歳を取ると如何しても小さい文字が読み辛く成ります、老眼鏡の必要は無くとも拡大鏡(虫眼鏡)は如何しても必須に成ります。若い頃は難無く読めた辞書の小さい字が読めません。高齢者用の大きい活字の英語の辞書等も発売されては居ますが、百科事典の様うに分厚い物に成ってしまいます。辞書の頁数が多く成ると其の分値段も高く成ってしまいます。特に携帯用の小さい活字の英語の辞書等を手にする時に、高齢者は此の世非情さを嘆く物でも有る。保険やクレジットカードの申し込み用紙に添付して居る契約の約款書の活字の小ささには閉口します。契約が成立したら大きい活字の正式な約款書は送られて来る様ですが、契約してしまってから読んでも始まら無い、契約する前に充分に其の小さい活字も拡大鏡ででも読んで置くべきで有る。新聞も近年、其の事の要請を受けて大きい活字に切り替えた社も有りますが、紙面の頁数が同じなら、情報量は減ってしまいます、どちらが得か如何かは微妙な所でも有ります。
 小説等の名作は若い内に読んで置くべきで有る、歳いってからでは、目も疲れ読む事自体が大変です。 天眼鏡は易者が人の人相を占う丈の物では有りません。高齢者にとっては座右の道具でも有る。しかし取り扱いには充分に注意致しましょう。太陽を見るのは厳禁です目が焼けてしまいます。子供の頃、黒い紙を虫眼鏡で焦がして遊んだ人も多いで有ろう、其れ程直射日光は強いので有る。迂闊に筆立て等に立てて置くと、日光に当たって火事に成る場合も有ります、注意致しましょう。
 子供の頃、虫眼鏡や顕微鏡で虫や植物を観察し見得無い微細な世界の細密さに感動した人も多い事で有ろう。人は見え無い世界は無い物と思いがちで有るが、精密な世界は構築されて居るので有る。見え無い物は無いと思い込んでしまう人の誤りが其処に存在します。昼間の青空には星は見えな無いが、有るので有る。昔の記述に大きな煙突の下から青空を覘いたら星が見えたと有る。しかし現代では大気汚染の為か見え無いらしい。
 人は近年迄、病が見え無い何かが起因して居ると想像は出来ても、見えな無い為に人は信用せず、邪悪な魔性が人を病に陥れると信じて来たので有る。人は病に慄き神、仏頼みをして来たので有る。顕微鏡で其の病原菌が発見され原因を始めて目ににて人は納得したので有る。電子顕微鏡が出来、電波望遠鏡も出来、人の見え無い世界を見たい探求心は尽きる事が無い。際限無く拡大ししていけば最後には原子に到達する事は想像出来るが、原子ですら最終構成では無い、原子の中にも更に微細な構成が存在する事が想像出来る。
 見ぬ物清しと言う言葉も有るぐらいに、昔はおおらかで有ったので有る。衛生管理も重要では有るが、天眼鏡では用を成さ無い世界の事は難しい。雪景色が綺麗と感じるのは此の世の穢れを隠して呉れるからで有る。現代の様な情報の洪水が人を幸せにするか如何かは疑問の所も有る。知ら良い事、見たくも無い事まで情報が氾濫してしまって居るので有る。
 現代人を悩ませるのは最近の電子機器の故障で有る。集積回路の発達で電子機器の構造は簡単に成ったが、一旦不具合が発生すると、天眼鏡で見ても分から無い、電気は目に見え無いので有る。集積回路の基板をテスターでチェックして壊してしまった人も居ます。自作パソコンの突然の不具合に唖然とする人も多い、何が悪いのかすら分から無い事も有る、何時の間にか治ったりもして。
 目は口程に物を言いと言う言葉も有る。日本の二人連は欧米の様に人前で愛を確かめ合うか如きに抱き合ったり、接吻したりはしなかったので有る。目を見つめ合って愛を確かめ合って来たので有る。しかし言葉に出さねば思い等通じ無いかも知れ無いので有る。真夏の夜に蚊帳の中に入れて呉れと啼く猫も居るが何処まで人を愛をしんで居るか如何かは疑問でも有るが、数多の家畜の中で人の目をじっと見つめたしする猫の存在は大きい。猫等動物は獲物を攻撃する時は瞳孔が開くのが分かるから目を見て居ると攻撃されるのが分かります。目を見るのは自分を守る方法でも有る。
 人は誰も観た事の無い世界まで見たがります。又、見て来たかのように平然と嘘を搗く人も居ます。誰も見た事の無い筈の彼の世の事、天国の極楽や煉獄や地獄の話を見て来たかの如くに話します。テレビで放送されると本当の事に思えてしまいます。彼の世等無いので有る。人生は一度切りで有る。彼の世での逢瀬を信じて心中等愚かの極みで有る。しかしである、宗教家が永年修行に励み、生死の境まで苦行を続けると見た事の無い世界が見える場合も有るそうな、其れは悟りの世界なのか、唯の幻覚なのかは本人にしか分から無い。臨死体験をした人の中には確かに素晴らしい幻覚や夢を見たと話す人も多い。死は生きとし生けるものにとって必ず訪れるもの、其の時の激烈な苦痛や苦しみを和らげるために生命自らに備わった一つの気が振れ無い為の救いか。しかしで有る。其の幻覚に取り付かれる人も多い。薬物に由る快楽や極楽、幻覚で有る、其れらは幻で有り、此の世の世界の事では有りません。やがて夢は覚め、苦しい禁断症状が現れます。麻薬に由る幻覚で芸術的な発想、素晴らしいアイデア等生まれる筈も無い。全てはまやかしの世界でも有る。禁断症状の苦しみから逃れる為には麻薬を買う御金が必要で、其の御金を稼ぐ為に売春や窃盗、詐欺に走る人も多い。
 日本人に今最も必要なのは、物事の真を見定める目を持つ事で有る。SF映画の古典に成った2001年宇宙の旅が現実の物に成って居ても可笑しく無い年なのにそおは成って居無い。科学文明の進歩も想像した程には実現して居無い。つい最近も戦争が有った。世界に平和が訪れるのも未だ未だ先の話でも有る 国内では何やら物騒な話を平然とする政治家も多い、日本国憲法の改悪、自衛隊を軍隊にしようと言ったり、其の内徴兵制度の導入を言い出す政治家も居るかも。憲法を変え、教育を変え、制度を変え、税制を変え、其の内に消費税率も上がるで有ろう。年金の支給額を下げ、定年延長を言い出して死ぬまで扱き使う積もりらしい。老人を見捨てた政治家の真の心は中々分から無い。テレビに映る政治家の顔を天眼鏡で人相を占っても真の心は分から無い。


              2006−01−01−84−OSAKA



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